こちらの小説はお姫様倶楽部にも掲載されております。


T.MIYAKAWA様作
A WEEK 敵国の捕虜になってしまった王子は… 3日目

A WEEK 3日目 その1


「ああー!!」
 目を覚ました王子は、我が目を疑っていた。
 と言うのも王子は、自分が天海の部屋にいることに驚いているからだ。
(どうして、ここにいるんだ?)
 そう思いながら王子は昨夜の事を思い出そうとしていた。
 昨夜、天海が王子を風呂に誘おうと部屋を訪ねてきた。
 そして浴場では王子は天海の体を洗ったり、洗われたりということまでは覚えていた。
 王子は天海から身体を密着させられたり、彼女の巨乳に顔を埋められたりといった
ディープな愛撫を受けていたのだ。
 その際に天海の手淫によって射精された後の記憶が王子にはなかったのだ。
(その後、どうなったのだろう…)
 王子がそんな事を考えている時、部屋のドアを開ける音がしてきた。

「おはようございます。」
 部屋に入ってきたのは、エスメラルダだった。
 天海は食事を終えた王子にこんな話を持ち掛けてきた。
 エスメラルダは朝食と着替えを持ってきていた。
「天海様が王子様に召し上って頂くように言いつけられました。」
 王子は、昨夜天海が浴場でのぼせた自分をこの部屋まで運んでくれたことを
エスメラルダから聞かされた。
(あなたが私達の言う事を素直に聞けば…)
 王子はふと天海の昨夜の言葉を思い出した。
「王子様、スカーレット様がお食事が済みましたら訓練所の所へ来るようにとご伝言が
ございました。」
 エスメラルダはその言葉を付け加えてから、部屋を後にした。

 王子は食事を済ませると、スカーレットが待っている訓練所へと足を運んだ。
 訓練所はエスメラルダから昨夜入った浴場の近くにある事を教えてもらった。
 浴場の側を通った時、王子はその近くにある建物を発見した。
 建物に近づいた王子はその窓を覗いてみると、そこから驚くべき光景を目にしたのだ。
 建物の中には複数の女性達が着替えをしていたのだ。
 しかもその中には一昨日一緒にいたプラムもいたのだ。
 王子が覗いているこの建物は女性達の更衣室だったのだ。

 女性達は着替えをしながら会話に夢中になっていた。
 自分達のスタイルの良し悪しや好きな異性のタイプについての事が話の主な内容だった。
 王子はプラム達の露な姿を見て、思わず昨夜の光景を思い出してしまった。
 そうしていると、プラムの隣りにいたハーフエルフの女の子に王子の姿を窓から
見られてしまった。
「キャアッ!
 誰か窓から覗いている!」
 ハーフエルフの女の子のこの叫び声で、女性達は覗かれた事を知り、大騒ぎをしだした。
(しまった!?)
 王子は見つかったと知り、慌てて逃げようと後ろを振り向くと、その背後には
スカーレットが腕組みをした状態で立っていた。
「なかなか来るのが遅かったから捜していたけど、まさか君がそんな事をしていた
なんてねぇ。」
 逃げようとする王子の腕を掴んでこう言った。
「……。」
 事実上立場の不利な王子は、何も言えないでいた。
「こんな事をして、黙って済むと思っているの?」
 こう言いながら、スカーレットは王子を連れ出していった。


A WEEK 3日目 その2


 スカーレットに手を引かれた王子は、訓練所の中へと連れてこられた。
 場内には彼女の部下の兵士が多く集まっていた。
 その中にはプラムを含む、多くの女性達の存在に王子は驚いていた。
 その大半は更衣室で見かけて、見覚えのある面々だった。
 女性達の方は、自分達の着替えを覗かれた事もあって、王子に対してやや冷ややかな
視線で見つめていた。
 その中で王子が印象に残っていたのは、プラムの隣りにいるハーフエルフの少女だった。
 着替えの時に一番最初に気付かれたこともあって、王子は彼女を直視する事が出来ない
でいた。

 スカーレットは王子の手を握ったまま、兵士達の集まっている所まで歩を進めると、
兵士達はすかさず彼女の方へと近づき、彼女を中心に大きな円陣を組んだ形になって
集合した。
 集合した兵士達から聞こえてくるであろう小さなささやき声が王子には届いていた。
 その声の大半は女性達で、自分達の着替えを覗いた王子に対しての話が主だった。
 その内容があまりにも好印象でない事を悟った王子は、俯いた形でその会話に耳を
傾けていたのだ。

