A-MEN様作
聖帝フェリシアに握られし白銀の剣 騎士と王女の物語 第10章

「第10章 エリス現在、家出中 その1」(第45話)


 帝国議会の皇帝執務室、フェリシアの主な仕事場の一つである。
今日もフェリシアは執務机の上に書類を並べ次々と処理をしている・・・と思いきや頭を抱え唸っていた。
心配したローザが声を掛ける。

「何か問題でも有りますか?」

 フェリシアは黙って書類の束を突き出した。
その態度から相当怒っている様子である。
ローザは肩を竦めながら書類をパラパラ捲った・・・・・・がフェリシアが何を怒っているのだか皆目検討が付かない。
書類は帝国の犯罪に関するモノであったが、全ての書類が事件を解決し罪人を捕らえた報告書だったからだ。

「帝国内に犯罪が起こるのを御怒りなんですね?陛下の治世が悪い訳では有りませんよ。どの様な国でも悪い事を考える輩は尽きないモノです」

 ローザは慰めた・・・積りだったがフェリシアは更に気分を害した様だ。

「そんな事を怒ってるんじゃ無いの!良く御覧なさいっ!」

 ローザの想像以上に御怒りは大きい様だった。
ローザは慌てて書類を見直す。

内訳は"山賊の討伐"が二件"美しい女性を誘拐して手篭めにした貴族の逮捕"が一件"税金をチョロまかし不正蓄財した領主の捕縛"が一件・・・・・何も問題は無い様だ。
だが最後の一枚を読みローザは全て理解した。

"山賊を討伐した際、山脈の反対に位置する半島にて、海賊が陛下の民より略奪を行っていると言う情報を掴みました。
至急討伐に向かいコレを鎮圧いたします・・・・・・陛下の僕、エリス"

つまり全てがエリスの片付けた事件だったのだ。

「プッ、ククク・・・・・・」

 思わず吹き出すローザをフェリシアはギロッと睨み付けた。

「な~に~が~可笑しいのっ!」

 ローザの表情は崩れた侭だったが、やがて真面目な顔に戻すとフェリシアを諭しだす。

「デッガーの一件でエリスは自分の評価を下げ、曳いては陛下の面目を潰したと思っています。陛下を愛してるからこそ、自分なら未だしも陛下の評判を貶めたく無いのですよ。だから汚名を返上しようと焦っているのです」

 そんな事はフェリシアにも分っている。
だが、だからと言って納得出来る訳ではなかった。


「第10章 エリス現在、家出中 その2」(第46話)


デッガーの一件の後、エリスはフェリシアに暫く一人で考えたいと宮殿を出る事を願い出た。
周りは「もしエリスが陛下の下に戻らないと考えたりしたら・・・魔法が発動を!」と心配したが、フェリシアはエリスを信用し外に出る事を許す。
そしてエリスはフェリシアの宮殿に戻らず軍舎に寝泊りし、朝から晩まで帝国内の犯罪に眼を光らせていたのだった。

その後「国内の治安に乱れが有ります。平定の為、しばし軍を率いて帝国内の巡察をさせて下さい」と願い出た。

そもそもエリスは近衛騎士である。
フェリシアの警護や帝都の防衛が主任務の筈だった。
だが、それだけではデッガーの一件で落とした自分の評価を挽回する事は難しいと思ったのである。

しかしエリスの性格から言って既に調査が始まっている事件を横取りしたり、他の騎士の領分を侵し自分の手柄を立てるなど出来る訳が無い。
そこでエリスは他の者が手を付けて無い事件を解決する事で自分の評価を上げようと考えたのだ。

 当然そうなれば聖都から遠い地方を中心に回る事になる。
デッガーの裁判が終わって半月、フェリシアはエリスと会ってないのだ。
フェリシアの護衛は殆どローザがこなしている。



ローザは一呼吸置いて腰に手を当てると珍しくフェリシアを叱る。

「陛下も悪いのですよ。如何にエリスを愛しているか証明したいからと言って秘呪である"サラマンダーの約束"など使うから・・・。幾等何でもやり過ぎです。死ぬ程の威力が無いと言っても万が一魔法が発動すれば陛下の御顔に一生消えない痕が残るのです。エリスが気に病まないで居られる筈が無いでしょう!それにエリスは必ず戻ると約束しました!エリスが約束を守る積りで有る以上、魔法は発動しないのだから信じて待ってて下さい!」

フェリシアは可愛らしく不貞腐れて頬を膨らませると、

「ウゥ~~~~ッ」

と唸った。
ローザの顔に笑顔が戻る。



実の所、デッガーの一件はエリスの評判に決して悪い影響は与えなかった。
エリスの実績と人柄は帝国内で最高の評価を得ており、厳しい罰を進んで受けた事も幸いして同情論の方が先に立っていたのだ。

帝国内の殆どの人間はエリスの事を"あんな厳しい刑を望んで受けるとは、全く潔い方だ"とか"まだ若い娘が人前で肌を晒し鞭を受けるなど耐えられるモノじゃない。余程強い忠誠を陛下に持っているんだ"と評価していた。

一部例外的にエリスに批判的意見を持つ者もいたが、もし声高に批判を発言すれば自分が不始末を仕出かした際、自分も同じ様に厳しい罰を受けなければ自らの評価を下げて仕舞う。
実の所、そう言う輩はエリスの様に精錬潔白で無いからこそ、そう言う事を言うのであって、その声にフェリシアはおろか国民も耳を貸さなかったのだ。


「第10章 エリス現在、家出中 その3」(第47話)


帝国歴代の皇帝の中でフェリシア程の鉄砲玉は居なかっただろう。
事実、今スグにでもエリスが向かった半島に向かい「いい加減に帰って来ないと本当に怒るわよ!」とエリスを叱り付け、そのまま押し倒して唇を奪い、無理矢理にでも連れ戻したい・・・と思っている。

しかしフェリシアも、ただの小娘では無い。
名君として名高いアヴァロン帝国皇帝なのだ。
フェリシアには現在やらなくては成らない仕事が残っている。
デッガーの後任を選出し、この度の一件に関った者を処罰し、こんな事件が二度と起こらない様に法を改正する必要が有った。
フェリシアが暗君なら放り出すなり人に任せるなりして飛び出したかも知れない。
だが責任感が強い名君フェリシアには、そんな真似は出来ないのだった。
そう正当で必要な理由と外出出来る余裕が無ければ・・・・・・・・・である。

法は改正済みで週末には公布されるし、関係者の処罰は裁判所で裁かれる目処が立っている。
後は後任者の選定のみだから余裕は有る。
それと理由さえあれば・・・・・・・・・・・・・・・

「コイツは・・・駄目ね、几帳面すぎて融通が利かない。非常時に独断で予算を組める位で無いと人事院の大臣は任せられ無いワ。コッチは・・・コレも駄目ね、逆に独断専行し過ぎてコケるのが任せる前から判っているもの」

フェリシアは人事院の新大臣にする候補の調査書を見ながら、ソファの上で胡座をかいていた。
幾等何でも行儀が悪過ぎるので周囲の者が止める様に言ってるのだが一向に聞かない。
エリスに会えないからイジケて拗ねてるのだ。
だが何だかんだ言っても自分の責任と立場を理解してるので、精々この位がフェリシアが出来る最高の我侭だったのだ。

「ねぇローザ、誰か信頼出来る候補は居ないのっ!」

そろそろフェリシアの八つ当たりも厳しく成って来ているが、ローザは一向にお構い無しだ。

「エリスが居たら人材の心当たり位、情報持ってる筈なのにナァ・・・・・」

フェリシアの企みを読み取ってローザはボソリと釘を刺す。

「それを口実にエリスの元へ行く御積りで?」

「ウゥッ、そ・・・それもこれもエリスが私の元を離れるのが悪いのよっ!折角私が騎士として残れる様な方法を考えたのに、そりゃ厳しいオシオキを伴ったけどさっ!騎士団を辞めさせられるよりマシでしょう?だのに世間の評価ばかり気にしちゃって・・・・・・」

ローザは溜息をついた・・・だけで終わらせれば良かったが、独り言を洩らしてしまう。

「マア、他にも・・・・・・」

それを聞き逃すフェリシアでは無かった。

「他にも?チョッと、如何言う意味かしら?他にも何か有るの?私の知らない"何か"が他にも有るの?」

慌てて口を抑えたが、もう遅かった。
誤魔化そうとするも問い詰められて、ローザはフェリシアが知らなかった情報を語りだす。

「近衛騎士団の見習い騎士にシャルロッテと言う者が居ります。御存知ですか?」

フェリシアは"フンッ"鼻を鳴らして答える。

「シャルロッテ・ワーズマン、レティシア・ブルームバーグ、ルイス・ゴブレッティの三人組でしょう?とっくに首を飛ばすようエリスに言って置いたのに・・・エリスは未だアノ三人を庇っているの!」


「第10章 エリス現在、家出中 その4」(第48話)


