Mr永峰様作
格闘凌辱ファンタジー<カヴァルナの姫> 亡国の王女の悲劇 第2部

第1話 プリセア姫はアルノス王に謁見する


軍事大国ボルゴニアはこの十年ほど、周りの国を武力で従えて勢力を拡大していた。
始まりは王女のパガレアが裕福なイビリア国に嫁いだことだ。
すったもんだのあげくイビリアは結局ボルゴニアに吸収されてしまい、それからというものボルゴニアのアルノス王は敵国だろうと友好国だろうとお構いなしに侵略を繰り返していった。
いろんな国から王族や貴族の女子供が人質として集められて、城中に住まわされていた。
それだけではない。
たくさんの捕虜が奴隷として連れてこられたせいで値段も半分以下まで落ちた。
とくに女奴隷が安くなったのはボルゴニアの男達には嬉しい話だろう。
それでも誰もが買えるわけじゃない。

「うちはカカアがうるせーから買いたくても買えねえんだ。」
「オレたちみてえな貧乏人はしかたねえ。娼婦で我慢することだな。」
「それにひきかえ王子様ったらいいよな。あんなにお姫様ばかり集めて....」
「毎晩よりどりみどりで....いいねえ、羨ましいねえ。」
「ほら来たぜ! 新しいお姫様だ。」

今日、そんな人質に仲間入りしたのがカヴァルナのプリセア姫だった。
行列が街の門をくぐると勇ましい王子の凱旋と噂の姫君の姿を見ようと大勢の人々が大通りにごったがえしていた。

「王子様、万歳!」
「いよお、お姫様~っ!」
「きゃー、プリセア様ぁ!」

プリセアも立派な輿に乗って、たくさんの男女が両側の家の窓から手をふったり花を投げたりしている様子を見ていると、敵国といってもそう悪い気はしない。
でも一度慰められた気持ちも城に入ってしまうとまた暗く戻っていく。

長い廊下にはこれまでに滅ぼされたり占領された国の旗や盾などが並べられていた。
焼けこげたもの傷ついたものもあって、それがカヴァルナの運命を暗示しているようで見るのが辛い。

「まま、そんな顔はなさいませんように。住めば都ともうしますし、ほんとボルゴニアはいい所です。すぐ好きになりますぞ。」

グロイス王子の手下ボン・ペルツがいやみっぽい声で言ったのをプリセアはきつくにらみ返したが、ペルツはいやらしい笑みを隠そうともしない。

「さぞ長旅でお疲れでしょう。今夜はぐっすりお休みくださいますように。明日からは眠りたくても眠らせてもらえませんぞ。うひひひ....」
「その辺にしておけ。」

グロイスに言われてペルツは禿頭をなでなで引っこむ。

「プリセア、これから父君に謁見いただくが、その前に着替えてもらうぞ。姫にぴったりのものにな。」

部下が持ってきたのはなんと鎧だった。
プリセアの鎧ではないけれど確かに女物だ。

「父君がな、ぜひ姫の腕前を見たいそうだ。安心しろ。木剣の手合わせだし、鎧もこの前のようにバラバラになったりはしない。」
「ええ、鎧は大丈夫ですわい。」

グロイスもペルツもなにか悪い企みがあるのが顔に浮かんでいた。
だからといってプリセアに何ができるだろう。

「....お指図のままに。」
「よい心がけだ。」

プリセアはぐっと歯を食いしばった。ボルゴニアのアルノス王は白髪の混じった壮年の男で、長い髭を胸まで垂らしていた。
これみよがしに大きな玉座に腰かけて、高いところから一同を見下ろしていた。
外国の王族にもまったく敬意を払わない傲慢な態度は評判が悪かったが、誰もそれを咎める者はいない。
若いころから戦争ばかりしていて、他の事にはあまり関心がない性格だそうだ。
大国の王にしては子供が二人しかいないのもそのせいなのか。
だからといってグロイス王子がその分、子孫繁栄をかんばっているわけでもあるまい。

