ユウ様作
ヴァルキリープロファイル外伝

第1話 それぞれの想い


俺は・・・あの人に尽くす・・・俺を救ってくれた・・・あの人に・・・
ヴァルキリーに・・・

「ここで何をしている?アリューゼ」
「おう、ヴァルキリーじゃねーか。いやなに、ちょっと考え事さ」
「ふーん・・・。それで、考えはまとまったのか?」
「いいや、まだだ・・・。なんか用か?」
「いや、別段ないが?」
「そうか・・・。なあ、ヴァルキリー、あんたはなぜ俺を・・・いや、いい」アリューゼは手を振りながらあいまいに濁した。
「アリューゼよ、お前を助けた理由は初めてあったとき話したはずだ。お前は強さを知っていた。そして弱さを知った。お前のいく先は・・・私のいく先なのかも知れぬ・・・。これからも私の力になってくれ、信頼しているぞ」
「ああ、そのつもりだぜ」
「邪魔したな・・・」そういってヴァルキリーはそのそばを離れた。

ヴァルキリーよ、お前の剣となり盾となって共に歩もう。その先に何があってもこの魂燃え尽きるまで・・・



私は・・・人形・・・。歌を歌うだけの人形・・・。その人形に命を与えてくださったのは・・・蘇芳様と・・・あのお方・・・

「ここで何をしている?詩帆」
「ああ、そのお声は・・・戦乙女様。いえ、少し考え事を」
「蘇芳のことか?」
「え、ええ・・・。あの方にまた会いたいと・・・」
「心に思い描く者とはまた会える。それが運命なのだ。蘇芳もまた、お前と会いたがっている。再び会えるのはそう遠い未来ではあるまい・・・」
「ありがとうございます・・・。戦乙女様、なぜあなた様は戦うのでございますか?」
「私か?私は主神オーディン様のために戦う。それが私の信じる道・・・」
「戦いに・・・正義はありましょうか・・・?」
「自分に信念があればそれを貫け。それがお前の戦いにおける正義となるだろう」
「はい、ありがとうございます・・・」
「邪魔したな・・・」そういってヴァルキリーはそのそばを離れた。

私はもはや人形ではない。自分の意思で歌を歌う・・・。戦乙女様のために・・・。それが私の正義・・・戦いの正義・・・私のすべて・・・



俺の心が阿衣の目を潰した・・・。すまない・・・そんなつもりではなかったのに・・・。阿衣よ、俺はお前にどうやって償おう・・・

「ここで何をしている?洵」
「これはバルキリー殿」
「正確にはヴァルキリーだ。もっとも、異国のそなたには言いにくいと思うが」
「これはご無礼をいたした」
「いや、いい。それで、どうした?」
「いや、少々考え事を・・・しておりました」
「お前の妹のことだな?」
「はい・・・阿衣には・・・すまないことをしました」
「過去を嘆いていても何も始まらぬ。過去の過ちを現在に生かし、さらに未来へと繋ぐ。それができると見たからこそ私はお前を選んだのだぞ?」ヴァルキリーはフッと笑う。
「大変光栄なことです。しかし・・・私にそれが・・・できるでしょうか・・・」洵は顔を下に向ける。
「できると思わなければできるものもできなくなる。第一、そんな心持ちでは、妹が悲しむぞ。今度妹に会ったとき、どの顔を引っさげて妹とあいまみえるつもりなのだ?」
「全くです・・・今度会うときは阿衣に胸を張って会えるようにしたい」
洵は顔を上げ、きっぱりと答える。
「その意気だ」
「悩みが消えました。かたじけない」
「うむ。邪魔したな」そういってヴァルキリーはそのそばを離れた。

阿衣よ、俺はこんなにも素晴らしいお方と共にある。俺の死を悲しむことはない。異国の神といえども、俺の仕える人としてふさわしいお方。
俺の二刀流はあのお方のために・・・