帝国の騎士団・・・エリスの"第零近衛騎士団"を始め第一から第七迄の八つの騎士団は、各騎士団の団長が人事の最終決定権を持っている。
団長である将軍達は独自に人材を発掘、勧誘し自分の騎士団に入れたり他の騎士団に紹介出来るのだが、基本的には志願した兵士の中から優秀な者が見習を経て"騎士"に成る。
ただその場合、見習の騎士が何所の騎士団に配属されるのかは人事院が振り分ける事に成っていた。

ただ女で騎士を目指す者は優先的にエリスの騎士団に配属された。
女の皇帝であるフェリシアの寝所や浴場、はては着替えや下手をすればフェリシアとエリスの夜伽の時まで一緒に居て警護するのだから当然と言えば当然である。

しかし実際はフェリシアの親衛隊的な色合いが強いので緊急の時などフェリシアの声一つで何所に飛ばされるのか判らない。
そして騎士団長が有能な騎士エリス将軍である為、近衛騎士団は全員が女ながら帝国で三本指に入る実力を持っている。
そのエリスの"第零近衛騎士団"の名声の高さに、武勇を誇る貴族達は我先にと自分の娘を入隊させるのだった。

さて件の三人だがフェリシアが掲げる「法の下に全ての帝国民は平等である」と言う政策を鼻で笑っている娘達だった。
高い身分の貴族出身で、甘やかされて育った我侭娘達である。
平民出身の同僚を差別したり、市民に怪我を負わせたりし評判の悪さは折り紙付だった。
地下ドームで鞭打ち刑を受けるワースト3は常にこの三人で占められていた。



「元々エリスに反抗的で有ったのですが、先の一件以来声高にエリスを貶してます。そこでエリスは巡察に同行させ、共に戦う事で何か彼女等の心を開く切っ掛けが作れないかと考えてるんですよ。」
「そんなに上手く行く筈無いでしょうに・・・あの娘、根が生真面目だから。それで半島まで海賊退治か・・・・・・・・・」

だがフェリシアの言葉を聞きながら入室した第二騎士団のガラハドは顔色を変える。
エリスとフェリシアが出会った頃から騎士を務める武人であった。
二人が出会った時、ガラハドはフェリシアの護衛をしていたのだ。

「待って下さい。それはワーレン海峡を臨むベルナール半島じゃ無いでしょうね?」

フェリシアは手紙を見直すと、

「半島の名は書いてないけど、地理的に言って間違い無いわね。如何したのベルナールは何か不味い事でも有るの?」

ガラハドの顔から血の気が引いた。

「不味いなんてモノじゃ無い!その海賊は悪名高い"漆黒の斧"です。隣国バリネーラの海軍に追われ、我が国に逃げ込んだ情報が今朝届きました!私は討伐隊編成の許可を頂きたくて来たのです」

ローザの顔も青くなった。
フェリシアはガラハドから報告書を受け取ると目を通す。

「その勢力は海賊船八隻に総勢1200人と言われる戦闘集団ですよ!海賊団と言うより海賊国家です。エリスは騎士、兵士合せて50余り・・・分が悪すぎる!」

ローザの呟きにガラハドが答えた。

「私は龍騎士隊を編成し、至急現地に向かいます。お嬢様は聖都にて私からの連絡を御待ち下さい」

だがフェリシアは首を横に振る。

「今、聖都に居る飛龍は50頭と一寸・・・行くなら精鋭を50騎向かわせるべきよ!私以上に魔法を使える使い手が聖都に居る?私は馬は操れないけど龍には乗れるんだから」

ガラハドは反対した。

「お嬢様・・・いえ陛下がエリスを心配しているのは分ります。しかし貴女を危険に晒すのは帝国を危険に晒すのと同義語なのですよ?」

だがフェリシアは即座に怒鳴り返す。

「御黙りなさい!エリスが海賊の手に落ちれば、間違い無く連中はエリスを他国に売るわよっ!エリスは私の騎士であると同時に軍事・内政のアドバイザーで、帝国の機密の全てがエリスの頭の中って事、忘れているでしょう」

事の重大さに気が付きガラハドの顔が更に青くなった。
エリスは拷問に架けられようとフェリシアを裏切る真似はしないだろう・・・が、万が一魔法や洗脳でエリスから情報が漏れたら諸外国の脅威が増す事は否めない。
しかしフェリシアは意外と落ち着いていた。
視線を感じフェリシアは微笑んで説明する。

「我が国の最重要人物であるエリス、そんな重要人物を力量以上に危険な所へ行かせるほど私が愚かに見える?万が一に備えて私も出るけど、エリス程の騎士なら私達が着く頃には全て片付けてる筈よ!ただ・・・」

そう"ただ"フェリシアが心配なのは部下の中に筋金入りの不良達が混じって居る事だった。


「第10章 エリス現在、家出中 その5」(第49話)


一方エリスも少々ピンチに陥っていた。
精々海賊船一隻と思ったら、一隻二百人は乗れる大型船が八隻も連なる大船団だったのだ。
満員まで乗り込んで居ないだろうが敵勢は最低で1000人は覚悟する必要が有るだろう。
そこでエリスは考えを巡らした。
ベルナールは大きな港町で有るが、町と港を繋げるのは切り立った崖に挟まれた狭い街道一つしか無い。
街道にバリゲードを築いたと見せかけて実は薪と藁を重ねて置き、突破し様とした海賊と共に火を放ったのだ。
更に崖から矢を射ったので海賊は甚大な被害を被る。

「フンッ、海賊如きが徒党を組んでイイ気に成るからだ。これで聖都からの応援が来るまで時間が稼げる」

髪を束ねた少女が毒付いた。
彼女が三人組のリーダー格シャルロッテである。

「ホントいい気味ね?」

相槌を打つ連れが二人居る。
だが後ろからエリスが怒鳴り声を上げた。

「何をしてるのっ!誰が持ち場を離れて良いと言ったのですか」

舌打ちをして三人は戻る。

「ローザが居ないと言って気を抜かないでっ!すぐ武器を取り騎乗なさい!」

だが三人組は鼻で笑った。

「何を言ってるんですか・・・海賊は町に入れませんよ。聖都からの応援待つのが定石でしょう。隊長は戦法のイロハも知らないのですか?」

シャルロッテの一言に残りの二人は笑う。
だがエリスは素早く馬を下りるとシャルロッテに平手打ちを御見舞いした。

「敵を侮らないでっ!海賊だって馬鹿じゃ無い・・・長引けば応援を警戒して海に逃れるでしょう。その前に乗り込んで船団を叩き潰します!」

三人の顔から血の気が引いた。

「馬でバリゲードを飛び越えて乗り込む積りですか?冗談じゃない、自殺行為ですよ。行きたいなら御一人でどうぞ」

ローザが居たら即座に殴り飛ばされるだろう。
だが三人はエリスを舐めていた。
しかしエリスは馬に乗って静かに諭す。

「奴らが海に逃れたら、きっと後に何所かで襲われる街が出るわ。そうしたら犠牲者が何人出るか・・・・・・その前に叩き潰す必要が有る事が分らないの?」

だが三人は馬に乗ろうとしなかった。

「ふざけんなよ、アンタの点数稼ぎの為に駒にされちゃタマラナイよっ!行きたけりゃ一人でやんなよ」

三人はエリスを嘲笑った。
だが急にエリスは大声を張り上げ三人を叱責する。

「この場で彼奴等を止めなければ成らない必要性が分らないのですか?国民を守る為に命を捨てる覚悟も無しに騎士に成れると思ってるの?」

悲しそうな顔をしたエリスは、それだけ言うとバリゲードに油と薪を補充する事を兵に命じる。
そして一人馬を駆り、一気にバリゲードを飛び越えたのだ!
まさか一人で飛び込むと思わなかった三人は一瞬我を忘れ・・・次の瞬間うろたえた。
これでエリスに万が一の事が有ったら大変だ。
「命令不服従」か下手をすると「敵前逃亡」の罪に問われる事になる・・・・・・特に後者と判断されたら死刑は免れない。

最初、海賊達はバリゲードの炎から飛び出したエリスを見て馬鹿な奴だと嘲笑う。
若い女の細腕一本で何が出切るモノかと・・・だがエリスの鎧の紋章を見て表情が一変した。
翼を広げた鷲と薔薇をレリーフにした紋章が"聖帝フェリシアに握られし白銀の剣"聖騎士エリスのモノだとを思い出したからだ。
一瞬たじろぐ海賊達、だが焼き討ちに会っても未だ戦力の過半数以上が残っている。
幾等"聖騎士"と言え数百人の海賊を相手に何時まで戦えるのか・・・・・・海賊達は舌舐めづりしてエリスを包囲する。

しかし次の瞬間、海賊は自分の考えの浅はかさを思い知る。
エリスの実力は海賊の想像を遥かに上回って居たからだ。


「第10章 エリス現在、家出中 その6」(第50話)


「じゃあ一人で行かせたの!」

フェリシアは怒鳴るとシャルロッテの頬に平手打ちを見舞った。
しかも往復ビンタで・・・・・

「臆病者に騎士は勤まらないわ!鎧など脱いで家に帰りなさいっ」

フェリシアはそう言うと炎と水の精霊を呼び出し合成する。
反する属性の魔法を合成し反発させる手荒な魔法だった。
反作用爆裂呪文"エクスプローダー"である。
フェリシアの手の中に出現した光球が投げ込まれるとバリゲードが一瞬で跡形も無く吹っ飛んだ。
そしてガラハドに制止する暇も与えずに港の方へ飛び込む。
ローザとガラハド、そして止むを得ずシャルロッテ等三人も後に続いた。

フェリシアがバリゲードの残骸を飛び越え港に駆け込むと、やはりエリスは無事だった。
満身創痍と言う風では有ったが、右手にナイツサーベルを、左手にレイピアを持ち海賊と戦っていた。
だが流石に相手が多かったと見え肩で息をしている。その肩には一本の矢が痛々しく突き刺さっていた!