 王子は食事を済ませると、スカーレットが待っている訓練所へと足を運んだ。
 訓練所はエスメラルダから昨夜入った浴場の近くにある事を教えてもらった。
 浴場の側を通った時、王子はその近くにある建物を発見した。
 建物に近づいた王子はその窓を覗いてみると、そこから驚くべき光景を目にしたのだ。
 建物の中には複数の女性達が着替えをしていたのだ。
 しかもその中には一昨日一緒にいたプラムもいたのだ。
 王子が覗いているこの建物は女性達の更衣室だったのだ。

「王子様、本来だったら私達の訓練をしている様子を見てもらうつもりだったけど、
あなたのお陰でその予定を変更する事にしたの。」
 スカーレットは王子の耳元、ちょうど彼女の唇が王子の顔に触れるところでこう囁いた。
「皆、静かに!」
 スカーレットは手を叩きながら、大声で叫んだ。
 その声に反応したのか、さっきまで聞こえていたささやき声はなくなり、兵士達は
全員スカーレットの方へ注目した。
「早速紹介するわね。
 今私の隣にいるのが、今回攻略している敵国の王子様よ。
 捕虜である彼は今から5日後、女王様への献上品となるから皆大切に接するように!」
「……。」
 スカーレットの話を王子や周りにいる兵士達は静かに聞いていた。

 王子は自分の今おかれている状況をあからさまにされた事で、身体が硬直した状態で
いた。
 そんな王子を見て、スカーレットはそのまま話を続けた。
「さて、今日はここにいる王子の実力を皆に見てもらう為に、私と一勝負する事にしたわ。
 彼が勝つか、私が勝つか、皆の応援に期待するわよ。」
 スカーレットが話を結ぶと、兵士達の周りは急に騒ぎ出してきた。
 それに対して王子の方は、スカーレットの突然ともいえる提案に顔色が変わっていた。
「頑張ってね、王子様。
 君が勝てば、素敵なご褒美が待ってるわよ。
 でもね、負けたら罰ゲームだからね。」
 スカーレットは王子の耳元でこんな話をしてきた。
 スカーレットにとって、王子との勝負は最初から考えていた事だったが、王子にとって
はここに集まっている女性達の着替えを覗いた行為への十分すぎる罰だと考え込んでいた。

A WEEK 3日目 その3


「それでは、試合開始!」
 審判のひと声で試合が始まった。
 周りの兵士達の歓声が辺りに響いた。
 声援は主に女性達の方が目立っていて、スカーレットへのものだった。
 その中には王子に対してのもあったが、当の王子にとってはそれが大きなプレッシャー
となっていた。
 というのも、王子が剣術の稽古を行った日は浅く、このような試合をした事など一度も
無かったのだ。
 そんな王子と目の前にいるスカーレットの力の差は明らかであった。

 お互いに向き合っている時、王子の剣の構え方のぎこちなさが目立っていた。
「じゃあ、いくよ。」
 その声と共に、スカーレットから仕掛けてきた。
 王子の動揺した反応などお構い無しに攻めてきたのだ。
「!?」
 王子は頭上に振りかかってきた剣を辛うじて受け止めたものの、その際に生じた反動が
強かった為に後ずさりをしてしまい、剣を握る手が痺れてしまうほどだった。
「まだまだ。」
 スカーレットは攻撃を緩めようとはしなかった。
 ひるんだ王子の方へ更に詰め寄り、追い討ちをかけてきた。
 このスカーレットの容赦の無い連続攻撃に、王子の体は次第に硬直し始めてきた。

(もう、ダメだ…)
 王子が諦めて目を閉じようとした時だった。
「何しているの王子様、しっかりしなさいよ!」
 プラムが周囲の声をかき消す程の大きな声で叫びだしたのだ。
「!!」
 プラムのこの声に反応したのか、王子は咄嗟にスカーレットに向かって剣を打ち
返してきた。
 もちろんこれは王子の体が無意識に動いたからである。
「やる気を出したの?
 そうでなくっちゃね!」
 そう言いながらスカーレットは王子のこの思わぬ反撃を驚きながらも、喜んでいたのだ。
 彼女から見たら、このまま勝つのでは面白くないと考えたからだ。
 獲物をすぐに殺さずしばらく弄んでいる猫の動作と同じように、スカーレットは
王子との戦いを楽しんでいたかったのだ。