俺は小悪党だった。あんな死に方が、あるいはふさわしかったのかもしれねえ。地獄へ行くことがふさわしかったのかも知れねえ・・・

「ここで何をしている?バドラック」
「お、なにって酒盛りさ。・・・なあ、ヴァルキリー、ちょっとここへ座ってくれねえか?」
ヴァルキリーはバドラックの隣へ腰を下ろした。
「どうした?座ったぞ?」
「あ、ああ・・・。あのよう・・・、えーっと・・・その・・・」
「それにしても一人で酒盛りとはな・・・。どれ、私がついでやろう」
「えっ!仮にも神だろう、あんた!そんな・・・」
「気にするな、これは私の仕事でもあるのでな・・・」
「あ、ああ、すまねえな、ありがとよ」
「ふ、お前らしくもない。それで?どうしたというのだ?」
「いや、実はな・・・あんたにその・・・れ、礼をいいたくってな・・・」
「礼?」ヴァルキリーは怪訝な顔をする。
「あ、ああ。俺、口下手だからうまくいえねえが・・・。」
「ますますもってお前らしくない」
「い、いやな・・・俺は生きていたころは一人でいた。それがすごく気楽に感じていてな・・・。まあ、アリューゼとは仕事仲間だったが・・・それがよ、あんたについていってから、少し考えが変わってな・・・仲間っていうのも・・・悪い気はしねえなって・・・こういう考えは生きてた頃じゃ、ぜってえねえなと思ってな・・・。それで・・・」
「バドラックよ、お前の言いたいことはよくわかる。私もお前を選んだ甲斐があったというものだよ。しかし、本当にお前らしくない。どうしたと言うのだ?」
「う、うるせえ!かー、だから言いたくなかったんだ!ちきしょう!」
「勝手に言い出したのはお前じゃないか。私は何も言っていないぞ?」
「ぐっ!さ、酒が言わしたんだ!くそったれめ!あー!!!・・・もういいや、ヴァルキリー・・・。行ってくれ・・・」
そういうバドラックの顔は真っ赤になっていた。酒だけのせいではないことは明らかだった。
「邪魔したな・・・」そういってヴァルキリーはそのそばを離れた。
その顔には少しの笑顔があった。あ奴の神界行きも考慮に入れなければなるまいか・・・。そう考えながら・・・

俺を救ってくれた一輪の花よ・・・願わくはもう一度だけ俺の願いをかなえてくれ・・・。ヴァルキリーと仲間たちに礼を言う勇気をくれ・・・。俺のただひとつの善行を認め、救ってくれた戦乙女にありがとうと言う勇気をくれ・・・。頼む・・・


第2話 アルトリアの奇跡 その1


兵士「国王様!クレルモンフェランが我が領土に攻め込んできました!急ぎ戦支度を!」
国王「う、うむ・・・」
国王(ああ、アリューゼよ、なぜあんなことを・・・。お前が生きてくれれば・・・。しかしこんなことを考えていても仕方のないことか・・・)
兵士「国王様、お気持ち、お察しいたします。しかし・・・」
国王「分かっておる!しかし、アリューゼとロウファが死に、ロンベルトは裏切り者であったという。わしはどうしたら・・・」
兵士「国王様・・・。しかしここはなんとしても勝利を収めなければなりません。敵の数は我がほうの約2倍。さらにアリューゼ殿とロウファ様の死亡を確認しているらしく士気は今まで以上に高い模様です。すでに近隣の城、砦は落とされ、残るはこの城のみです。ご決断を!」
国王「わかった・・・支度を全軍に伝えよ!」

一方、こちらはレナス一行。たまたま通りかかったラッセンで。

ヴァルキリー「どうした、ジェラード?そんなにあわてて?」
ジェラード「ヴァルキリー、お願いじゃ!わらわをアルトリアへ行かせてくれぬか!!?」
ヴァル「ええっ!?どうしてまた急に!?」
ジェラード「さっき、町の人間が言っておったのじゃ!アルトリアとクレルモンフェランとの間に戦争が起こっていると!父上様が危ない状況じゃと!頼む!連れて行ってくれ!!!」
ヴァル「行ってどうしようと言うつもりだ」
ジェラード「父上様を助けるのじゃ!」
ヴァル「仮に行ったとしてもお前はなにもできぬ・・・。もちろん私にも・・・」
ジェラード「前にラウリィにやったようにわらわを人間に見えるようにしてくれればよいではないか!そうすれば戦えるのであろう!?」
ヴァル「ばか者!!!そんなことは許さぬ!!!」
ジェラードは半ば狂乱しながらもなおも食い下がる。
ジェラード「頼む!ヴァルキリー様!戦乙女様!わらわはなんの孝行も父上様にしていないのじゃ!これ以上親不孝者になりたくないのじゃ!このままでは父上様に顔向けができぬ!頼む!頼む!お願いじゃ・・・」
ヴァル「うう・・・」
ヴァルキリーにとっても、初めて見るジェラードの号泣だった。