「こんな雑魚に何を手間取ってるのよ!」

あんまりの台詞に海賊達は一斉にフェリシアに怒りの視線を注ぐ。
たが現れたのが小娘一人と見て馬鹿にした薄笑いを浮かべた。
流石に皇帝がココに来たとなど思って居ないのだった。
最も悪名高いジャジャ馬皇帝フェリシアと判ったなら帝国最高の魔導士の呪文を恐れ、一目散に逃げただろう。

ココで逃げを打たなかったのが海賊達の明暗を分ける。

フェリシアの登場に驚きを隠せないエリスだったが、切りかかった数人の海賊をサーベルの二刀流で薙ぎ払った。
次の瞬間エリスに駆け寄ったフェリシアがエリスの肩を踏み台に飛び上がり、海賊の頭上から"氷結呪文"を詠唱する。
辺り一面を瞬く間に氷の矢が降注ぎ、海賊達の足を止める。

エリスは空かさず堤防の出口に停泊した海賊船に飛び乗って、剣に魔法を篭めるとマストと舵を破壊した。
更に違う船に飛び乗ると、その上で海賊相手に立ち回りを演じる。
その船が動かないと他の船が出港する邪魔に成る・・・エリスの考えを読み取ったフェリシアは火龍を召喚し、上級火炎魔法"ボルケーノ"を唱えると海賊船の甲板を焼き払った。

そのまま一番奥の船に飛び移り、甲板で立ち回るエリスに合流すると、フェリシアはエリスの背中に自分の背中を押付けた。



まだ戦える数百人の海賊は、全てその船に乗り移りエリスとフェリシアを取り囲む・・・・・・・・・だが二人と自分達の間には谷底の様に深いレベル差が有る事に気が付くと、一人・・・また一人と武器を地面に投げ出すのであった。



ガラハドとローザ、そして三人の見習い騎士が船着場に着いた時には全て終わっていた。
海賊達は浜辺で一塊になって大人しく兵士が来るのを待っていた。
実質二人で1000人近いの海賊を倒した事に成る。
三人はおろかガラハドそしてローザさえも、今更ながらエリスとフェリシアの戦闘能力の高さに恐ろしいモノを感じずには居られなかった。

その向こうではフェリシアがエリスを諭していた。
宮殿に戻らなくても良いから聖都に帰るように説得している。
叱るでもなく、命令するでもなく、優しく諭すフェリシアにエリスは聖都への帰還を約束した。

だがエリスは宮殿に帰る事だけは拒み続けた。
今回の一件を省みて、せめて自分に騎士団の綱紀粛正を成すまで待って欲しいと願い出る。
フェリシアは内心「三人の首を飛ばせばスグ規律が締まるのに」と思ったが、それをエリスが聞く筈が無かった。
フェリシアは心の中で溜息を吐きながら、思案を巡らせる。

"フン・・・なら私が3人の性根を叩き直して上げようじゃないの!但し・・・エリス、貴女にも少々辛い思いして貰うからね!"

フェリシアは心の中で呟いた。

"その代わり、三人に改心する機会を与えて上げるから・・・・・・"


「第10章 エリス現在、家出中 その7」(第51話)


そして数日後の聖都郊外での出来事である。

「クッソ~~~ッ、痛たたた・・・・・・」

丘の上に在る修道院、其処からシャルロッテ等三人が不満を口にしながら歩いて来た。
修道院で"鞭打ち100発"の刑を受けて来たのだ。
本来、近衛騎士団の不始末は地下ドームで裁かれる。
だが今回三人がエリスに逆らったのが、エリス率いる軍団の兵達の眼前だった為に内々で片付けられなかったのだ。
その為三人は帝国裁判所で裁かれ、本来"鞭打ち刑の刑場"である修道院で鞭打たれる事に成り、其処で罰を受けたのだ。

余談であるが帝国で刑罰として鞭打ちを受ける場合、男は裁判所の中庭、女は修道院で刑を受ける事になる。

三人は修道院の在る丘・・・と言うより小さな山を下りると川に掛かった橋を渡り一息付いた。
規則で鞭打ち刑を受けた者は橋を渡るまで薬や魔法を使い治療する事を禁止されており、破れば鞭打ち刑は最初からやり直される。
また修道院から橋までの間を馬や飛龍、馬車を使い移動するのも禁止されている。
せめて麓の橋までは痛いのに耐えて反省しろと言う意味なのである。
だから鞭打ち刑が行われた時には親族が医者や治癒魔法を使える者を連れ迎えに来て、橋を渡ると治療する光景が、刑が行われる度に見られたのだった。

だが三人には向かえなど無かった。
元々嫌われていて友人も居ないし、貴族や名家の出身であった三人は親類縁者からも散々叱責され「家名に泥を塗った愚か者め!」とか「汚名を返上するまで帰って来るな!」とか「これで騎士団を辞めさせられる事にでも成ったら勘当する!」と言われてる。
従って騎士団を辞める事も出来ないのだ。

「チクショウ・・・」
「何で私達が、こんな目に・・・・・・」
「それもこれも・・・・・・・・・」

「エリスの所為だと言うのかしら?」

三人の見習い騎士は剣を抜きながら振り返る。
だが声を掛けたのがフェリシアと知り、慌てて剣を鞘に戻した。

「陛下、一体何故この様な場所に・・・・・・・・・」

剣を収めながら膝を折る三人に対し、フェリシアは優しく・・・それでいて拒否出来ない威圧の篭った声で話し掛けた。

「少し顔を貸して頂けないかしら?貴女達に如何しても見せたい物が有るの」

フェリシアは静かに言ったのだが、有無を言わせぬ気迫が篭っていた。
勿論三人に逆らえる筈も無く・・・・・大体「顔を貸せ」と言うようなチンピラまがいの言葉をフェリシアが使うのは、相当頭に来ている証拠だった。



フェリシアは持っていた杖を地面に突き立てる。
すると三人を囲んで地面に魔方陣が浮かび上がる。

「インビジブルの結界魔法よ。その中に居れば気配すらも漏れる事が無く、外部から完全に隠れる事が出来るの。その中に居る貴女達に此方の声や音は聞こえるし様子は見える筈、でも貴方達が大声で騒ごうとコッチには聞こえないし、決して見えないワ」

三人は思わずフェリシアに近寄った。
だが魔方陣は結界を形成し、三人を外に逃さない。

「その中から暫く見てなさい!如何ほどエリスが貴女達を思ってるのか見せて上げるから」

そう言って腕を組み、道の真中に仁王立ちになった。
眼は真っ直ぐ修道院を向いている。
程無くして修道院より何者かが歩いて来る・・・・・・紛れも無くエリスだった。
だが如何も様子がおかしかった。
まるで病人の様にふら付き、杖を突きながら歩いているのだ。


「第10章 エリス現在、家出中 その8」(第52話)


「陛下っ?何故こんな所に・・・・・・」

橋の途中でフェリシアに気が付いたエリスは、フェリシアの前に駆け寄ると足を折り跪く。
しかしインビジブルの効果で三人の娘には全く気が付いて居なかった。
うっそうと茂る林の中でエリスはフェリシアと二人だけだと思っている。

「エリス、服を脱いで背中とオシリを見せなさい」

エリスの背筋が一瞬ビクンと振え、動きが硬直した。
しかし観念したエリスはユックリと服を脱ぎ始めた。
ブーツ以外全て脱いだ所で、フェリシアはエリスに目の前の木の幹に手を付くように命じた。
エリスがその通りにすると丁度雲が途切れ、エリスの白い肢体が浮かび上がった。
その背中を見て三人は息を飲んだ。
エリスの白い背中と双臀は鞭打ちの痕で傷だらけだったからだ。