 実力の差がありすぎたのもあって、さっきの王子の捨て身ともいえる攻撃も
スカーレットはいとも簡単に防がれ、すぐに反撃にはいった。
 この攻撃で王子は剣を手から弾き飛ばされてしまった。
 剣は回転しながら宙へと舞い、そのまま地面に突き刺さってしまった。
 それは、まさに一瞬の出来事だった。
 丸腰にされた王子の両膝は、音もなくそのまま地面に着いた。
「あら、もうおしまい?
 もう少し頑張ってくれると思ってたけどなぁ…。」
 スカーレットは立ちすくんでいる王子に剣を向けてながら、覗き込むような姿勢で
呟いた。
「……。」
 王子は何も為す術を失ってしまい、何も言わずにスカーレットから視線を反らしていた。
「じゃあ、私の勝ちね。」
 黙り続けている王子を見下ろしながら、スカーレットは笑顔で勝ち名乗りをした。

A WEEK 3日目 その4


 スカーレットが勝った事で、ギャラリーからの歓声は一層高まっていた。
「残念だったけど、よく頑張ったよ。」
 そう言いながら、プラムは王子に手を差し伸べた。
「それじゃあ、約束通り王子様には罰ゲームを受けてもらうからね!」
 スカーレットはあたかも待ちわびた口調で呆然としている王子にこう告げた。
 するとプラムは王子の体をいきなり取り押さえてきたのだ。
 この突然といえる展開に動揺する王子を尻目に、プラムは次々と服を脱がしていった。
 服はあっという間に全部脱がされて、王子は文字通り丸裸の状態となってしまった。

「な、何をするんだ!?」
「何って、決まっているでしょ。
 これから始まる罰ゲームの準備をしているのよ。」
 王子は自分が何故このような姿にならなければならないかという質問にプラムは
こう答えた。
 二人のそんな会話をしていると、一人の少女が紐の付いた首輪を手にして近づいてきた。
 そして少女は何も言わずに持っていた首輪を王子の首に取り付けた。
「フフフ、ありがとうユユ。」
 ユユと言う少女はスカーレットの言葉に対しても、返事もせずにただ無言でうなずく
だけだった。
「さあ王子様、これで罰ゲームの準備は完了したわよ。
 それじゃあ、始めましょうか。」
 首輪をつけられた王子に向かって、スカーレットは楽しげな口調で話し掛けてきた。
 スカーレットが提案したこの罰ゲームとは、訓練場の外周を王子が四つん這いの形で
一周させるというものだった。
 その間、王子は全裸となっていて、しかもスカーレットに紐を引っ張られる状態と
なっていた。
「さあ、早く四つん這いになりなさい。」
 スカーレットに促されて、彼女には逆らえないと判断した王子は言われるままになると
ユユが突如、王子の背中の上にまたがってきたのだ。
「ええっ!?」
「どう、面白いでしょ?
 ただ四つん這いで歩かせるだけじゃつまらないと思ったのよ。」
 この状況に驚く王子の側で、プラムは笑顔を浮かべながら説明した。

「さあ、早く歩きなさい!」
 スカーレットはこの一声と共に、紐は引っ張って王子を促せた。
 こうして王子の罰ゲームが始まった。
 王子の今の姿は紐を繋いで歩く犬とまったく同じだった。
 しかも王子の背にはユユがまたがっている為、一歩一歩進むのに時間が掛かり、
周りでは多くの人々の視線が注がれ、王子にとっては大きな精神的プレッシャーが
かかっていた。
「ハァ、ハァ…。」
 背中にのしかかっている重さにこらえながら体を慎重に動かしていった。
 途中、ユユを背中から落とすと初めからやり直しになるからだ。

 日没の頃になって、王子は無事に一周を終わらせ、罰ゲームが終了した。
 疲れて仰向けになって倒れた王子の目には、そんな彼を見下ろすスカーレットの姿が
映っていた。
「…ご苦労様。」
 意識の薄れる王子の耳からスカーレットのこの一言が微かに聞こえた。

A WEEK 3日目 その5


 夜が更けて消灯時間となったが、王子の部屋を誰も訪れる事はなかった。
 この日は朝から色々あって、心身ともに疲れた王子にとっては嬉しい事でもあった。
(今日は昨日までとは違ってゆっくり眠れそうだ。)
 王子はベッドの上でこう考えていたものの、何か起きていいようにと、心のどこかで
警戒をしていた。
 しかし、その警戒心も王子がベッドに入って1時間も経たないうちに消えようとして
いた。

 王子がぐっすりと眠っている頃、ドアを開く音がした。
 王子が目を覚まさないようにドアを閉めると、その人影は王子のいるベッドの方へと
歩を進めた。
「……。」
 その人影は笑顔を浮かべながらベッドで眠っている王子を見下ろしていた。
 しばらくすると、そのままベッドの中に潜り込んでしまったのだ。

