翌朝、イリーナは自分が森の中ではなく、ヒースやエルトと同じ場所で寝ていたのに気が付いた。
(どうして? 私、森の中で気を失って、それから目は一度も覚めてない・・・)
そこで、エルトの姿を思い出す。
自辱をしていた所を、エルトに見られた・・・。
恐らくエルトが自分をここまで運んでくれたのだろう。
だが、彼には完璧に軽蔑されたであろう。ファリス神官ともあろうものが、よりにもよってあんな場所で・・・
(・・・でも、ヒース兄さんにはバレなくて良かった・・・)
あの兄の事だ。
マウナやガルガドやノリス。
果ては街中にこの事を言いふらすと脅して、自分の報酬を取り上げたり、邪悪な仕事に手を貸させるに違いない。
「あ、おはよう御座いますイリーナさん」
びくっ!っとイリーナの肩が上がる。
頬に垂れる汗を拭いながら振り返ると、まだ少し眠そうな顔をしたエルトが居た。
「あ・・・う、えあ・・・オハヨウ!」
不意打ちの挨拶にめっきり動揺した彼女は、そんなギコチナイ挨拶を返す。
「はい。今日の夕方位には目的地に着ける筈ですから、頑張って歩きましょうね」
と、エルトは何やら底抜けに明るく言う。
まるで昨日の出来事等、意に介さない様に。
「え・・・エルト・・・その、昨日の事なんだけど・・・」
何とかヒースにだけは黙ってくれる様頼み込もうとするが、その前にエルトが口を動かしていた。
「昨日・・・? ああ、あのミルクの事ですか? どうです? ボクの調合でしたから、もしかして眠れませんでしたか?」
「え? あ、いや・・・ぐっすり眠れたけれど・・・」
もっとも、あの出来事が起こる前まではの話しだが・・・。
何時もより顔を紅葉に変えている彼女を気にもせず、彼は満足そうに頷いた。
「そうですか。それなら良かったです。さあ、ヒースさんを起こして出発しましょう」
そう言いながらエルトは低血圧なヒースを起こしにかかる。
そんな昨日と何ら変わりないエルトの姿を見て、イリーナは昨日の出来事にある決断を下した。
(あれは夢だ)
そうでなければ説明がつかない。
自分があんなはしたない事をしたのも。
エルトの態度が変わらない事も。
(ファリス様っ♪ 私はまだ汚れていない、純粋な乙女のままでした)
上機嫌にファリス神に祈るイリーナである。
上機嫌ついでに中々起きないヒースに腹が立ったので、川原で汲んだ水をぶちまけた。
その日には『キェムル』に着く事は叶わなかった。
道中、何匹かの魔物に襲われて足を止めてしまったからだ。
幸い、道の途中に宿があった。
少々値段は高目だったが、そこはヒースの説得(脅し)で丸く収まった。
「それにしてもイリーナさんはお強いですね・・・流石、幾度と無く冒険を繰り返してきただけの事はあります」
食事中に切り出したエルトの言葉に、ジャガイモを頬張っていたイリーナは照れ臭いものを感じた。
「あはは・・・私って剣を振り回すしか脳が無いから、それで頑張ってるだけだよ。エルトだって魔法を使えて凄いじゃない」
「そうだ。凄いだろう?」
何故か全く関係無い第三者が威張った事に、イリーナはどうにも対応に困る。
「何でヒース兄さんが威張るんですか?」
「エルトの魔術士としての実力は、先輩であるこの俺の指導の賜物なのだよ」
「指導・・・?エルトはスリープ・クラウドを普通に使えてましたけど? ヒース兄さんの指導では、眠り雲は禁断の呪文なんじゃないの?」
半眼で言うイリーナにヒースは飲み掛けのエールを吐き出した。
「? スリープ・クラウドがどうかしたんですか?」
「はっはっはっはっ。何でも無い何でも無い。愚妹のただの戯言だからサ。気にせずにどんどん食いたまへ。ヒース様の奢りダヨ」
無理矢理笑いを作ってヒースはその場を誤魔化した。