「エリスッ!自分の騎士団から懲罰者が出る度に自分も同じ罰を受けるなんて馬鹿な事は止める様、命じた筈よっ!」

三人は驚いた。
それが本当なら今までエリスは自分の騎士団から懲罰者が出る度に自分も同じ罰を受けてた事に成る。

「お言葉ですが陛下、私の騎士団に罰を受ける不心得者が出るのは私の管理が行き届いて無い証拠です。部下にだけ罰を与える訳には行きません!」

フェリシアは溜息を吐くと、両手の平をエリスの背中からオシリにかざし、治癒魔法を唱えようとする。
だがその手を握り返し、エリスは言うのだった。

「お気持ちだけ頂きます。罪を犯し罰を受けた者に、お気遣いの必要は有りません」

橋を渡った途端、互いの傷に薬を塗りだした三人とは覚悟が違う。
フェリシアはマタも溜息を吐くとエリスに言った。

「エリス、今日は貴女に話が有るの・・・貴女の騎士団は私を最も近くで護衛する任務を持ってるのは・・・・・・・・・判ってるよね?」

頷くエリスにフェリシアは言葉を続ける。

「その騎士団の中に不協和音が有るのが、如何に危険な事か分かるでしょう?私の政策に反対する者なら、私の暗殺に荷担する可能性も・・・・・・今まで何人も、そう言う輩を見て来たでしょう?」

フェリシアの改革は一部の利権者から利益を奪っていた。
イヤその利益とは元来国民が得る物なのだが・・・・・・そう言う輩が放つ刺客をエリスは何人も撃退している。

「お待ち下さいっ!確かにアノ三人の行状は目に余る物が有ります。ですが陛下の御命を狙う真似など・・・・・・・・」

「何で言い切れるの?」

「そ・・・それは・・・・・・・」

言葉が詰まるエリス、フェリシアは更に攻め上げる。

「エリス、命令です。あの三人を騎士団から除名なさい!軍を辞めさせる必要は無いけど騎士団からは出て行って貰います」

エリスは驚いた。
まさかフェリシアがココまで三人に怒っていたと思わなかったのだ。
だが覚悟を決め表情を厳しくした。
フェリシアに逆らう覚悟を・・・・・・・・・


「第10章 エリス現在、家出中 その9」(第53話)


「第零騎士団の人事権は私が有しています。その命令・・・聞く訳には!」

三人は結界の中で驚く、エリスがココまで自分を庇うと思わなかったのだ。
今までは三人はエリスが自分の騎士団から除名処分される者が出ると自分の評判を落とすから、自分達をクビにしなかったのだと思ってたのだ。

「エリス・・・何故?あの娘達を何故そこまで庇うの?」

エリスはフェリシアの足元に跪くと自分の額を地面に擦り付ける様に頼み込んだ。

「御願いします。後少し・・・後少しで良いのです。三人に時間を上げてやって下さい。陛下が思っている程、三人は悪い娘達では無いんです!」

エリスは必死に成って嘆願した。

「確かに三人は問題が有ります。しかし一方で河で溺れていた子供を助けたり・・・・・・決して本当に性根が悪い娘達では無いのです。あの娘達は家族に問題を持ってるのです!」

三人は更に驚く、自分達の事をエリスは見ていた事に・・・・・・

「レティシアは妾の娘です。その為、兄弟に散々蔑ろにされて来たのです。ルイスは父親の再婚で後妻から迫害され、そしてシャルロッテは・・・・・・・・・」
「貴女と同じ境遇だもんネ?」
「御存知でしたか・・・・・・・・・」

シャルロッテは両親を無くし、祖父に預けられてたのだ。
ただエリスの場合と違い、シャルロッテの祖父は、事の他名誉に貪欲で自己中心的な男だった。
シャルロッテは愛情では無く、厄介者を蔑む眼と厳しい躾を押し付けられて育ったのだ。

「エリス、だからと言って三人を特別扱い出来ないわよ」

フェリシアの言葉は厳しい、確かにフェリシアには皇帝の資格が十二分に有った。
自分の愛人が相手でも公私を混同しないのだ。

「帝国の最中心機関を守護する第零騎士団に綻びが有っては成りません。後一ヶ月猶予を与えます。その時は三人が改心してない場合は・・・・・・エリス残念だけど、その時には貴女にも責任を取って騎士団を辞めて貰います!」

エリスの顔が真っ青に成った。
次の瞬間、双眸から涙が溢れ出し、ポロポロと涙が零れ出す。

「私の政策に反対する娘達、貴女がどんなに庇おうと、いつ何時"暗殺者"に変るか分からない。そんな者を私の警護に就ける以上、そうし続ける貴女に責任を取らせない訳には行かないワ!例えエリス貴女でも・・・・・・・・・」

エリスは静かに啜り泣き、だがハッキリこう言った。

「分かりました。一ヶ月・・・一ヶ月で三人が改心しない時には・・・・・・私は責任を取って騎士団を辞任致します」

「宜しい・・・では行きなさい!傷に障るから今日は早く休むのよ」

「御心遣い、アリガトウ御座います」

エリスは泣きながら踵を返すと、その場を黙って立ち去った。


「第10章 エリス現在、家出中 その10」(第54話)


エリスの姿が見え無くなるとフェリシアはインビジブルの結界を解いて三人に言った。

「良かったわね?これで貴女達が態度を改めなければ、エリスは一ヵ月後には騎士団から消えるわよ?」

だが三人は答えなかった・・・答えず子供の様に泣ている。
この薬思いの外、薬効が有る様だった。



一ヶ月後シャルロッテ・レティシア・ルイスの三人は、軍舎の中にあるエリスの執務室に呼び出された。
もっとも最近は問題は起こしてないから怒られる事は無いだろう。
この所三人は、まるで別人の様に礼儀正しく、勤務態度も眼を見張る良い物に変わっていた。
これならエリスが騎士を解任される事は無い・・・・・と三人は思っていた。
だが三人の考えは甘かった。今までのツケは思いの外、大きかったのだ。

「シャルロッテ、レティシア、ルイス、出頭しました」
「お入りなさい」

エリスの優しげな声が答え、三人は執務室に入る。
しかし中にはエリスは挟んで第六騎士団団長の騎士カミーラ将軍と第零騎士団副団長のローザが、険しい顔付きで立っていた。三人の背筋に緊張が走る。

「エリス、悪いけど私から話を進めさせて貰うよ?」

カミーラ将軍が言った。
エリスとカミーラは帝国に二人しか居ない女の騎士団長で、互いに認め合っている良きライバルであり友人でもあった。
ただし厳しいが優しいところはエリスと同じなのだが、カミーラのキャラクターはエリスと逆で、いつも鞭を腰に巻き肩で風を切って歩いている姉御肌の騎士である。
「さて率直に言わせて貰うけど、三人に聞きたい事が有る。この一週間オマエ達三人の態度は眼を見張るように良いモノの変わったな」

「ア・・・アリガトウ御座います」

三人は緊張して答えた。

「だが私を含め、他の将軍達からも疑問の声が上がっている。何か企んでいるんじゃ無いかとな・・・・・」

三人が顔を見合わせる。

「私はエリスの様に全面的にオマエ達を信用出来ない。何を切っ掛けに心を入れ替えたのか納得の行く説明をして貰う」

真面目になって目を付けられるのは可哀想であるが、自業自得と言えば其れまでだった。
だからエリスが助け舟を出す。
もっともエリスには思い当たる節が有ったからだ。

「私は貴方達を信じています。だから正直に言いなさい・・・何で急に態度を変えたのかしら?大体検討が付いてるけど・・・陛下に叱られたのでしょう?」

修道院の帰り道、あんなに厳しい事を言いながらもヤッパリ陛下は自分を気に掛けてくれていたとエリスは思っていた。
だが三人は押黙ったままだった。
エリスが怪訝に思う。

「如何したの?何故何も言わないのですか?」

カミーラは三人の態度に不信を募らせる。

「言えない理由が有るのか?エリス、やはりコイツ等を騎士団に置いとくのは危険だぞ。何か隠している・・・捕縛して取調べるべきだ」

その時予想外の事が起った。
三人は床に土下座を付いたのだ。

「お願いですっ!理由は・・・理由は聞かないで下さい。決して疾しい考えを持ってる訳では・・・・・・・・」
「失礼します」

良く通る声で挨拶をして一人の兵が執務室に入って来た。
騎士見習のリアと言う少女だった。
市井の出で真面目で勤勉な娘である。
既にフェリシアには騎士への昇格を検討するよう打診してある優等生だった。

「差し出がましいと思いますが是非報告したい事が有ります」

勿論エリスは発言を許した。
実は今エリスが最も期待している新人が、このリアである。
もっともエリスは普段から身分や経験に捕われず人の意見を良く聞くタイプの上司であったのだ。


「第10章 エリス現在、家出中 その11」(第55話)


「三人が何も言わないのは・・・エリス様に気を使っているのです。エリス様が誰にも教えず、自分の騎士団から懲罰者が出る度に自分も同じ回数だけ鞭打たれている事を言いたく無いのです」

途端に三人が飛び上がって口止めしようとする。
だがリアは更に三人を叱り付けた。

「貴女達が何も言わずに罷免されたら、エリス様まで騎士団を去る事に成るのよっ!これも今までの悪行のツケとして甘受なさいっ!」

この一言にはエリスも反応する。

「な・・・なんで貴女が知っているの?」

「申し訳御座いません。先月・・・私はフェリシア様の御付きとして、あの場に居たのです。その三人と反対の場所で互いに陛下の魔法で隠れながら・・・・・・だから私と三人はフェリシア様とエリス様の約束を、三人が改心しないとエリス様が騎士団を去る事を知っているのです」