「ふむ、そなたがカヴァルナのプリセアか。....そうか。」

何もかも面倒くさそうな態度。
それもそのはず、アルノスはカヴァルナごとき小国の姫を王子の正妻に迎えるのが乗り気でないのだ。
しかし政略結婚を考えているわけでもない。
そんな面倒なものに頼るぐらいなら戦争でカタをつけようという性格だ。
ただ大国としての格好がつかない。
カヴァルナ王家は由緒のある名家だがどうにも国が小さい。

「かなり剣を使うそうだが、わが親衛隊にひとつ指南をしてみせよ。」
「仰せのままに。」

ひざまづいていたプリセアが顔をあげた瞬間、アルノス王は「おや」と思った。
少女らしさの残る顔にきりっと引きしまった眉、でもどこか色気がうるうると浮かんでいた。
どんなにプリセアが隠そうとしても、体の中の炎は隠しきれるものではない。

(こんな状態で....私、戦えるの?)

今のプリセアはグロイス王子のしかけた罠でもがいている一匹の蝶だった。中庭には立派な闘技場がもうけてあった。
石畳のまん中が四角くくぼんでいて砂がしいてある。
水を抜いた溜め池みたいな逃げ場のない場所で戦うのだ。
いかにも武力の国らしい楽しみ方だ。

「一番、参ります!」

反対側から一人の男が階段を下りた。
プリセアも同じように下りた。
しかしその足は少しもつれていた。

(あ....きつい、ダメ....)

渡された木の剣さえずっしり重く思えた。
そして剣の柄をぎゅっと握りながら、自分の中にある似たようなモノの形をまざまざと感じた。
プリセアを苦しめているモノ。
それはグロイス王子からのとんでもないプレゼントだった。

第2話 プリセア姫は膣内に異物を入れられる


甲冑すがたの男と女が練習用の木の剣を構えて向かいあっている。
かたや軍事大国ボルゴニアの親衛隊、もう一人は名高いカヴァルナの戦う姫君プリセア。
この御前試合でアルノス王をそれだけ楽しませられるか、小国カヴァルナの運命もそれで変わるかもしれない。
でもプリセアにはもっと気になる敵がいた。
小さなくせに彼女を大きく狂わせていく敵がいた。王の謁見の前、プリセアは鎧に着替えさせられた。
胸の膨らみのある女用の鎧で、ふちに銀を流して肩口に緑の宝石がはめてある豪華な品。
アルノス王にはグロイスの上に王女パガレアがいるから、ひょっとしたら彼女のものかもしれない。
実用品というよりは儀式用ですこぶる軽い。

鎧の下につけるキルト服をつけたところで、きゅうにグロイス王子が部屋に入ってきた。
召使い女たちがあわてて出ていく。

「な、何の用ですか!」
「これを差しあげようと思ってな。」

グロイスが持ってきたのは黒いかたまりだった。
あからさまに男根の形。
大きさは親指ほどしかないけれど、丸っこいイボのような出っ張りが全体に生えていた。

「まさか....」
「これを入れてもらおう。」
「や、やめてっ、無茶です、そんな....。」

彼女の言葉など聞きもしない。
グロイスはキルト服の股布を引っぺがした。
それで前から後ろにかけての股間だけが露わになってしまう。

「きゃっ、お許しを....」
「じっとしていろ。」

黒いものを秘肉めがけて強引に押しこもうとする。
ぴりっと痛みが走る。

「いやっ! 痛い、ダメです....」
「やはり濡れていないと無理か。では、よく舐めて濡らすんだ。」

どうしても入れさせたいらしい。
プリセアが口を閉ざして拒もうとしても「このままねじこもうか」と問われては従うしかない。

怯えつつ緩めた唇をおぞましい形が姦す。
その瞬間、口中に濃厚な味と香りがした。

(なに? なにこれ?)