この男が他人に自分の金で飯を食わせるのは、何かを企んでいる時か、何かを誤魔化す時である。
「あ、でもボクはそろそろ寝て置こうかと思います。明日には仕事をする事になるでしょうからね」
「む、それもそうか。仕方無い。イリーナとエルトは早く眠りたまへ。二人の分も俺が食っといてやるからな」
「ちょっ! 何で私まで!? 私はまだ眠くないし、むしろ今はお腹一杯ご飯を食べたい気分ですよ!?」
「飯二桁おかわりして何を言うか。あんまり食い過ぎて仕事中動きが鈍くなっても困るだろ。ほれ、早う寝ろ」
半ばヒースに追い出される様にして二人は食堂を出た。
最後に食べようと取って置いたチキンの丸焼きを思い出して、イリーナの口から涎が垂れる。
「うおーっ! この鳥美味えぇぇぇっ!」
「汝は邪悪なりぃぃぃぃぃぃっ!」
今正にヒースの首を跳ねようとするイリーナをエルトが慌てて羽交い絞めにする。
イリーナの力は並大抵のものではなく、魔術士の少年が止められる様なものではないが、今日は戦闘で力を使い果たしたのだろう。
簡単に止める事が出来た。
「押さえて下さいっ! 仕事が終わったら食べさせてくれる様に、ボクから先輩に話して置きますから!」
「うううううっ! もしお金だけ持って逃げたら何時ぞやのゴブリンみたく44ダメージ与えて真っ二つにしてやるー!」
その夜も、痒きは唐突にやって来た。
「ん・・・また・・・やっぱり夢なの?」
夢かどうかを確認する事等、イリーナの脳裏には無い。
いや、むしろ彼女はこれを夢と定義付けてしまっている。
「夢の中なら・・・何しても良いよね?」
小さく言い聞かせる様に呟き、彼女は個室のベッドから上半身だけを起こし、上着をたくし上げて未発達な胸を弄ぶ。
「んくっ・・・はぁ・・・」
胸全体を揉む様にして、時々乳首に爪を引っ掛けたり、摘み上げたりする。
だが、どの行為もまだ激しさの全く無い幼さを感じさせるものだった。
「うあぁ・・・胸・・・気持ちいい・・・乳首弄ると・・・んっ・・・あ・・・あぁ、いいよぉ・・・はぁうぅ・・・」
ファリス神の事等忘れ、イリーナは夢中で自辱に浸る。
がむしゃらに、快楽を得ようと胸を弄り回す。
だがその行為は、彼の一声で止まった。
「随分淫乱なんだねぇ。君は」
突如聞こえて来た声に、イリーナは反射的に振り向いた。
そこには白い帽子と白いローブに身を包み、面白そうにこちらをみつめるエルトが居た。
「わぁっ!?」
慌てて服を元に戻す彼女の顔は、赤の度を通り越す様な色だった。
夢の中であろうとこんな状況では正気でいられない。
「あ、あのね、エルト・・・今のは・・・」
「昨日も激しいと思ったけど、今日はまた随分と激しいじゃないか」
昨日
その単語で思い付く事は一つしかない。
昨夜自分は、森の中で・・・
「っ! み、見てたの?」
「あれ? 君もボクの方に気付いていたじゃないか。まぁ、その後すぐに失神しちゃったけどね。愛液で汚れた所を拭いて、寝床まで運んであげたんだから、感謝してよ?」
お漏らしをした息子を見る様な目で、エルトはイリーナに語り掛ける。
彼女は状況をまだ良く掴めていないらしく、軽くパニックになっていた。
「まあ、簡単に言うと。昨日の事も今日の事も夢じゃないって事だよ。残念だね」
もっとも認めたく無い事をさらりと言われて、イリーナは全身に震えが走るのを感じた。
自分はもうすでに、汚れてしまった。
「そんなに泣きそうな顔しなくても良いじゃないか。オナニーなんて君位の年の娘なら皆やってる事だよ」
問題はそこではない。
自分のあられもない姿を、他人、しかも同年代の異性に見られたと言う事である。
「だ・・・う・・・えぇ・・・・」