ローザとカミーラも、何も言えないでいた。

「三人は本当に改心しています。あの翌日シャルロッテ達三人は私達騎士見習の兵士を全員地下ドームに集めました。そして"これからは心を入れ替えるから、今までの非礼を許して欲しい"と言ったのです。今までが今までだけに最初は誰も信じはしませんでした。ところが三人は服を脱いで自ら鞭打ち台に上がったのです。そして"今まで皆に無礼を働いた分、全員の気が済むまで罰を受ける"と言いました」

エリスは何も知らなかったので本当に驚く、もちろんカミーラとローザも驚いていた。

「最初は気味悪がって遠巻きにしていた皆も余程三人の態度には怒っていたのでしょう。一人、又一人と鞭を取って三人を叩き始めました。でも三人は最後まで泣き言一つ言いませんでした」

そこでシャルロッテが口を開いた。

「同僚達を止めてくれたのは・・・今まで私達が三人が平民出身だからと散々虐めて来たリアでした。他の同僚達に"三人は十分に反省している。許しましょう"って説得してくれました。今まで散々虐めて来た私達なのに・・・・・・・だから・・・・・・・だから私達は・・・・・・・・・・」

シャルロッテの声は最後には涙声に成っていた。
エリスは優しくシャルロッテの肩を抱き締める。

「ゴメンなさい・・・ゴメンなさい。エリス様、本当にゴメンなさい」

泣きじゃくるシャルロッテを見てエリスは自分の見込みが外れていない事を確信した。



リアとシャルロッテ達三人を送り出すと、エリスは廊下の柱に大声で呼び掛けた。

「陛下っ!いらっしゃいますね・・・・・」

柱の影からバツが悪そうにフェリシアが顔を出す。

「良く分ったじゃない?」

「リアが来るのがタイミング良過ぎます。全く悪戯が御好きなのだから・・・・・・・・でも、これでシャルロッテ達を許して頂けますか?」

ところが思い掛けない言葉がフェリシアから発せられる。

「冗談でしょう?マダマダ不十分よ!今後三人が私に忠誠を誓うのか・・・そして私やエリスの命令に命を捧げられるのかテストしますからね!」

嫌な予感がしてエリスの顔に不安が浮かぶ。

「覚悟なさい。もし三人の改心と忠誠が贋物だった場合、貴女には相応以上の罰が有りますからね」

やはり予感に間違いは無い様である。
その場にエリスを残して立ち去るフェリシアは心の中で笑う。

「マア心配無いでしょうけどネ・・・でも私を1ヶ月以上放って置いた分と私の命に逆らった罰をタップリと味わって貰うからね?なんせ暫くHが無かったんだから、その分タップリ濃厚に・・・・・・・・・・」


「第10章 エリス現在、家出中 その12」(第56話)


その週末ようやくエリスが宮殿に戻ると、当然ながら早速その晩フェリシアに夜伽の相手を命じられた。
身体を洗い清めると新しい下着と鎧を見に着けるエリス、近衛騎士であるエリスは基本的に宮殿内では常に鎧姿で帯剣しているのだった。

そしてフェリシアの寝所に入るなりエリスは唇を奪われ、フェリシア自らエリスの女の部分へ濃厚なリップサービスを受ける事に成った。
勿論この場合のリップサービスとは本来の意味である"言葉によるヨイショ"の事ではない。

もっとも濃厚な愛撫には理由が有った。
究極の再生能力があるエンシェントエルフは一ヶ月も放って置かれたら性器や肛門が処女同然の所まで戻ってしまうのだ。
なんせエンシェントエルフは処女膜すら再生すると言れている治癒・再生能力が高い種族だった。
従ってエリスは処女膜が無いだけで今日も破瓜の痛みを味合わなければ成らないのである。

だが長年付き合っていたフェリシアはエリスの身体を熟知している。
こう言う場合エリスが極力痛い目を見ない様、十分に下拵えする知識と経験が有った。
今回もエリスが十分潤ったのを確認するとフェリシアは魔法のリングを自分で装着し、クリトリスをペニス化させエリスの中に突き立てた。
エリスは流石に多少痛みを感じたが、我慢出来ないモノでは無かった。

「アウッ!陛下・・・・・・・」

エリスが何かを言おうとした時、部屋の扉をノックする音が聞こえてエリスの背筋が飛び上がった。
フェリシアは意地悪そうな微笑を浮かべると指を鳴らし侍従に合図を送った。
皇帝であるフェリシアの寝室には、例え愛し合っている時でも数人の侍従が部屋に居るのだ。
ただ普段はフェリシアのベットは衝立で覆われて、直接愛し合う所を見られる事は無い。

「し・・・・・失礼します」

侍従に連れられて衝立の裏に来たのはシャルロッテ達三人であった。
エリスは上半身は鎧を着けているが下半身は丸出しで、横たわるフェリシアの腰の上に跨っている。
従って三人からは白い双臀とフェリシアの長大なペニスを飲み込んでいる女性器が丸見えであった。

「こ・・・これは一体っ!陛下っ、放してっ!お願いですから手を放して下さい」

エリスはフェリシアの上から逃げようとする。
だが指をエリスの双臀に喰い込ませ、フェリシアはエリスを放そうとしなかった。
それどころかエリスの尻肉を抓り上げる。

「大人しくしなさいっ!三人は私が呼んだのだから・・・・・」

エリスは驚愕した顔でフェリシアを見詰めた。

「さてと・・・エリス、確かに三人を改心させたのは誉めて上げる。いかに私が手を貸したからって貴女の人徳が無かったら、このバカ娘三人組は何時までも心を入れ替えなかったでしょうから・・・・・・・」

そう言ってエリスを抱き抱えたまま、ベッドの縁に座り直した。
頭を垂れている三人は見えていないが、顔を上げれば目の前にエリスの最も恥ずかしい場所と双臀が目に入る位置だった。

「でもエリス如何に三人が性根まで腐って無かったとしても、私の政策を嘲笑うような者を何時までも放置した事をタダで許す訳には行かないわよ!」
「そ・・・それは・・・・・・」

言い訳をしようとしたエリスの言葉は途中で途切れた。
確かにフェリシアの言う通りなのだ。
修道院で鞭を受けた時にも言われた通り、三人が何かを目論んだ時は大変な事に成る。


「第10章 エリス現在、家出中 その13」(第57話)


「私が三人に出した転属命令を再三無視し、首を飛ばせと言う私の命を正面から拒否した・・・・・・エリスッ!貴女は私の寵愛を受けて、少し増長してるんじゃ無いの?」
「そ・・・その様な事は御座いませんっ!私はタダ・・・・・・・・・」

だが又してもエリスの釈明は途切れたのだった。
騎士団の人事権がエリスに有るのは確かだが、皇帝であるフェリシアの命に正面から逆らって良い筈が無い。
増長と言われても仕方が無かった。

「陛下の・・・陛下の仰る通りです・・・・・・・・」

消えそうな声でエリスは呟く。

「確かに私は陛下の寵愛を良い事に慢心していたのかも知れません。この上は、如何か私に厳しい罰を御与え下さい」

すると三人が顔を上げ、空かさず言葉を発し様とした。
だが行き成り眼前に、エリスの双臀とフェリシアの巨大なペニスを飲み込んでいる性器が現れて言葉に詰まって仕舞う。
気を取り直しシャルロッテが喋り出したのは一呼吸遅れた後だった。

「待って下さい。悪いのは私達です。如何か罰は私達に・・・・・・」

しかしフェリシアはエリスを抱いた侭でベッドサイドのテーブルから鞭を取ると、シャルロッテの太股に強烈な一撃を御見舞いした。

「キャッ!」

思わず太股を抱え蹲るシャルロッテ、その頭上からフェリシアの声が降り注ぐ。

「御黙りなさいっ!第一貴女達が罰を受けた時にエリスも自ら同じ罰を受け続けてた事、もう忘れてるの?」
「し・・・しかし!キャアッ!ハウッ!ヒッ!ヒィッ!・・・・・・・」

更に言葉を続けるシャルロッテに鞭が降り注いだ。

「私にまだ逆らうのかしら?エリスこの子達こんな調子で本当に忠誠を誓ったと言えるのかしら?」

フェリシアの膝の上で震えていたエリスは、その一言で自分を取り戻す。

「シャルロッテ、言葉を慎みなさいっ!」

エリスに怒鳴られ硬直するシャルロッテ、彼女が言葉を飲むとエリスは厳しい声で叱り付けた。

「陛下は自分の間違いを指摘したり、有益な情報や知識なら、誰の言葉でも公平に聞いて下さる方です。でも今回は陛下の言われる通りです。私は責任を取り罰を受けます。それに対して物申すなんて貴女の様な未熟者には早過ぎます。分をわきまえなさいっ!」

たが次にエリスは優しい声でシャルロッテを諭した。

「罪を犯した者は身分に関係なく罰を受ける国、それがアヴァロン帝国です。私とて例外では有りません。でも私を庇ってくれたシャルロッテの気持ちは嬉しいわ。アリガトウ・・・しかし、これ以上発言する事は許しません」