よく知っているような味だった。
でも動揺しているせいで正体が思いつかない。
あっという間に唾液があふれでる。

「これでいいだろう。」
「そ、それは何なの? や、待って.....あう、ああっ!」

グロイスはやりたい放題だ。
プリセアの手を払いのけて再び女の扉に黒いかたまりを突きこむ。
今度こそずぶりと侵入してくる物体に、プリセアのお腹がひくひくっと痙攣した。
グロイスはそれを指で奥まで押しこむと、彼女が目をつぶって耐えている間に、もう一つのプレゼントまで着けてしまった。

カチャ、カチャン。

冷たい感触と固い音。
プリセアは驚いた。
鉄でできた下着のようなものが腰布のかわりに恥ずかしいところをおおっていた。
貞操帯だ。

「嫌です。は....外してください。」

プリセアにとって貞操帯は戦場で貞操を守るもの。
それを体内に異物を入れて着けるなんて。

「それで手合わせをするんだ。なに、姫ほどの手練れなら丁度いいハンデだ。」
「そんな....」
「ついでに言っておくと、そいつは海藻でできている。そうだな、ぺルツ。」

呼ばれて出てきたのがボン・ペルツ。

「さようです。南の海でとれた巨大な海藻を干して作らせたモノでして、時がたつほどご婦人を悦ばせるというスバらしい一級品で。」
「さっさと終われば苦しまずにすむ。いや....楽しまずにすむ、かな?」

男どもの淫らな罠にかかって、プリセアはこれから悦楽の地獄を味わうことになる。

第3話 試合中に湧きおこる快感


「始めっ!」

合図とともに相手の兵士が飛びかかってきた。
木でできた練習用の剣でも、まともに殴られれば失神ぐらいはする。
プリセアはとっさに受けとめ、今度は自分から攻めていった。
さすが王の身を守る親衛隊の兵士。
軽い身のこなしで彼女の攻撃をかわしてしまう。
プリセアだって負けてはいない。
腕力では劣っていても技術と早さでカバーして男に余裕を与えない。
グロイス王子も関心する。

「いったん戦いが始まれば女を忘れるようですな。」

アルノス王は息子の声にも無言だが、退屈はしていないようだ。
プリセアが踊るように剣を使うようすを身を乗り出して見ている。
プリセアの中ではあいかわらず黒くてイボイボの異物が気になっていたけれど、違和感にはだんだん慣れてきた。
生理痛のようなものだと割り切ってしまえば我慢できないものじゃない。
それより、この前の試合のような恥をかきたくない気持ちのほうが強かった。

「プリセア様、噂だけあって立派なお手並みですな。」

相手の兵士がそんなことを言うのもイヤミではなさそうだ。
グロイス王子の部下とは違って礼儀正しい。
だからこそ裸にむかれないとしても、あんまり無様なところを見せるわけにはいかない。
ふたたび二人は向かいあう。
男はいきなり走り出すとプリセアの左へ左へと回りこもうとした。
三四周したあたりでプリセアの背後へ打ちかかる。
彼女がかわすと男はまたグルグル回る。
なかなか巧い手だ。

(こういう時は....)

プリセアはわざと動きを遅らせて隙を作ってみせた。
男がチャンスと思って体をよじった瞬間、彼女はかわしながら壁ぎわへすすっと寄っていた。
もう回りこむことはできない。
そこで男の足が止まる。

「やああっ!」

プリセアは壁を蹴った。
驚く男の目の前でカヴァルナの姫は軽やかに宙を飛んでいた。
あわてて剣を構えなおした時にはもうプリセアの木剣が首筋を叩いていた。

「ふふん、見事じゃ。」

アルノス王が拍手すると大臣や貴族たちがいっせいに感嘆の声をあげた。
口々に彼女の武術や容姿を褒めている。
いっぽうでグロイス王子は小声でボン・ペルツに話しかける。

「それも今すこしのことだな。」
「さようさようです。間もなく腹の中のアイツが....むふふふ。」

流れが止まったところでペルツが合図を送ると、兵士がプリセアたちに水を差しだす。
彼女が飲むのを見てペルツは上機嫌だ。

「そうそう水分補給が大事ですわい。たっぷり汗をかいてもらいますぞ。」

次に出てきた男は身の丈ほどの大きな斧を持っていた。
長い棒の先に半月型の刃がついている形で、これも木でできている練習用だ。

「お手あわせできて光栄ですわい。」

もみあげの長い大男。
戦士というより樵みたいだ。
そうとう腕力があるらしくて木製といってもかなり重そうな斧を片手でぶんぶん振り回す。
それだけで試合場いっぱいに逃げ場がなくなるかと思うほどだ。