しかし、自分の権限を越えるわけにはいかない。ヴァルキリーの心は揺れに揺れていた。

アリューゼ「ヴァルキリー、俺からも頼む!加勢させてくれ!今は違うとはいえ、やはり俺の主君だ!見捨てられねえ!」
ヴァル「アリューゼ!?」
ロウファ「僕からもお願いします!いかせてください!」
ヴァル「お前までも・・・」

3人に懇願され、ヴァルキリーは困り果てた。

もし人間同士の争いに加勢したことがばれようものならば、まずオーディンの怒りを買うことは免れないだろう。ヴァルキリーは悩み向いた末に、一つの結論を出した。

ヴァル「分かった。ではこうしよう。耳を貸せ」

ヴァルキリーは3人に一つの作戦を伝えた・・・


第3話 アルトリアの奇跡 その2


ここはアルトリア城周辺。
アルトリア軍はやはり押されていた。
じりじりと城のほうへ撤退しながら戦っている。
国王は刻々と不利になっていく戦況を城の中で聞いていた。

兵士「敵は想像していたよりも手強いようです。敵は一旦退きました。どうやら、総攻撃の準備に取り掛かったようです。どうか、国王様だけでも脱出を!」

国王は即座に首を横に振った。

国王「それはできぬ。わしを守って死んでいった者たちに石をなげつけられるわ」
兵士「しかし、それでは・・・」
国王「もうよい。明日はわしも出撃する。最後の戦いになるな。ジェラードに会える日がこんなに早く来るとはな・・・」
兵士「そこまでのご決意ならばもう何も申しません!どうか我々も死後の世界までお供をさせてください!」
国王「もちろんじゃ。頼りにしているぞ」

そういうと国王は大きな声を出して笑った。

国王「ふー、もうよい、お前たちも下がって休め。よいか!明日は1人でも多くの敵を道連れにせよ!1人も倒せなかったものはわしの供をさせてやらんぞ!」
兵士たち「お任せください!我ら全員、必ずやお供を仰せつかって見せましょう!」

そういうと兵士たちは下がった。

国王(これでいい。これでいいのだ。ジェラードよ、明日会えるな)

その時だった。町娘に変装したヴァルキリーが現れたのは・・・。

レナス「国王よ・・・」

国王「うお!お前は誰だ!」
レナス「あなたを助けたいと言う者からの手紙だ。読んでくれ」

そういうと国王に手紙を渡した。

国王「わしを・・・?」
レナス「確かに渡した。これで失礼する」
国王「ま、待ってくれ!名前を・・・」

しかしもう影も形もなかった。
国王は差出人の名前を見て驚きの色を浮かべた。

国王「ジェ、ジェラード!?なんのいたずらじゃ!・・・し、しかし、これは紛れもなくジェラードの筆跡・・・」 

国王は半信半疑ながらも手紙を読んだ。そこにはこう記されていた。

・ ・・明日、アルトリアに奇跡が舞い降りる・・・
・ ・・城の前に全軍を集め、ただ奇跡を待て・・・

これを読んだ国王はしばし考え込んでいたが、やがて家来の1人を呼び、手紙を見せながらこうささやいた。

国王「このことを全軍に伝えよ。さらにお前は数10人の部下とともに逃亡したと見せかけて敵に降り、この手紙の内容を広めておくのだ!敵の動揺を誘え!」

家来はこくりとうなずくとすぐさま実行に移した・・・。


第4話 アルトリアの奇跡 その3


朝日が昇った・・・。
国王は城門の前に全兵士を集め、ただ奇跡が起こるその時を待っていた。
その数はわずか3千。
対するクレルモンフェランの軍は1万を優に超える数である。
その軍勢の凄さは遠目からみても明らかに分かる。

