A-MEN様作
聖帝フェリシアに握られし白銀の剣 騎士と王女の物語 第4章

「第4章 騎士エリスへの懲罰」(第9話)


エリスは眼を覚ますと辺りを見渡した。
其処はいつもフェリシアと愛し合ってるベットの上だった。
侍従長がエリスに声をかける。

「おはよう御座いますエリス様。陛下はもう起きて居られていますよ?」

途端にエリスの顔が青くなった。

「私は陛下が起きられたのに眠っていたのですか?」

侍従長が笑いながら答える。

「陛下が"昨日はキツイお仕置き受けたのに夜伽の相手までしてくれて疲れているでしょうから寝かせて置きなさい"って・・・・・・」

だが急に真面目な顔になって言った。

「陛下は執務室に居られます。気が付いたら出頭するようにと・・・・・・・」



エリスが執務室の扉を叩くと中からフェリシアの声がした。

「エリス?お入りなさい。」

中に入り頭を下げると室内を見渡す。
主だった重臣たちにエリス以外の将軍が居た。
会議の議題は先の戦の事後処理だろう。

「エリス、出頭しました。」

フェリシアはニッコリ笑ってエリスを迎える。

「おはようエリス。今、貴女の処遇に点いて話してたのよ。」

エリスは一歩前に出た。

「どんな厳しい罰でも潔くお受けします。どうか御存分に御裁き下さい。」

昨日とは打って変わって堂々と答える。フェリシアも思わず微笑んだ。

「二十日の謹慎よ。罪状は命令違反、後続の軍を待たずに抜け駆けした罪よ。降格は城の攻略とゲルオハインの自決を止めた功績に代って免除します。」

エリスは驚いた。

「軽すぎます、それでは示しが付きません。どうか私を・・・・・・」

フェリシアは声を張り上げた。

「御黙りなさい!私の決定に逆らうのですか?」

エリスは脅える。

「貴女の代わりだって簡単に見つかるモノではありません。そんな貴女の命を危険に晒した事が今回の貴女が犯した一番重い罪なのです。」

尚、詰め寄ろうとするエリスの唇にフェリシアは人差し指を点き付けた。

「心配しなくても謹慎中の二十日、貴女には厳しいお仕置きが待ってるのよ。覚悟しておくのね。」

エリスは、もっと重い罰を覚悟していた。
陛下を倒れさせる原因が自分に有るのに、この程度の罰で許されて良い筈が無いと思った。

「陛下、一つだけ・・・一つだけ御願いが御座います・・・・・・・・」

エリスはフェリシアに訴えた。



その夜、エリスは自分で刑服に着替えると自ら地下ドームの扉を開いた。
昨日以上に士官が集まっているがエリスは気に成らない。
玉座の前に控えていると、やがてフェリシアが現れた。

「エリス!一度終わった裁判を蒸し返す理由は何ですか?」

フェリシアは明らかに不機嫌だった。
あの後、エリスがフェリシアに「もう一度地下ドームで鞭打ちの刑」に架けて欲しいと願ったので、その場の全員が驚いた。
だがエリスの説明を聞き周りの者は納得する。
実はフェリシアが倒れた事は内密に成っていたが、先の地下ドームで普段は散々可愛がっているエリスにフェリシアがキツイお仕置きを与えた事と後続の軍隊が出動しなかった為、噂が広がりフェリシアが倒れた事が一般兵にまで知れ渡っていた。
そんな中で軽い罪で許されては、フェリシアがエリスを特別に扱ったと思われて陛下の威光に傷が付くとエリスはフェリシアに進言したのだ。
フェリシアは最期まで反対したが、他の重臣がエリスの考えを支持した為に押し切られてしまった。
何とかこの場でエリスを説き伏せて思い留まらせたいのだ。
だがエリスはそんなフェリシアの考えを読み取ってしまった。エリスはフェリシアを説得する。

「陛下、いつも私を可愛がって頂き有難う御座います。ですが今日だけは陛下に逆らわせて頂きます。皆も知ってる通り私の無茶が原因で陛下を倒れさせてしまいました。だのにこんな軽い罰では誰も納得出来ません。それに・・・・・・」