「でやあああー!」

攻撃を受けた木剣がぽっきり折れてしまう。
しめたとばかりに打ちこんでくるのを紙一重でよけると、プリセアは斧の柄をしっかり捕まえた。
力勝負ではとても綱引きのようにはいかない。
斧といっしょに振り回されそうになるのを必死でこらえる。
大男と小柄な姫が斧を掴みあってアンバランスなダンスをしているようすは、二人のどちらにとってもあまり格好がよくない。
プリセアにしても、もう剣は無いのだから放すことはできない。
代わりの剣をもらおうと思っても誰かが試合をとめないかぎりは無理だ。
こうなると我慢くらべだ。

時間ばかり過ぎていくうちに、太陽が高くあがって日射しが強くなってきた。
そのうえ風も吹かない。
まわりを石の壁で囲まれている試合場はむっとした熱気で満たされていた。
鎧が火にかけられた鍋のように熱くなって、蒸し焼きにされるような苦しさがあった。
汗が目に入ってしみる。

「うおーっ!」

男がまた強引に斧を振り回す。
プリセアは釣られる直前の魚みたいに足をばたつかせて抵抗する。
けれど、そのまま壁に叩きつけられる。

「はうっ....」

斧の柄をぎゅっと握りしめながらプリセアは切ない呻きをした。
背中の痛みよりもっと強い刺激がお腹の下からわき上がってきたから。
忘れかけていた物体が改めて彼女に気づかせようとする。

(駄目、我慢しなくちゃ....)

プリセアは歯をくいしばって顔をあげた。
でもお腹に力が入らない。
力を入れようとするとあの黒い異物がじわじわとたまらない感覚を送ってくるのだ。
一度気になり始めるともう止まらないのが女のもろさ。
体の芯からしびれるみたいだ。

でも先にしびれが切れたのは男のほうだった。
ついにもみあげを逆立てて力まかせにプリセアを地面になぎ倒そうとした。
途端にプリセアが斧をぱっと手放してしまったものだから、相手はよろめいてばったり手をついてしまった。
プリセアはたちまち我に返った。
斧を奪いとって男の喉元へつきつけて彼女の勝利。
また拍手がわきおこる。

休憩をはさんで次の相手はまた剣使いだった。
今度は盾も使った戦いでプリセアの得意なところ。
でももう彼女にはそんなことはどうでもいい。
ただ一刻も早く終わってくれるのを祈るだけ。
今こうして戦う間も相手の剣が盾にぶつかる衝撃が響いて、おぞましい男根型のかたまりをお腹に実感させるのだ。

「うわ....あぅ、はあっ、はぁ....」

手足は慣れのおかげで勝手に動くけれど心は完全に麻痺していた。
斬りむすんだり離れたりするたびに、あの淫らな贈り物がプリセアの肉の奥で上へ下へ動きながらだんだん大きくなっていく気がした。
しかし、それは気のせいではなかった。
「海藻でできていて、時がたつほどご婦人を悦ばせる」とペルツが言った通り、黒い異物は不気味な変化を始めていたのだ。

第4話 体内で膨らむ海藻ペニスの地獄


「な....何これ....」

プリセアはとまどっていた。
間違いなくアレは大きくなっていた。
炎天下で重たい鎧をつけて激しい運動をすればとうぜん汗をかく。
女の部分もじっとりと湿ってしまう。
その水分を吸ってアレは、試合前にグロイス王子が押しこんだ忌まわしい物体は前よりもずっと膨れていた。
目で見なくてもいやらしい圧迫感がだんだん高まっていくのがわかった。

「姫、どうされましたかな? お疲れですかな?」

相手の男がかける言葉が胸につきささる。
プリセアがいったい何に苦しんでいるのか彼が知ってるわけもない。
きっと女だてらに武術のマネゴトなんかしてもけっきょく体力がないとせせら笑っているのだろう。

そう思われるのが何より悔しい。

「やああーっ!」

力を振りしぼって打ってかかる。
でもお腹に力が入らなくては大した攻撃にならない。

(こ、こうなったら。)

そこは百戦錬磨のプリセア姫。
体調が悪いときの戦いかたも心得ている。
戦場では生理だろうと何だろうと敵は待ってくれない。
彼女はわざと剣と盾を大振りして隙を見せると、相手は思ったとおり突いてくる。
そのタイミングで盾を男の顔の前へ放り投げ、死角を利用して突きかえす。
うまくいった。

どすっ!