エリスは最後だけ厳しく言い渡した。
するとフェリシアは隠していた布でエリスを後ろ手に縛り、残った布を丸めて口へ押し込んだ。
これでエリスは喋る事が出来ない。

「覚悟は良い見たいね?ではエリス、貴女への罰を言い渡します。貴女は三人の前で体罰を受けるの!この娘達の改心が本物なら罰を受け泣き叫ぶ貴女を見て心を痛め、自分の犯した罪を反省するでしょう。それに罰を受けるエリスの無様な姿を見た後もエリスの命令に素直に従ってられたら忠誠を本物と認めて上げる」

エリスはコクンと首を縦に振った。
覚悟は決まっているのだ。

「でも数百回の鞭を受けても呻き声すら洩らさなかった貴女に普通の体罰を与える気は無いからね。貴女へ与える罰は今から"前座無しでアヌスを犯される事"よっ!」


「第10章 エリス現在、家出中 その14」(第58話)


エリスの眼が驚愕に見開かれた。

「一ヶ月放置されたエリスのアヌスは処女も同じ、前座も無しで犯されたら間違い無く裂けて大怪我をするでしょうね?」

エリスはガタガタ震えだした。
何て恐ろしい罰なのだろうと思い、震える身体が止まらなかった。

「オシリの穴を犯され、裂けた肛門から血を流しながら泣き叫ぶ貴女を見せ付けられる。覚悟なさい、それが貴女達三人とエリスに与えられる罰よ。ン?・・・あららエリスッたら、余程このオシオキが怖いみたいね?」

"シャアァァァ~~~ッ!"と軽い音を立てエリスは失禁してしまう。
フェリシアに前から抱かれているのでフェリシアの膝を尿で濡らしてしまったのだ。
フェリシアはエリスの失禁で汚れた身体と寝所を片付けさせるとエリスのアヌスにペニスの先端を押し付ける。

「覚悟なさいエリス・・・今まで味わった事が無い位に激しい苦痛を味わって貰うから!」

ペニスに力を込められエリスの顔が苦痛に歪む。
このまま貫かれたら間違い無く裂けてしまうだろう。

「陛下っ!御願いします。どうか考え直して下さい!」

シャルロッテが声を張り上げた。
以下に激しい罰が待ち受けようと黙っていられなかった。
エリスが苦しんでいるのは間違い無く自分達の所為だったからだ。

「どうか・・・どうか罰は私達に与えて下さい!」
「エリス様を許して下さいっ!」
「御願いしますっ!」

三人は口々にエリスを許して欲しいと嘆願した。
フェリシアが鞭を取り上げ振りかぶっても・・・である。

「どうかエリス様を御許し下さいっ!御願いします・・・どうか・・・どうか・・・・・・・」

最後は涙声に成っていた。

「そんなにエリスを許して欲しいの?でも如何し様かしら・・・幾ら何でもタダで許す訳には行かないからネ!エリスが私の命に逆らい続けた事は事実なんだから・・・・・・・・」

正直フェリシアはホッとする。
このまま三人が何も言わなかったら本当にエリスのアヌスを貫かなくては成らない。
確かにフェリシアはサディストで、例え傷跡が残る事が無いエリスの身体でも傷を付けたくは無かったのだ。
幾ら傷跡が残らなくても受けた痛みは人間と変わらない。
そうでなくても処女同然のアヌスは犯されれば相当の痛みを伴うのだから・・・・・・

「前座無しでオシリを犯される痛みと同等以上の恥ずかしさを伴う罰を受けるなら許して上げましょう」
「そ・・・それは何でしょう?」

三人は声を揃えて即答した。
だがフェリシアは笑いながら三人に告げる。

「今から私はエリスの女を犯します。そして射精するまでの間、貴女達に猶予を与えましょう。その間にエリスのアヌスを解き解すのです」


「第10章 エリス現在、家出中 その15」(第59話)


三人は意味が判らず互いの顔を見回す。
だがエリスは意味が判ったようだ。
顔を真っ赤にして暴れだすとフェリシアに向かって何度も頷いた。

「エリスは判ったみたいね?そう貴女達三人がエリスのオシリに前座を施し私のペニスを受け入れられるようにするのです。指や器具を使う事は許しません。貴女達は自分の舌でエリスの菊の蕾を舐め解し愛撫するのです」

三人は漸く意味を悟って顔を赤く染めた。
一方エリスは半狂乱に成って暴れだす。

「エリスでも部下にオシリを愛撫されるのは嫌なようね?幾ら可愛い部下とは言えオシリの穴を責め嬲られる位なら前座無しでアヌスを貫かれ括約筋を引き裂かれる方がイイのかな?」

エリスは何度も頭を縦に振った。
エリスは目上だ下だと考えるタイプではないが、子飼の部下達に肛穴を舐められ愛撫されるのは流石に耐えられない。

「駄目ね!」

フェリシアは無情に言い放った。

「いつも言ってるでしょう?恥ずかしい思いをするのも罰の内だってネ。今回はコレが貴女に対するオシオキよっ!そもそもエリスに決定権は無いの、如何するのかはシャルロッテ達三人が決めるのよ」

三人は顔を真っ赤にして俯いた。
実は三人とも男を知らない生娘だったのだ。
なのに他人の前で、同性の、しかも肛穴を舌で愛撫させられるのは大きな抵抗がある。
躊躇っている三人を他所にフェリシアはベッドサイドに腰掛けるとエリスを正面から抱き抱え、その女性器に自分の一物をインサートした。

「ふうっ!むぐぅ・・・・・」

くぐもった声が猿轡から漏れた。

「さあ時間は無いわよ!私が射精するまでの間、出来る限りエリスのアヌスを柔かくして上げるのね」

シャルロッテは顔を見上げた。
其処にはフェリシアの長大な一物を飲み込んでいるエリスの性器が有る。
あの大きなペニスを処女同然の肛門に捻じ込まれたら・・・・・考えるだけで痛みが走りそうだった。
躊躇している時間は無かった。
最初に行動を起こしたのはシャルロッテだった。
エリスの双臀に両手を当て、左右に割り開くと口を近づける。
シャルロッテの吐き出す温かい吐息をアヌスで感じ、エリスの背筋が凍り付いた。
だが一向に舌先が責めに来ない怪訝そうに思うエリスが振り返ると、エリスの尻を前にしてシャルロッテは号泣しているのだった。

「スイマセン・・・こんな事に成って本当に申し訳有りません。誇り高きエリス様がこんな事をされて、どんなに辛いのかは分っている積りです。でも・・・これ以上エリス様が傷付くのは見ていられないんです」

泣きながら必死に謝るシャルロッテ、後を見ると残りの二人も泣いている。

「後でどんな罰でも御受けします。騎士団からも去ります。でも・・・でも今だけはエリス様を辱める事を許して下さい。失礼しますっ!」


「第10章 エリス現在、家出中 その16」(第60話)


其処まで言われてはエリスは何も言えなかった。
だが次の瞬間不意打ちで襲って来たシャルロッテの生温かいヌメッとした舌の感触にエリスは盛大な悲鳴を上げる。

「はうっ!うわあ~~~~~っ!!」

勿論塞がれている口からはくぐもった悲鳴しか出て来ない。
それでも叫ばずには居られなかったのだ。

「ヤメテェ~~~ッ!お願いよシャルロッテッ!お願いだから許してェ~~~っ!」

しかし声は届かず、シャルロッテは必死で舌先を尖らせ、エリスのアヌスを串刺しにして押し広げる。
それは一種の拷問であった。
肉体で無く、精神に苦痛を与える拷問である。

「助けて・・・お願いだから助けて・・・・・・」

泣きながら叫ぶエリス、だが本来助ける立場の筈のフェリシアは率先してエリスを責め嬲る指揮を取っていた。

「駄目ョそんなんじゃっ!もっと舌を突き立てて力尽くでアヌスを抉じ開けるのよっ!私が射精するまでしか時間が無いんだから遠慮してる余裕は無いからねっ!」

"ピチャッ・・・ペチャッ・・・ピトッ・・・ペト・・・・・・"

イヤらしい水音と同時にエリスの肛門から舌が進入して来る。

「そうよ中に入ったらオシリの穴の中で壁を舐めながら開いて行くの。エリスがオシリの穴を絞めて閉じようとしたら、罰として乱暴に舌を捻り入れなさい。そうしないとエリスの抵抗は止まらないわよ」

シャルロッテはフェリシアの教えを忠実に守り、舌を捻じ込んだ。

「むぐぅ~~~っ!」

エリスの悲鳴が上がる。
と同時にシャルロッテは舌を尖らせて頭ごと前後に動かしエリスのアヌスへ挿し込んだ舌にピストン運動をさせる。

"グチャッ!ズチャッ!ビチャッ!"