 王子はベッドの中で感じたこの異様な感触に目を覚ました。
 まだ寝ぼけた状態で首を動かして辺りを見回したが、部屋には誰にもいなかった。
 誰もいないことで安心して寝直そうとしたときだった。
「!?」
 王子はベッドから顔を覗きだす女性を見て言葉を失った。
 スカーレットが目の前にいたのだ。
 この突然ともいえるスカーレットの来訪に王子はさっきまでの眠気が一気に覚めて
しまった。

 スカーレットの鋭い視線に見つめられてか、王子は彼女から目をそらす事が
出来なかった。
「フフフ…。」
 スカーレットはこの怪しげな笑みを浮かべながら、両手を伸ばして王子の顔を自分の
方に向かせた。
「い、一体何を…っ!?」
 顔を合わせられた王子が言葉を言いかけようとした時だった。
 スカーレットはいきなり王子の唇を奪ってしまった。
 二人の口付けしばらく続き、口の中で何かが動いていた。
 スカーレットは口移しで何かを飲ませたのだ。
(な、何だ…これは?)
 そう思いながら王子はスカーレットを見つめていた。

A WEEK 3日目 その6


 スカーレットの唇は王子の口の中の物が飲み込まれたと共に離れた。
 唇と共に押さえていた両手も離れた事により、王子の顔は解放された。
 王子はスカーレットをベッドから追い出そうと両手を動かそうとした時だった。
 王子の両腕はスカーレットの両胸に触れたところで、突如両手に力が入らなくなって
しまった。
 その為、王子はスカーレットの胸の中で手を動かす事しかできなかった。

「ねぇ、いつまで触っているの?」
 スカーレットのこの一言を聞いて、王子は両手の動きを止めた。
 王子はスカーレットをベッドから追い出すことを忘れて、いつの間にか彼女の胸を
触るのに夢中になっているのに気付いた。
「別にいいわよ。
 私のオッパイ、よほど気に入ってくれてるんでしょ?」
 スカーレットの言葉に王子は何も言えないでいた。
「昨日、天海のもそうやって触ってたんでしょ。」
「!?」
 この言葉を聞いて王子は驚いた。
 昨日の天海とのやり取りをスカーレットが知っていたというのだ。

「どうして、知っているの?」
「天海がね、私に教えてくれたのよ。」
 恐る恐る尋ねる王子に、スカーレットはこう答えた。
 それを聞いて、王子は自分のこれまでの行為が筒抜けにされている事を知って動揺を
隠せないでいた。
「彼女、喜んで話していたよ。
 お風呂の時体を上手に洗ってくれたんでしょ?
 君の体を洗う時はすっごく照れてたんでしょ?」
 王子が驚いているにも構わず、スカーレットは話を続けた。

「王子様、別に恥ずかしがる事はないんじゃないかな?
 君も楽しめばいいんじゃないのかな。」
「……。」
 スカーレットはこの言葉を聞いて、王子は思わず顔を背けた。
「こういう時は君も一緒に楽しまなきゃ損しちゃうよ。」
 スカーレットのこの言葉を聞いて、王子はしばらく黙り込んだ。
 スカーレットの「一緒に楽しむ」という言葉を考えていたからだ。

A WEEK 3日目 その7


 時間はしばらく経過したも、王子の両手はまだスカーレットの両胸を掴んでいた。
 そんな状態でも、スカーレットは何も言わず王子の方を見つめていた。
「私をベッドから追い出そう追い出そうとしたいでしょうけど、そんな事させないよ。」
「……。」
 スカーレットに図星をつかれて、王子は何も言えなかった。
「手に力が入らなかったのに不思議だと思ったでしょ?
 さっき飲ませた薬の効き目が出たんだからね。」

「薬だって?」
 薬と聞いて、王子はさっきの口づけの際に飲まされた事を思い出した。
「私もここに入る前に飲んだけど、体が興奮してきたでしょ?
 それに、体が熱く火照ってくるでしょ?」
 スカーレットに言われて、王子は自分の体の異常にようやく気が付いた。
 両手に力が入らなかったのはすぐ分かっていたが、体中特に下半身が興奮状態に陥って
いることは今になって気が付いたのだ。

「この薬ね、イザベラからもらったの。
 王子様を喜ばせたいからって話したら、役に立つんじゃないかなって言ってこれを
くれたのよ。」
 イザベラの名前を聞いた王子は、顔をしかめてきた。
(…プラムの時と同じだ。)
 プラムとの一夜を思い出した王子は不安を隠せず、顔を青ざめていた。
 そんな王子に対して、スカーレットの方は興奮のためか顔を赤く染めていた。

