薄ぼんやりと意識が戻ってくる。
（…………………………）
肌にあたる冷たい地面の感触でだんだんと感覚がハッキリしてくると、
ルーナはそっと目を開けた。
「…………あれ？ 私………」
そうだ、確か自分は湖の岸辺でエリミネーターと遭遇して、そして…………、
「！ って、な、なにこれ！？」
急速に意識を回復すると、ルーナは自分の置かれた状況に声を上げた。
衣服そのものは、マントとブーツを脱がされて素足にされた他は意識が途切れた時と変わらない。
だが、両手を前で縛られていて、さらに右足には鉄鎖。
鎖の先には囚人を捕らえておくための古びた鉄球が繋がれていて、
古典的ではあるが、確かにルーナの力でこれを無視して逃げることはできない。
足首を掴む枷はルーナの足にはかなり余裕のある、
それこそ足首を捻れば抜けてしまいそうなサイズ。
ひょっとすると、これの元の持ち主はあのエリミネーターなのかも知れない。
（そんなことどうでもいいんだった。ここは………どこ？）
まだ半分混乱している頭を落ち着かせ、周りを見渡す。
そこはどこかの洞窟らしく、岩肌が露出した壁を丸太で補強した、明らかに人間の手が加えられている。
壁の松明でかなり明るいが、出口と思しき方向からは陽の光は少しも差し込んでこない。
どうやら、かなり深い場所にあるらしい。
（あのエリミネーターは……いないのかしら？ なら、今のうちに………）
ルーナはなんとか手足の枷を解こうともがくが、
どちらもキツさが無い割りに意外としっかり固定されていて、簡単には解けそうに無い。
そうこうしていると、松明の明かりの中にユラリと巨大な影が映った。
「どうやら目が覚めたみたいだナ」
ハンドアックスを腰にぶら下げ、ルーナの杖を片手に戻ってきたエリミネーター。
適当に杖を立てかけると、咄嗟にもがくのを止めたルーナを見下ろす。
「頑張ってみても無駄ダ。お前の力じゃ外せなイ。…………なかなかいい所だろウ？ こう見えてモ、大工仕事は得意でナ」
「マイホームの自慢をしたいだけなら、こんな手荒なご招待はいらないのに」
なんとか逃げ出すチャンスを見出そうと、ルーナはわざと気丈な口調を装う。
だが、エリミネーターは覆面の下で低く笑う。
「グフフフ、泣き喚いたり命乞いをしないのは立派だナ。こっちもヤりがいがあるってもんダ」
言うと、エリミネーターはルーナに近寄る。
そして、足枷を器用に片手で外すと、
「な、なに…………きゃあっ！」
枷で縛られたルーナの手首を掴むと、そのまま片手で高く持ち上げ、壁に押し付ける。
「なニ、じゃないだロ？ 今からたっぷりト、その身体で楽しませてもらうゼ」
「か、身体って………」
自分の身体を上から下へ嘗め回すその視線に、ルーナの身体が僅かに緊張する。
いかに僧侶だったルーナとは言え、その意味がわからないほど幼くはない。
今まで、エリミネーターと言えば他のモンスターと同様、
ただ雄叫びを上げて戦いを挑んでくるだけだった。
こんな行為に及ぼうとするのは初めてだ。
そう言えば以前、パーティの仲間との話でリーダーの女戦士が、
『最近、女のカラダを狙ってくるモンスターがいる』
というようなことを言っていた気がする。
あの時は漠然と聞いていたが、それがまさか自分の身に降りかかってくるなんて………。
ふと、何気なく視線が下へ動く。
するとそこには、エリミネーターの股間を包む布地。
そのパンツが不自然に、そしてグロテスクに盛り上がっていた。
それが視界に入った時、ルーナの女としての危機感と恐怖が一気に現実味を帯びる。
「い、イヤっ、はなしてっ！」
「無駄ダ。体重差ってもんがあるだロ？」
自由になる足をジタバタと動かして暴れるルーナ。
だが、体格の差か、エリミネーターはまるで動じない。
それでも、必死で抵抗していると………、
ばしっ
「あ………」
「ン？」