「さすがにクレルモンフェランだ。我が最期を飾るにはふさわしい」

その時だった。
大きな角笛の音とともに、敵が進軍してきたのは・・・
クレルモンフェラン軍は一糸乱れぬ行軍ぶりで近づいてくる。
その距離は少しづつだが狭まってくる。
もう目と鼻の先までとなったその時、クレルモンフェラン軍は2つの人影を確認し、同時に行軍を停止した。
兵士の一人が驚愕の色を浮かべながら叫ぶ。

兵士「あ、あ、あれは・・・ア、ア、アリュ、アリューゼ!!?」
兵士「も、もう一人は・・・ロウファ!!?昨日降伏してきた奴らが言っていたのはまさかこのことか!?」

家臣たちが流した流言作戦が功を奏し、通常よりもはるかに速い速度でクレルモンフェラン軍に動揺が走った。
最前線の兵士たちが、1人、また1人と、武器を捨て逃げ出していく。
アリューゼとロウファはうなずき合い、武器を振り上げ、雄叫びをあげながら敵陣へと走る。
それを見た他の兵士たちも次々と逃げ出していく。
中央に位置していた軍勢は、2人のエインフェリアのために崩れ始めていた。
一方、左翼と右翼の軍勢も大混乱を起こしていた。突如目の前で起きた原因不明の大爆発がそのきっかけだった。

アリューゼ「へっ!姫さんも派手に始めたようだぜ!」

そう、それはジェラードの放ったバーンストームであった。
爆発音と土煙と炎がクレルモンフェラン軍から急速に戦意と理性を奪っていく。
最期にとどめとなったのは、アルトリア軍の頭上に現れた、ヴァルキリーの姿であった。
自分たちこそ神の名の下に戦っていると信じているクレルモンフェラン軍にとって、これ以上ないほどの衝撃を与えた。
鬼神と謳われた、それも死んでいるはずの2人の突撃、正体不明の大爆発、自分たちの味方であるはずのヴァルキリーの敵対行為、家臣たちが流した流言、それらすべてが要因となり、クレルモンフェラン軍は、かつてないほどの大混乱を起こしてしまった。
もはや軍としての機能を果たせなくなってしまったのである。
上官らしき人物が押しとどめようと命令しているが、所詮集団の悲しさ、いったん作られた流れをとめる事はできない。
逃亡する兵士が相次いだ。

一方、この不思議で信じられない光景をアルトリアの兵士たちはただ呆然と見つめていた。

国王「これは・・・夢・・・?アリューゼ・・・?ロウファ・・・?戦乙女様・・・?ど、どう・・・」

国王はしばし呆然としていたが、ハッとわれに返り号令をかけた。

国王「な、何をしている!全軍突撃!アリューゼたちを援護せよ!」

号令一下、アルトリア軍はただ中央目指し、一丸となって突っ込んでいった。
かたや死を進んで受け入れているアルトリア軍、かたや大混乱を起こしているクレルモンフェラン軍。
勝敗は1時間とかからずに決した。
クレルモンフェラン軍は実に9割の死者を出しながら自国へ遁走していった。

国王「大勝利だー!!!」

アルトリア軍の中から爆発的な喚起の声が上がった。
その光景を見たヴァルキリー等4人はにっこりと笑いあい、姿を消した。


第5話 アルトリアの奇跡 その4


「国王様!大勝利おめでとうございます!!」

声をかけてきたのは偽って降伏していた家臣たちであった。

国王「おお、そなたたち!そなたたちのおかげで大勝利を収めることができたぞ!礼の言葉もない!」
家臣「いえ、滅相もございません。しかし・・・本当に奇跡が起こりましたな、今でも信じられませぬ」
国王「うむ。アリューゼとロウファの姿も探したが見つからぬ。明日探索させるとして、とりあえず宴会だ!!」