何を言って良いのかさっぱり解らず、イリーナは目を白黒させて意味の取れない途切れ途切れの言葉を出す。
その様子にエルトは微笑し、彼女の元に近寄った。
「ボクが出て来たから続きが出来ないんだね? やっぱり純朴な娘だね、君は」
「な・・・違っ・・・」
「ならボクが手伝ってあげるとしよう」
いきなりエルトの指が、イリーナの胸を布の上から擦った。
イリーナはひんっ!と短い悲鳴を上げて数歩後ずさる。
「な、いきなり何するの!?」
「身体が火照ってるんだろ? ボクが気持ち良くしてあげるって言ってるんだ」
昼間の彼とは明らかに違う態度に、イリーナは動揺した。
だが理由はどうあれ、この少年は自分を犯そうとしている。
そんなのは御免だ、とイリーナは枕元に置いておいた小剣を構える。
「乱暴だね、君は」
「乙女の処女を奪う者は邪悪なり! ヒース兄さんなら何となく解りますが、エルトがこんな事するなんて・・・渡る世間は悪魔ばかりです!」
イリーナはエルトとの間合いを詰める。
エルトは確かに優れた魔術士だが、ヒースに比べればまだまだである。
それに彼が詠唱しようとすれば、自分は彼をすぐに取り押さえられる位置に居る。
こんな狭い空間での戦士と魔術士の戦いは、圧倒的に前者に分が良い。
「まあまあ、そうムキにならずにさ。一つ面白い話しをしてあげるよ」
こんな状況でも、笑いながら彼は言う。
本当に昼の彼の姿とはかけ離れている。
イリーナは彼が本当にエルトなのか、エルトに化けた何者かではないかと思い始める。
「本当にボクがエルトなのかって顔してるねぇ。正真正銘、ボクは本物だよ」
その言葉には耳を傾けず、イリーナは小剣を構えたまま、エルトを睨み付ける。
「・・・ねぇ、イリーナ。ライカンスロープって病気、知ってるかい?」
「・・・夜になると狼や虎になって暴れ回る病気だね。前にヒース兄さんから聞いた事があるよ」
昼間はどんなに温厚でも、月の出た夜になった途端凶暴な獣と化す病気。
そこまで頭で考え、イリーナは眼前に居る少年を見据えた。
が、その時にはすでに遅かった。
「はうあっ!?」
ナイフは叩き落とされ、イリーナは床に押し倒される。
その力は、どう考えてもただの人間のものではなかった。
いくら疲れているとは言え、イリーナの腕力は常人よりも遥かに上である。
「まさか・・・エルト・・・」
「察しの通り。ボクはライカンスロープに掛かっている。ま、見ての通り化け物なんかになっちゃいないから、普通とはかなり違うんだけどね」
ビリィッ!
イリーナの寝巻きが引き裂かれる。
未発達な胸が小さく揺れて、エルトの前に姿を現した。
「やだっ! 見ないでぇ!」
「ボクはライカンスロープの病によって生まれた、エルトのもう一つの『意思』なんだよ。解り易く説明すると、二重人格って奴になるのかな。ま、ライカンスロープなだけに、身体能力は元とは桁外れだけどね」
ふにっ
「きゃんっ!」
乳首を指で押され、イリーナが悲鳴を上げた。
構わずにエルトは乳首を指で押す、離すと繰り返す。
「何故ボクがバケモノにならないか。不思議だと思うかい? 多分ボクは、外見的特長や凶暴さよりも、獣の『性欲』から生まれ出でた人格なんだ。だから見た目も全然変わんないんだろうね」
乳首を掴み、ぐいっと引っ張りあげると、イリーナの顔に苦悶の表情が浮かぶ。
もっとも、頬が赤く染まっているのは、苦痛や羞恥だけではないだろうが・・・。
「はうう・・・変になる・・・身体が変になっちゃうぅ・・・」
「だが二重人格とは言え、今じゃボクの方がこの身体の実権を握ってる様なものさ。もう片方の人格に夜の記憶は無いけど、ボクには昼の記憶もある。ボクが意識すれば、奴に命令を下してどんな事でもさせられる。君に媚薬入りのミルクを飲ませたり、ね」
ガッ!