みぞおちに一発くらって男はがっくり地に落ちた。
木剣でも油断すればこの通りだ。
拍手と口笛がわき、あちこちから花が投げられる。誰かが「休憩」と声をあげる。
王や何人かがトイレに立つ。
兵士からさし出された水をプリセアはいっきに全部飲み干してしまった。
ひどく汗をかいていたし胸が焼けるように熱かった。
水は少しばかり変な味がしたけれど気にしていられなかった。

(早く....早く終わらせなきゃ。)

休んでいる間もずっと椅子に寄りかかって立ったままなのは、座ってしまったら自分がどうなるか分からないから。
もう圧迫感だけでなくじんじんとむずがゆい刺激が体の中を蝕んでいる。
意識してないと右手が股間に行ってしまいそうになる。

(ああ、辛い....だめ、しっかりしなくちゃ、でも....)

「ほう、さすがだな。座りもせぬか。」

戻ってきた王が何も知らずに感心すると、グロイス王子がすかさず。

「お気にめしましたか?」
「うむ、悪くはない。だがな....お前の妻にはもう少し別のをと考えておったのだが。」

しかしグロイスは席に戻りながらきっぱり言い捨てた。

「女など誰でも同じですよ。プリセアを除けば。」

自分がどう言われているかも知らずプリセアは肩で息をしていた。
意志とは無関係にプリセアの内臓は体に入りこんだ邪魔者を押しだそうとするようにうごめく。

「....はぅ。ああ、くうぅ....いあ....」

いっそ鎧を脱ぎすてて掻きむしりたい痒さが時間とともに強くなっていく。
もうプリセアは気が遠くなりそうだ。

「だめ、だって....こんな....」
「何と?」

急に呼びかけられてプリセアは飛びあがるほど驚いた。
目の前にいたのは彼女と同じぐらい若い青年だった。
次の対戦相手なので試合前に挨拶に来たそうだ。

「イビリア領の騎士でジェローともうします。よろしくおねがいします。」

青みがかった瞳はプリセアと同じ、髪は彼女の栗毛にくらべやや金色っぽかった。
豪華ではないけれど美しい鎧をつけて武器も手入れが行きとどいている。
そして何より礼儀正しい。
ジェローはプリセアの手をとると鉄の籠手の上からキスをした。
心から貴婦人らしく扱われたのは祖国カヴァルナが侵略されてからこれが初めてだった。
でも、だからこそ彼には無様なところは見せられないと思った。
プリセアは声が震えてしまうのを押さえながら、やっと言葉を返した。

「こ、こちらこそ....よろしくお手合わせのほど....」
「ありがとうございます。」

にこりとほほ笑むジェロー。
プリセアはつい体のことも忘れて若い騎士に見とれてしまう。
でも悲惨な現実は終わらないのだ。

第5話 馬上でむかえる絶頂と勝利


「次のお相手はイビリア伯爵夫人様おつきの騎士で....」

今度の試合は馬に乗って槍の手合わせ。
でもジェローのことが紹介されている間、プリセア姫はまだ鞍に登りきれないでいた。
片足をかけていざ踏んばろうとしても体が言うことをきかない。
快楽と苦痛のごちゃごちゃになった感覚で手足も麻痺している。