ルーナの片足が、エリミネーターの股間を直撃した。
自分の蹴飛ばしたものが何なのか知識としては知っているだけに、
ルーナの抵抗が思わず止まる。
「ん～、今のはなかなか痛かったゼ………」
「あ、う、その…………」
エリミネーターは布地の上からソレをさする。
「コレが万が一使い物にならなくなったラ、どうしてくれル………。こいつァ、きっちり治してもらわねえとナ」
「え？ あぅっ………」
ルーナの身体を下ろすと、丁度エリミネーターの前で跪くような体勢。
そして、素早くパンツを取り去った後に現れたソレが、ルーナの眼前に突き出された。
「ひゃぅっ！？」
初めて目にするペニス。激しくいきり立ち、その太さ、長さは赤ん坊の腕ほどもある。
その赤黒い肉の凶器を目にし、ルーナは思わず顔をそむけた。
「さあテ、こいつをお前の口でしゃぶってもらおうカ」
「口で、って………イヤ、そんなの………」
目尻に涙を浮かべて顔を背けようとするルーナ。
だが、
ドカッッ
「ひっっ…………」
突然、目の前にハンドアックスが叩きつけられる。
土壁にめり込んだそれは、あと少しズレていれば間違いなくルーナの耳か鼻をそぎ落としていた。
そして、頭上から低く太い声が聞こえてくる。
「こっちは命令してるんダ。死にたくなかったラ、大人しく従エ」
「っっ…………………」
へたりこんだ足がガクガクと震える。
さっき済ませていなかったら、きっと失禁してしまっていただろう。
ルーナが抵抗しなくなったのを満足そうに見下ろして、
エリミネーターは小さく震えている唇にペニスの先端を押し付けた。
「ん、んぐっ………んむぅっっ………」
「歯を立てるなヨ………」
無理矢理に唇を割り、ルーナの口内へ押し入る極太のペニス。
その匂いと感触に眉をひそめるが、そんなことはお構いなしに亀頭が頬の内側へ擦すり付けられる。
フェラチオなど知識すら無かったルーナは、
限界まで顎を開いて口を犯される感触にただ耐えていた。
「んんんっ……んむ……ふむぅ………」
「舌の使い方も知らないのカ………まあいイ、勝手に楽しませてもらうゼ」
すると、エリミネーターはルーナの頭を振ってその唇でペニスをしごく。
「んぐっっ………んふぅっっ………ぐっ」
喉奥へ突きこまれ、亀頭が粘膜を擦る度に襲い来る苦しさと嫌悪感。
吐き出したくとも、頭を掴む大きな手がそれを許さない。
「んごぉ………ぐっ………むぐ………ぅぅ」
激しく頭を振られ、さらに喉奥まで亀頭で突かれて、苦しさにルーナが咽ぶ。
口淫奉仕などとも呼べない、一方的に口を犯され、快楽を搾取される。
その苦しさにルーナが耐え切れなくなる寸前、エリミネーターが呻いた。
「そろそろ出すゾ………全部飲むんダ」
「んんっ！？ んぐぅぅっっ」
前後に大きく動いていた熱い塊が、突き入れられた所で細かく震え始める。
そして、
「イク……ンオォォォォッ」
「！！！」
どぷっ！ どくどくどくっっ！
「んぐぅぅっっっっっっ！」
喉奥で弾ける、熱く濁った欲望。
ドロドロとした白濁液が喉へと流し込まれ、吐き出すこともできずにルーナはそれを飲み込んでしまう。
「んっく………んん………えほっ、けほけほっ………」
ようやく口内を犯していた肉棒が引き抜かれ、激しく咳き込むルーナ。
「残さず全部飲み込メ…………」
「あ、うぅ………」
言われるままに、唇の周りへ飛び散ったものを自由の利かない指で掬い取って口へと運ぶ。
口の中に残っていたものと一緒に舌へのせると、コクリ、と飲み込んだ。
（コレが………精液、なんだ………うぅ……こんなのって………）
生まれて初めての屈辱的な邂逅、
涙が零れ落ちそうになるのをなんとか堪える。
（で、でも………これで………）
屈辱的な時間が終わりを告げる、なんとか隙を見つけて逃げ出さないと。
そう思ったルーナは、目の前の光景に絶句することになる。
「さあテ、まだまだこれからダ………」