エリスは潤んだ瞳でフェリシアを見詰めた。

「昨日、私はここで罰を受けながら陛下の仕打ちを恨んでしまいました。陛下の御心も知らず"陛下は何て酷い事を為さるのだ"と、コレでは反省した事に成りません。」

エリスは涙を流しながらフェリシアの足の甲に頬擦りした。

「申し訳御座いませんでした。陛下がこんなにも私の事を考えて下さっているのに・・・なのに私は・・・私は自分が情無い・・・・・」

エリスは潤んだ瞳でフェリシアを見上げた。

「陛下!エリスに、如何かエリスに罪に相応した罰を与えて下さい。さもなければエリスはこれ以上陛下に仕える事など出来ません!」

これはエリスの決意だった。
もし相応の罰を自分に与えないなら騎士を辞めると言ってるのだ。
フェリシアはエリスの頬を平手打ちにした。

「この意地っ張りっ!エリスッ一度、執行した処刑を、やり直す事は出来ません。しかし貴女は私が下した決定に文句を付けたわ、重罪よっ!」

エリスの頭を踏み付ける。

「覚悟しなさい!私の決定に逆らった罰として"鞭打ち300回"を命じます!」

エリスは頭を踏まれながら言った。

「あ・・・アリガトウ御座います。」



ドームの中が騒がしくなった。
鞭打ち300回は地下ドーム史上最高記録なのだ。
普通300も叩かれたら死ぬかも知れない。
早速、処刑人の二人が鞭打ち台の用意を始め様とする。
だがエリスは断った。

「自分の意志で耐え抜きたいのです。ですから台を使わないで下さい。如何かお願いします。」

処刑人はエリスに注意する。

「いかに閣下と言えど、鞭打ちの刑に架けられた以上、鞭から逃げたり尻を手で庇ったら最初から鞭打ちをやり直す規則になっています。多少格好が悪くても台に繋がれた方が・・・・・・」

エリスは断固と断った。

「もし私がそんな事をしたら遠慮無く最初からやり直して下さい。私は昨日部下達の前にて散々醜態を曝しました。だから今日は・・・・・・」

エリスの決意は固かった。処刑人は耳打ちをする。

「貴女が痛みに耐えられず倒れても、その場合は最初からやり直す必要は有りません。我々は手加減する事は有りませんし、倒れられても鞭は止まりませんが・・・我慢出来なかったら倒れてしまって床に噛り付くと良いでしょう。」

エリスは処刑人に礼を言って、円台の中心で自ら四つん這いに成った。
未だ昨日の傷が癒えてないお尻が剥き出しになる。
フェリシアが手を上げ鞭打ちが開始された。

「うっ、くうっ・・・あうっ・・・・・・・・」

エリスは昨日と変わって叫びもしないで耐えていた。
だが50回を過ぎると悲鳴が上がりだし、100回を過ぎると何度も前のめりに床に倒れてしまう。
しかしエリスは、その度に、もう一度四つん這いの姿勢に戻った。
エリスが倒れても鞭の雨は降り注ぐ。
しかし、それに逆らう様にエリスは倒れる度に四つん這いに戻って、更にお尻を突き出した。
仕舞には処刑人が参ってしまった。
やがて300回の鞭打ちが終わり。
エリスは床に突っ伏した。



気が付くとエリスはフェリシアに抱き抱えられてた。
ローザが下半身の方でお尻に薬を塗っている。

「早速、約束破ったよネ?もう心配させ無いって言ったのに・・・・・・・」

フェリシアは怒っている。
でもニコッと笑うとエリスに言った。

「エリス、今朝言ったよね?謹慎中の20日間もキビシ~イ罰を用意したって。ローザ宣告なさい!」

ローザは顔を赤らめて宣告した。

「罪人エリスに対し騎士としての罰はコレにて終了します。今日より20日間謹慎した後、元の部署、階級に復帰する事。ただし・・・・・・・」

この続きを聞いてエリスも真っ赤に成った。

「謹慎中の間、エリス殿は陛下を倒れさせた罰として"陛下の奴隷"を勤める事。以上」

エリスはその尖った耳の先まで赤くなった。
士官席からは「ヤッパリ閣下は陛下と出来てたんだ!」と歓声が挙った。


続く