「どうしましたか?」

手伝いの兵士に言われて気持ちばかりあせる。
客席の目も集まってくる。
これじゃいけないと深呼吸してやっと体を持ちあげた瞬間....
にゅるん。

「ひあっ!」

もう少しでプリセアは崩れおちそうになった。
すっかり汗を吸って大きくなった男根型の海藻の端が、圧力のせいで媚肉からはみ出したのだ。

でも貞操帯があるから抜け落ちたりはしない。
グロイス王子とペルツの悪だくみは用意周到だ。
プリセア姫の体が途中で止まっているので、兵士がまた声をかける。

「姫様、どうされました?」
「....だ、だい....大丈夫。」

プリセアは無理やりに体を鞍の上まで引っぱりあげた。
お尻をつかないように反対側の足をあぶみにかけて立ったままでいる。
いったん引いた汗がまたぶわっと出てきた。
貴族どうしの試合なのでラッパ係がはでな合図をする。
長い槍の先にはカバーがついていてケガをしないようになっている。
でも当たって落馬でもすれば骨折だってしかねない。
二人で会場をぐるっと一周してから位置につく。
プリセア姫にもジェロー騎士にも婦人席から花と黄色い声援が投げられる。
またラッパが鳴って二人の馬が駆けだした。
ジェローの馬さばきはみごとで槍の先がぴたっとプリセアを狙ってくる。
腰を浮かせている彼女にとって、まともに受けるのは危険だ。
盾をうまくクッションさせて衝撃を逃れる。

ジェローのほうはプリセアの槍を軽々とかわしていた。
二人とも試合場の反対側まで駆けていくとまた客席から声援がくる。

「うまい、おしいぞ!」
「姫様ぁ! しっかり、もう一回!」

でもこれが限界だった。
女物とはいっても鎧は重たい。
盾も槍もある。
ふとももが痙攣する。
これ以上それを支えて足を踏んばることはできなかった。
プリセアが鞍にそっとお尻を下ろすと、ずぶっと海藻ペニスが押しこまれた。

(あああっ....)

歯を食いしばって声を我慢する。
前よりもっと大きく膨らんでいる。
ウエストがきつく思うぐらいだ。
鎧と兜をつけているから観客には武者震いしているように見えたのだろう。
がんばれ姫様の声がする。

(お願い....早く終わって....だめ、ちょっと待って....でも....)

またラッパが鳴ると、馬は勝手に動き出す。

(いや....いやぁ、だめっ! こんな....)

けれども、こうなったらやるしかない。
プリセア姫はやけくそで馬を駆った。
お尻が鞍にぶつかるたびにお腹の中で異物が突きあげる。
だからお尻を浮かそうとして足を踏んばると、媚肉が締まって異物をもっと感じてしまう。
プリセアは腰を上げたり下げたりしながら、自分が感じてしまわないようにそうしているのか、それとも感じようとしているのか分からなくなってきた。
ガシンとぶつかって危なく落ちそうになる。
でも相討ちだったおかげでショックは小さい。
だからといってプリセアには楽ではなかった。
ちょっと意識が飛んでしまう。
落としてしまった槍を手伝いの兵士が拾ってわたそうとするとプリセア姫の手が震えていた。
そのうえ兜の中からはすすり泣くような声まで聞こえていた。

(おいおい、まさか恐いのかよ。練習試合じゃないか。)

プリセアにしてみれば恐い試合のほうがマシだ。
いやおうなしに気持ちよくされる地獄に比べたら。
鎧の下では体液と海藻から出た汁があふれて貞操帯も下履きも何もかもぐちゃぐちゃになっていた。
ただでさえ息がつまる甲冑の中をものすごい臭いがのぼってくる。
淫靡きわまる臭いに襲われて、いつのまにか彼女は小さな喘ぎ声を止められなくなっていた。
またラッパの音。
ジェローの槍がこっちを向いている。
カバーのかかった先端はまるで巨大な男根のようだ。
その相手めがけてプリセアも突進した。
馬が大地を蹴るたびに衝撃が女の肉をずんずんと突きあげる。
カヴァルナの戦う姫君はもう悦楽の奴隷になって、わけの分からない叫びを出しながら相手に突進していた。

「はあぅ、あう! ふあっ、はっ、ああんっ!」

周りの人々には聞こえないけれど、兜の中では自分自身を洗脳するような大きな声になって響いている。

そんなひどい状態でも、長年の訓練のおかげで体は勝手に動くみたいだ。
ほとんど気を失いかけていたのにプリセア姫の槍は相手の肩をしっかりとらえていた。
槍がぶつかって相手の体が空中に舞いあがった瞬間、そのショックを受けたプリセアの肉体も絶頂へと舞いあがった。