「ムグッ!ウグッ、グヒィ・・・・・・・」

エリスは息も絶え絶えになりながらシャルロッテの責めに耐えるしか出来ない。
だがシャルロッテも疲れが見え始め、下の動きが穏やかに成り始めた。
エリスの心も落ち着きを見え始める。
しかしフェリシアがそんなに甘い筈が無い。

「プファッ!」

シャルロッテが口を放すと同時にフェリシアの声が響く。

「次っ!ルイス?それともレティシア?」

動いたのはレティシアだった。
躊躇いがちに口を付けると荒々しいシャルロッテの動きと違い優しく、そして丁寧にアヌスを愛撫する。

「ヤダ・・・イヤだっ!許して・・・陛下お許し下さい。お願いですから・・・・・・・・・・」

だが猿轡に塞がれた声が出る事も無く、くぐもった呻き声しか出さなかった。

「そうだアヌスを愛撫しない間、残った二人はエリスの足の裏を舐めなさい」

又してもエリスの瞳が恐怖に見開かれた。

「擽ったがり屋さんのエリスだから、ひょっとしたら酸欠で失神するかもね?そうしたらオシオキは終わりにして上げる」

一時的に辛い目に合わすと言え、エリスが失神したら拷問が終わる。
残った二人に選択の余地は無かった。
エリスの懲罰に「拷問擽り責め」が追加される。


「第10章 エリス現在、家出中 その17」(第61話)


シャルロッテの乱暴なまでに荒々しい舌責めとレティシアの優しく丁寧な舌責め、そして意外にも"そう言う経験"が有ったらしいテクニックに富んだルイスの責めを交互に味わい、エリスのアヌスは意外に早く解されていった。
その後、フェリシアは指を使いエリスを責める事を許し、次は淫らな道具を貸し与えた。
しかも手が空いてる二人は最初は足の裏を舐める擽り責め、次は首筋や耳、乳房や乳首など性感帯をアヌスと同時に責める事を命じられる。
エリスは涙が枯れ果てると思う位、泣き叫び続けるのだった。

「そろそろ良いかしら?」

グッタリと動かなくなったエリスを四つん這いにさせる。

「さて予想以上に解れた様ね?これなら裂ける心配は無いでしょう。最後の仕上げにエリスが可愛らしく泣く所を其処で見物してなさい。貴女方が馬鹿な事をする度にエリスが酷い目を見続けてる事を・・・しっかりと目に焼き付けなさい!」

そう言ってエリスのアヌスにペニスを押し付けた。
しかし腰が動かない。

「流石にレイプまがいに舐められたんじゃ唾でしか濡れてないのね?これじゃ裂けなくても痛いでしょう。ローションも少ないし・・・・・・・・・貴女達、誰でも良いから私のペニスを舐めて濡らしなさい」

流石に三人は躊躇しているとエリスが動き出す。

「そ・・・それだけはお許し下さい。そのオシオキは酷過ぎます」

フェリシアの足の甲に頬擦りして哀願する。
フェリシアのペニスに他の者がフェラチオする事を嫉妬しているのだ。

「そんなに嫌なら懲罰には良いかもね?」
「そ・・・そんなぁ、ウウッ・・・・・・」

本当に泣きそうに成るエリスをフェリシアが叱る。

「何時も心配ばっかり掛けさせて・・・私が結構本気で怒ってる事を分ってないでしょう?」
「申し訳御座いません。今後は気を・・・」
「駄目ね!今回は堪忍袋の緒が切れてるんだから・・・今回は一体私をどの位放置したと思ってるの?」
「お許し下さい。エリスは・・・・・・」

エリスの戸惑い様にフェリシアは笑いたいのを我慢するのが大変だった。
だが憮然とした顔で一枚の紙を取り上げるとエリスに突き付ける。

「これは・・・へっ、陛下っ!」

フェリシアは生温かく笑うとエリスに言った。

「其処に書いてある事を私に誓いなさい。証人として三人が見ている前で大声で読み上げるのよ」

エリスの顔が真っ青だった。

「それだけは・・・それだけは御許し下さいっ!」
「駄目っ!駄々を捏ねると宮殿前広場で読ませるからねっ!三人と不特定多数、ドッチの前で読むのが良いのかな?」

これがフェリシアを放って置いた分のオシオキだった。


「第10章 エリス現在、家出中 その18」(第62話)


ベッドの上で座っているフェリシア、その前で床に座り三つ指を突いて頭を下げるエリス、後から見守る三人娘・・・・・・三者の立場は丸で違った。
抱き合い怯えながら上官を見守る三人の耳にもエリスの声がハッキリ届く。

「親愛なるフェリシア陛下、こ・・・この度は恋人であるエリスが長期に渡り、陛下を放置していた我侭を御詫びします。その罰として・・・・・・」

ここでエリスの言葉が止まる。

「如何したのエリス、続けなさいっ!」
「ああっ!陛下っ」

エリスは堪らず泣き言を言った。

「どうか・・・どうか三人の前で言う事は御許し下さい」

だがフェリシアの返答は厳しい。

「ノーよ、三人は証人だもん。エリスが約束を違えた時には裁判を起こして証言させるんだから」
「そ・・・そんな」
「宮殿前広場で言わされたいのかしら」

その一言でエリスは何も言えなくなった。
三人をチラリと見ると涙を湛えてフェリシアに向き治って誓うのだった。

「この度は我侭を言って申し訳有りませんでした。御詫びの印にエリスは今後、以下の事を誓います」

三人は何を誓わせられるのか想像も付かなかったが、これほどエリスが恥ずかしがり嫌がるとは、一体何を誓わせられようしてるのだろうか。

「一つ、今後エリスは出切る限り陛下との時間を作る事を努力して、夜伽の相手を務めます。出来なかった時は陛下の言われる通りの"お仕置き"を受けて御詫び致します。オシリ叩きでも、マンイーターの懲罰椅子でも、野外で犯される罰だろうと・・・・・・」

三人の顔が真っ赤に成った。なんと恐ろしい罰だろう。

「一つ、エリスは帰宅したら必ず陛下と一緒に食事を取ります。そ・・・そして食事の前に・・・・・・アアッ!本当に言わなければ成らないのですか」

エリスは再度フェリシアの顔を伺う。

「やっぱり外が良い様ね?」
「ヒィッ!エ・・・エリスは食後に浣腸や薬、魔法を駆使してオシリの中を掃除して置きます。その後は陛下と一緒に入浴し、浣腸を受けて中が綺麗に成ってる事を証明いたします」

三人の顔は更に赤くなる。

「陛下お願いですから、これ以上は・・・・・・・・・」
「外は良い天気ね?満天の星空に満月だから、さぞ見物人から良く見えるでしょう。言っとくけどエリス、その時は下半身に何も着けさせないよっ!」
「ううっ・・・一つ、今後は陛下に求められた時に絶対拒みません。何時でも陛下が好きなエリスの女やオシリで楽しみ、中に精を放たれても結構です。そ・・・そして・・・・・・・・・」

三人は息を飲んだ。

「陛下がエリスのオシリの中に精液を御恵み下さったら、エリスのオシリに太い栓をして陛下が許して下さるまで我慢します。エリスの腸壁で陛下の精液を吸収し切るまで排泄を我慢します・・・ウワァ~~~ン!」

ついにエリスは泣き出した。
そのエリスの頭を優しく撫でながらフェリシアが言った。

「私を放っとくと、どんなに恐ろしいか思い知ったでしょう?言って置くけど脅かしじゃなく本当にするからね」
「ハイ・・・従います。素直に従いますから・・・お願いです陛下、エリスを嫌いに成らないで・・・・・・・・・」

二人は唇を合わせると濃厚なキスをする。
そしてエリスの唇は段々下に降りて行くと、やがてフェリシアの魔法で作り出したペニスを咥え込んだ。

「貴女達何をしてるの?エリスがフェラチオしてる間に乾いてしまわない様にエリスのオシリを責め抜くのです。相手が弱ってる時に責め抜いて堕すのは兵法の基本でしょう?」

使っている意味が大分間違ってるが、突っ込む者は居なかった。


「第10章 エリス現在、家出中 その19」(第63話)


「もう駄目、もう駄目ですっ!陛下御許し下さいっ」

エリスがフェリシアのペニスを吐き出していった。
フェリシアと三人娘の責めは留まる所を知らず、エリスが降参するまで続けられたのだ。

先ずフェラチオをしているエリスの背中を、フェリシアが責めていた。
背中と耳はエリスの急所の一つで特に敏感な場所でも有った。
柔軟な身体を駆使し、背中に舌を這わせ、時にはエリスの長い耳の先を噛んだのだ。

四つん這いでフェリシアに奉仕しているエリスのアヌスを舐めているのがシャルロッテだった。
自分の舌とフェリシアから与えられた淫具の張り型を使い、少しでも柔かくしようと懸命にアヌスを攻め嬲っている。

その下でレティシアがエリスの女に舌を這わせていた。
際限なく溢れる蜜を舐め取り、クリトリスや周囲を舐めまわしている。

更にルイスがエリスの乳を口に含んで弄ぶ。
時には交互に、時には無理矢理に乳を寄せ、二つの乳首を同時にしゃぶっていた。
まるで飢えた幼子の様に懸命にしゃぶり付くのだ。