「僕をどうしようというんだ?」
 スカーレットの顔を横で見ながら、王子は尋ねた。
 動揺する王子をスカーレットはまじまじとした目で見つめていた。
「私はね、君と一つになりたいのよ。
 プラムや天海は遠慮していたけど、私はもう我慢が出来ないのよ。
 いいでしょ?」
 スカーレットは王子の顔に近づきながら、真剣な目で言ってきた。


A WEEK 3日目 その8


「イヤだ、いきなり何を言い出すんだ!」
 そう言いながら王子は猛反発をした。
 これ以上スカーレットの言いなりになりたくないと必死に抵抗をしてきた。
「そんなにイヤなの?」
 王子のこの抵抗に、スカーレットはさっきまでとは違い、冷ややかな表情で尋ねてきた。
「だったら、ベッドから出てこの部屋から逃げればいいんじゃないのかな?」
「……。」
 スカーレットの意見に王子は黙っていた。
 王子も本当は逃げたかったのだが、体が動けないかったからである。
「それとも、本当はして欲しいからそこにいるのかな?」
「違う、そうじゃない!」
 この質問に王子はやや投げやりな言い方で答えた。

「じゃあ、どこが違うのか教えて欲しいわね?」
 王子の反抗的な態度にカチンときたのか、スカーレットは上体を起こしてきた。
「ココはこんなになっているのに、何がイヤだって言うの?」
 スカーレットはそう言って、両腰に手を当てながら王子の下半身を見下ろしていた。
 王子の股間は勃起していて、天井に向かって大きく突き上げていた。
「それは僕に無理矢理飲ませた薬のせいなんじゃないのか?」
 そう言って、王子はスカーレットに負けじと反論した。
「本当は嬉しいんじゃないのかな?
 だって、今朝私を待たせている間に他の娘の覗きなんかしてたんだもの。」
 王子を見下ろした状態でスカーレットは話を続けた。
「それとこれは違うんじゃないのか。」
「どうかしらね。」
 王子の言葉にスカーレットは聞くつもりが無かったのか、耳を貸そうとはしなかった。

「いずれにせよ、君が何と言おうと私はやらせてもらうからね。」
「ヤダよ、やめてよ!」
 迫ってくるスカーレットに王子は叫びだした。
「やめてほしいなら、やってごらん。
 私を追い出せるものならね。」
 スカーレットは王子の勃起した股間を握りながら、やめる気配はなかった。
 やがてスカーレットは自分の腰を王子の下半身の方へと沈め始めた。
「待っていたのよ、この瞬間をね。
 プラムも本当は好きな人としたかったのでしょうね。」
 そう言いながらスカーレットは王子の体と密着させた状態で自分の腰を動かしていた。
「あの子は失恋してそのまま泣き寝入りしていたけど、私は違うわよ。
 私はどんな事があっても、欲しいものを手に入れる事にしたの。
 だから、あなたの童貞も必ずもらうからね。」
 そう言ってから、スカーレットは密着していた体をスライドさせて腰の動きも前後、
上下へと変化させていった。
「や、やめて…。」
「恐いのはわかってる。
 私も初めてだもの。
 お互い、初めて同士仲良くやりましょう。」
 スカーレットの腰の動きが激しくなるにつれて、王子の我慢も限界に近づいてきた。
 少しでも気を許すと、王子はすぐにでも射精しそうな状態になっていた。
「も、もうダメ…。」
「そう、じゃあ2人一緒にね。」
 スカーレットのこの言葉を合図に2人はほぼ同時に果ててしまった。
「フフ、王子様の童貞もらっちゃった。」
 満足げな顔でスカーレットはポツリと呟いた。

「王子様、とっても良かったわよ。」
 スカーレットはそう言いながら、ぐったりしている王子を自分の方へと抱き寄せた。
 王子の顔がスカーレットの両胸に押し付けられる形になっていた。
「本当に嬉しかったわ。
 私の初体験の相手が君みたいな人だというのが。」
「……。」
 王子はスカーレットの話をうつろな気持ちで聞いていた。
「今日は付き合ってくれて、とても楽しかったよ。
 また機会があったらまたやりましょう。」
 スカーレットはそう言って王子の頬にキスをしてから眠りに就いた。
 王子はスカーレットの胸の中で眠る形になっていた。
 スカーレットの童貞を奪われた王子はそのまま彼女と一夜を過ごす事となった。


続く