「うん?」
渾身の力を込めて、イリーナはエルトを軽く弾き飛ばし、自分の荷物が置いてある場所まで駆け寄る。
そこには彼女の得物である大剣があった。
「それでボクを殺すつもり? まぁ、簡単に済むだろうね。ライカンスロープとは言え、ボクは性欲を主にして存在している。戦闘能力は高いとは言えない」
そこで、エルトの口がニヤリ、とおぞましいと感じさせるまでの笑みを作った。
「でも、昼間の人格はどうなるだろうね。あいつは何も知らない、底抜けに明るくて優しい善人だよ? 君がボクを殺す事は、彼にも直接結び付くんだよ・・・」
「殺しなんかしない! ちょっと全身打撲位になって貰うだけ! そうしたら貴方みたいな最低人格は治癒魔法でポーイです!」
ライカンスロープは治癒魔法で治る。
ならばそれで生まれた人格も。
その考えは間違っていなかった。
だが、エルトはまたもあの笑みを浮かべる。
「頭が悪いね、君は。ボクはあっちの人格に簡単な命令を出せるって言ったろ? 例えば簡単に、『死ね』とかさぁ」
イリーナの身体が激しく動揺した。
彼女の双眸は見開かれ、眼前の邪悪な少年を見据えている。
「そんなに悩む必要なんかないよ。簡単じゃないか。そのデッカイ剣でボクを殺してやれば良いんだよ」
出来る筈が無い。
このライカンスロープの人格は確かに邪悪なものだ。
だが、昼間の彼は違う。
何処にでも居る普通の優しい少年なのだ。
家族も居る。
友達も居る。
そんな少年の未来を刈り取る事等、イリーナの様な少女には到底無理であった。
ゴトン、と重圧な音を立てて、バスタードソードが床に置かれた。
「・・・私に、何をさせる気ですか?」
その言葉に、エルトは高々と笑い声を上げた。気が狂ってしまったかと思う程、彼は激しく笑い続けた。
「さて、ファリスの神官さんには冒険時の装備を着て貰おうかな。気高いファリスの神官戦士が、どんな風に喘ぐんだろうねぇ」
イリーナは口を紡ぎながら、鉄の肩当に胸当て、そしてスカートと言う格好になった。
それを見ながら、エルトは無邪気な少年の顔でニコニコと笑う。
「で、私は何をすれば良いの?」
「そうだねー。自辱でもして貰おうかな。さっきは中断させちゃって悪いし。どうせなら、まだ弄ってないお尻でも弄ってみたら?」
それは聞いているのではない。
命令しているのだ。
尻を弄って達しろ、と。
だが、イリーナは尻を使っての自辱等知らない。
「お尻で感じるなんて無理だと思う・・・」
「やってみなくちゃ解らないだろ?」
しぶしぶと、イリーナは自分の尻をスカートの上から揉んでみる。
だが、快楽等微かにも感じない。
「やっぱり無理だよ」
「・・・やれやれ。しょうがないからボク直々に指導してあげるか。とりあえずはボクの方にお尻を向けて四つん這いになる事だね」
言葉の通り、イリーナは四本足の脊椎動物の様な格好になる。
「はい、それじゃお尻を高く上げて」
「そ、そんな恥かしい格好するの!?」
「嫌なら嫌って言いなよ。ボクも君に強制的にやらせてる訳じゃないんだ。やりたくないならボクを殺すなり何なりすればいい」
その言葉に、イリーナはくっと唇を噛み締めて、自らの尻を高く上げた。
「やぁぁっ! こんな・・・こんな恥かしい格好止めたいよぉ!」
「まあまあ、恥かしいのは最初だけだよ。後から気持ち良くなってくるからさ」
エルトはスカートをまくりあげ、小ぶりな尻を覆っている純白の下着の上から、すっと指を這わせた。
「ひうっ・・・」
「早くイきたいよね? だったらこんな布切れは邪魔だよ」
ツルッと、まるで果実の皮の様に下着は剥がされ、みずみずしい肌色の果肉がエルトの前に姿を現した。
「へぇ、綺麗だね」
「やぁぁっ! そんな所見ないで!」
「でも奥が良く見えないな。イリーナ、自分の手で肛門を広げてくれない?」
その言葉にイリーナの顔から火が飛び出た。自分の手で、エルトに向かって尻の穴を広げる。
そんな事、出来る筈が無い。
だが、彼女はしなければならなかった。
それが彼女に課せられた事・・・
ぐいっ
「あんんんんんんっ!」
両手を肛門の周辺に置き、左右に向かって引っ張った。
肛門のシワが伸びきって直腸の中を見せる。
その肛門の周辺を、唾の付着したエルトの指が、チュプチュプとなぞる。
「ふぅあう・・・ああんっ!」
「どうだい? お尻を弄られるってのも、気持ちが良いものじゃないか?」
「き、気持ち良くなんて・・・ひくぅっ! お、お尻の穴・・・舐めちゃダメェっ!」
エルトは叫びを無視して、肛門の周辺や中心を丹念に舐め上げる。
そんな行為を続けていると、イリーナの割れ目から、ドロリと粘り気のある液体がこぼれた。
「ふうん。お尻の穴を弄られて感じるなんて、君ってよっぽどの変態なんだね」
「ひゃくんっ! か・・・感じてなんか、ふぁんっ! あうっく!」
「やれやれ、強情だね君は。これでも自分が変態じゃないとでも?」
ずぷっ!
「あうぅぅぅぅぅぅぅぅううんっ! はぁうううううううっ!」
尻の中へと突き刺された三本の指で、イリーナは二度目の絶頂へと達し、ぐったりと床に倒れ込んだ。
「今日はこの位にしておくよ。あんまり早く処女を奪っても、楽しみが無いからね」
薄れ行く意識の中、エルトの楽しげな言葉を聞きながら、イリーナは本当の夢の中へと落ちて行った・・・。