「情けないわよエリスッ、もう降参なの?夜の相手をサボってるから、この程度で音を上げちゃうのよ」

四人がかりで責めながら良く言うモノだが、エリスは済まなそうな顔でフェリシアを見上げる。
飼い主の許しを待つ仔犬の様であった。

「冗談よ、さあ貴女達は一旦下がって頂戴。そしてシッカリと見てなさい」

三人を下がらせ、エリスの後ろに回るフェリシア、その瞳は嗜虐の喜びにギラギラと輝いていた。
振るえるエリスの小さな双臀を鷲掴み、双臀の肉を左右に開く。

「ああっ!」

エリスは思わず声を洩らす。
今日エリスの処女同然のアヌスを解したのは、フェリシアの様に性技に卓越した技能を持たない三人だった。
きっとアヌスの柔軟さは不十分で痛みを味合わされる。
それに子飼の部下が三人もギャラリーで居るのが辛かった。

「大分、怯えてるのね?オシリの穴を見ればエリスの事は何でも判るわよ。恐怖に怯えて震えてるじゃない・・・エリスは口よりオシリの穴の方が正直ね」

エリスをからかうとオシリの穴がキュッと振るえて縮み上がる。
しかし被虐の予感に振るえるアヌスは、シャルロッテ達の唾液でテラテラと濡れ光っている。
そのアヌスにペニスを軽く押し付けられただけで、エリスのアヌスはキツク締め上げられ、進入を拒んで居るようだ。

「さあエリス、お仕置きの本番よっ!可愛がっている部下達の目の前で・・・・・・」

エリスの身体に緊張が走る。
ペニスに力が込められ、ユックリと前進を始めた。
エリスのアヌスは恐怖に怯えビクビクとフェリシアのペニスを締め上げる。
それでも思い出した様にアヌスを緩め、懸命にフェリシア自身を飲み込もうとしていた。

「オシリの穴を貫かれて泣き叫びなさいっ!」

途端に進入の力が強まった。
エリスの肛門を一気に通り抜け、根元までペニスが侵入する。


「第10章 エリス現在、家出中 その20」(第64話)


「ウワァァァァァ~~~~~ッ!」

盛大な悲鳴を上げ、エリスの背筋が仰け反った。
弓の様に背筋をしならせ、限界まで口を開け酸素を求める。
やがて口をパクパクと動かしてから、エリスはベッドに倒れてしまった。

「陛下・・・御許しを・・・どうか御慈悲を・・・・・・」

ベッドに突っ伏し、痙攣しながらエリスは言った。
アヌスを貫かれるのは予想以上に辛かった。
テクニシャンのフェリシアでなく、殆ど未経験の三人の愛撫では、やはり不十分だったのだ。

「甘ったれた事を言わないのっ、この程度では許さないからね」

エリスの双臀に爪を食い込ませ、腰を使い出すフェリシア。

「ヒッ、ヒィィッ!陛下、後生ですから・・・もっと優しく・・・・・・」

その言葉を聞き、フェリシアの腰は更に加速する。

「うわっ、うわぁ~~~っ!陛下っ、お願い・・・お願いですっ!哀れなエリスに御慈悲を・・・壊れる、オシリが壊れちゃうっ」

泣きながら許しを乞うエリス、しかしフェリシアは肛虐の手を緩めない。

「一月放って置かれたんだから、一日3回として90回かしら、利子を入れて100発犯してあげる」

「そんあ・・・無理ですっ!無理ですゥ・・・・・・」

実際、無理なのは分っているが、フェリシアの事だから精が枯れ果て、エリスは腰を抜かすまで犯すだろう。

「そんな無理をしたら、エリス様が・・・どうか御考え直し下さいっ!」

悲鳴に近い声でシャルロッテが叫ぶ。
実際エリスの肛門がフェリシアに突き上げられ"グチャッ、グボッ!"と音を立てる度に、彼女の身体から力が抜けて行く。

「それならば・・・エリスを失神させなさい。さっきも言ったけど失神したら、其処で許してあげる。レティシアとルイスは足の裏を責めなさい。シャルロッテはエリスの女を・・・失神するまで責め抜くのョッ!」

「そんな・・・陛下、後生ですから・・・・・・・・・」

エリスの泣き声は延々と響き続ける。

「あ、ああっ!」

フェリシアの精が注がれるとエリスは痙攣し、ようやく失神した。
結局フェリシアがエリスの腸内に五度、精を放つまで拷問は続けられたのだ。
ちなみに三人娘は、とっくに疲れ果てて、床に伸びていた。

「流石のエリスも限界ね?」

そう言うと尿道に残った精を絞るように、エリスの腸壁を擦り上げた。

「うあ・・・あ・・・・・・」

失神しながらも腸壁を刺激される感触に、エリスは呻きを上げる。
エリスの尻を責め嬲ったペニスは、湯気を立てながら引き抜かれた。
ゴボリッと音を立て精が零れる。

「アウッ、クッ!」

失神している筈のエリスの肛門が一生懸命閉じようとしている。
その様はフェリシアの精液を溢さないようにしている様であった。



「第10章 エリス現在、家出中 その21」(第65話)


「可愛いエリス・・・これはプレゼントよ」

ベッドの下から木箱を取り出し、中から張り型を取り出した。
二本の張り型が並んで、女の部分と肛門を同時に責めるタイプである。
気が付いたシャルロッテがフェリシアを止める。

「どうか・・・どうかエリス様を御許し下さい。エリス様は十分反省し、罰を受けたでは有りませんか」

だがフェリシアはニンマリと笑って、エリスの肛門に張り型を押し付ける。

「アアッ・・・あうう・・・クッ・・・うあっ!」

エリスの女と肛門に張り型がズブズブと埋まって行く。
そして根元まで埋まると、張り型の底部から銀色のスライムのような物が飛び出した。

「陛下っ、これは一体・・・・・・」

瓶色のスライムはエリスの下肢に巻き付くと、Tバックの下着の様な形に落ち着いた。

「ミスリル水銀で出来ているのよ。どんなに離れていても、この魔法の水晶が送った指令通りに動くの・・・例えば」

フェリシアが取り上げた水晶に何かを念じる。

「ああっ!ひっ・・・うわっ!」

エリスの身体が、跳ね上がる。

「今の出オシリに入ったディルドが、エリスの肛門を引き裂く直前まで膨らんだの・・・これでエリスは私がディルドを小さくして上げない限り、排泄も出来ないの。エリスが起きたら言いなさい・・・今度私を怒らせると、何週間もトイレが使えないからね」

更に何か水晶に念じた。

「ハウッ・・・アッ・・・アンッ・・・・・・」

今度はエリスがの身体が、悩ましげにのた打ち回る。
何が起ったのかと思ったが股間の辺り、二つのディルドが、暴れているのが見えた。

「エリスの中でディルドが出たり入ったり、振動したり、くねったり、回転したりしているのよ。更にこんな事も出切るワ」

途端にディルドの底部から鞭状に触手が伸び、エリスの双臀を打ち据えた。

「アウッ!」

エリスの背筋がビクンと跳ね上がり、遂にエリスは動かなくなった。

「エリスが起きたら言って置きなさい。その貞操帯は首輪の代わりよっ!言う事を聞かないペットは厳しく躾ますからね」

そう言って寝室を後にする。
数時間後、気が付いたエリスを囲んで三人娘が泣き暮れていた。
自分達の所為でエリスに貞操帯が架けられてしまったのだ。
だがエリスは優しく三人を諭し、辞める事を叱り付ける。

「私に済まないと思うなら・・・騎士団で今まで以上に立派に勤めを果たす事で償って下さい。騎士団を去る事は逃げるも同じ・・・私はそんな事を許しませんよ」

三人はエリスに抱き付いて泣き、忠誠を誓う。

「これからは・・・帝国の為に命を捧げ、エリス様の命には絶対服従します。こんな愚かな私達ですが、どうか償いの機会を与えて下さい」

エリスは聖母の様に微笑むとコクンと首を縦に振った。
するとエリスの下肢を責めていたディルドの振動が止まる。

「陛下、隠れてらっしゃるのですか?」

エリスが言うと扉が開き、フェリシアが現れる。

「まあテストは合格としましょう。三人を騎士団に残す事を許します」

エリスに安堵の表情が浮かぶ。

「だけど貞操帯は許して上げないからねっ!私を怒らしたら何日でも何週間でも責め立てるよから・・・オシッコは貞操帯をしたままでも出来るけど、大きい方は外さないと出来ないのは分るでしょう?」

エリスの顔色が曇った。
フェリシアの魂胆が読めたのだ。

「何日も遠征なんかしたら大変ね?それが必要な事なら外してあげるけど・・・そうじゃ無い時は貞操帯をしたまま遠征するのよっ!寄り道なんかしないで、すぐに帰って来るようにネ」

エリスの顔から血の気が引いた。

「特に怒らせたら何が起るか分んないから・・・特に馬に乗ってる時に発動したら、振り落とされないように頑張りなさい」

やはりフェリシアの怒りは恐ろしかったのだ。