そしてアルトリア城内。
この中で大宴会が開かれていた。
死を覚悟していた、アルトリア軍兵士たちの喜びは尋常ではない。
将軍から一兵卒まで喜びを分かち合っていた。

国王「ふうう・・・飲みすぎたのう・・・少し一人で風に当たってくるか。後は任せたぞ」

そういうと一人で最上階のバルコニーへ出た。
風が心地よく頬に当たる。
今生きているという実感が込みあがり、ひとりでに涙がこみあげてきた。

「泣いているの・・・父上・・・」

突然背後から声が聞こえた。

国王「そ、その声は!!?」
ジェラード「はい・・・ジェラードです・・・」
国王「ジェラード!!生きていたのか!!顔を見せてくれ!!」
ジェラード「だめっ!!見ないで!!」
国王「な、なぜ!?」
ジェラード「私は・・・もう死んでいるのです・・・父上と話ができるのは・・・ヴァルキリー様のおかげなのです。」
国王「そうか・・・ならば・・・未練が残るな・・・。ジェラード、お前のおかげで大勝利を収めたぞ。ありがとう」
ジェラード「父上・・・親不孝な私を・・・お、おゆる・・・」

それ以上は涙が邪魔をしてどうしても言えなかった。

国王「何を・・・お前は世界一の孝行者だ。お前は私の、いや、このアルトリアの誇りだ。そうか・・・戦乙女様と一緒にいるのか。それならば安心だ。これで分かった。今日のことはそなたたちの働きだったのか」
ジェラード「・・・はい・・・」
国王「戦乙女様に私に代わってお礼を言っておいてくれ。アルトリアは以後、戦乙女様だけを崇拝して暮らすことにする。・・・元気でな、ジェラード。アリューゼたちによろしくいってくれ・・・」
ジェラード「父上―!!!」

ジェラードはふいに国王の背中に抱きつき、大声をあげて泣き叫んだ。国王も背中を震わせている。

国王「さ、さあ、行け!ジェラード!うぅ・・・」

背中からの感触がどんどんなくなっていく。
後ろを振り向くともう誰もいなかった。

国王「戦乙女様・・・ジェラードをよろしくお頼みします・・・」

ジェラード「ヴァルキリー、ありがとう・・・」
アリューゼ「すまなかったな、我がままを言って」
ロウファ「この上はどのような罰も甘んじて受けます」
ヴァル「気重になられては戦力に影響するからな。罰など考えてない。安心するがいい・・ジェラードよ、よかったな。作戦は成功しただろう?」
ジェラード「うん!・・・本当に・・・ありがとう・・・これで父上様に少しは親孝行ができた」
ヴァル「そうか、よかったな」


第6話 アルトリアの奇跡 その5


一方、ここはヴァルハラ。
この一件をオーディンは最初から全てを見ていた。

オーディン「ふう、レナスめ・・・」
フレイ「オーディン様!この一件をどうするおつもりですか!」
オーディン「もちろん・・・許すさ」

フレイ「な、お許しになると、おっしゃるのですか!?人間同士の争いに関与してはならぬとおっしゃったのはオーディン様ですよ!それを・・・どういうおつもりですか!」

オーディン「まあ、聞け。確かにレナスは人間同士の争いに干渉した。しかし、レナスたちは一人も殺していないのだ。これでは関与したとまでは言いがたい。それにレナスの任務の中にはエインフェリアたちの悩みや迷いを解消することも含まれているはず。これは任務のうちと認めよう」

フレイ「・・・分かりました。それほどまでにおっしゃるのならば、この件に関しては不問と致しましょう。」

そういうとフレイはその場を離れた。

フレイ(レナス・・よかったわね・・)

その表情は穏やかだった。

ところで、作戦とはどういうものだったのか。
ここで時系列はヴァルキリーが3人に作戦を指示するところまでさかのぼる。

ヴァル「いいか、やはりお前たちを戦闘に参加させるわけにはいかぬ。その代わり、お前たちを見えるようにしてやるから、アリューゼ!ロウファ!お前達は何も考えずにただ突っ込め!ジェラードは姿を見せぬままで敵の目の前にバーンストームを放て!最後は私がアルトリア軍の頭上に現れる。そうすれば混乱し、崩れていくはずだ。後はアルトリア軍に任せればいい。いいか!重ねて言うが、決して敵を傷つけてはならんぞ!」

その結果は言うまでもないだろう。
その後この出来事はアルトリアの奇跡としてアルトリアの人々に永遠に語り継がれたという・・・。


THE END