「くああああーっ!」

プリセアがあられもない大声をあげても、グロイス王子とペルツ以外は誰もただのかけ声としか思わなかった。
すぐさま割れんばかりの歓声がわきおこった。

「見事じゃっ!」

アルノス王も満足そうだ。
立ちあがって惜しみない拍手を贈る。
快楽の波がおちついてやっと自分を取り戻すと、姫君はほとんど崩れるように馬からおりて王の前にひざまずいた。
兜をとった顔はもとの美しさに加えて、うっとりと色っぽく汗ばんでいた。
その妖艶なようすは王もすこし見とれてしまったほどだ。
彼もまだまだ老人の歳ではない。
王子に少し嫉妬を感じてしまったかも知れない。

第6話 愛液をまき散らすプリセア姫の痴態


御前試合もやっと終わってプリセアには着替えが待っていた。
姫にはそっちのほうが大きな恥辱だった。
何人もの召使いの女たちが着替えを手伝う。
手伝うというより人形みたいに着替えさせるのが貴族の場合だ。
自分でやると言う間もなくプリセアの鎧がはずされていく。

女たちも初めは汗の匂いかと思っていた。
でも甘酸っぱくてキツい女のおりものの匂いだ。
そして鎧の中に着るキルト服の下履きを脱がせたとき皆の手が止まった。
股間がべっとり濡れて糸を引いている。
てらてら光る貞操帯の下からさらに蜜が湧いてくる。

(ひょっとしてプリセア様って戦いに感じるタイプ? 見られて燃えるの? 変態?)

どう見ても軽蔑の目だ。
プリセアは恥ずかしさに震えながら時間が過ぎるのをじっと堪えていた。
砂と汗と愛液にまみれた姫の体をバカ丁寧に拭いてから白いドレスを着せ終わると、女たちは部屋を出たとたんクスクスと笑って走っていった。

プリセアは床にがくっと座りこんだ。

「あああ....お母様....」

涙がぽろぽろ落ちて床にしみをつくる。
あんな恥をさらして今後もこの城に住むのかと思うとぞっとした。
しかしプリセアの体は心を裏切っている。
泣きじゃくれば泣きじゃくるほどお腹の中では忌まわしいあの海藻のカタマリが、子宮をつきあげ粘膜を刺激して彼女を獣欲の虜にしてしまおうとする。

(出してしまわないと。おかしくなっちゃう。)

プリセアはスカートをめくると貞操帯をはずそうとした。
けれど革と布をあわせて作った肉の牢獄は少しも緩めることができなかった。
貞操帯なんだからあたりまえだ。
横から指を入れて何とかしようともがいていると体がもっと熱く燃えていく。

「いや....もう出ていって、ああっ! だめよ、ひどいっ! 誰かぁ....」
「お呼びかな?」

急に呼びかけられてプリセアは飛びあがるほど驚いた。
目の前にはいつのまにか男の足があった。
ゆっくり見上げるとグロイス王子だった。
ジェロー騎士でなくて良かったけれどグロイスはもっと嫌だ。

「おやおや何をなさっていたのかな。」
「知らないっ!」

プリセアはやおら立ちあがると、悪どい王子様を背をむけてテーブルに手をついてまた泣きはじめた。
この男の前だけでは強気でいようと思っていたけど、もう無理。
グロイスは彼女のお尻を見つめる。
上半身では悲しんでいても下半身は快感にひくひくとうごめいている。

(ここはひとつ男の優しさを思い知らせてやろうか。)

細いウエストに手を回して背後から捕まえると耳元でささやいた。

「プリセア、尻を出せ。ほら....取って欲しいんだろ。」
「卑怯者っ。」

グロイスの手が後ろからプリセアをテーブルに押し倒す。
涙が飛び散る。

「いやっ!」

口ではそう言っても体はされるままだ。
グロイスはスカートをすっかりめくりあげ、白いお尻を撫でまわす。
きゅっと肉がしまっているところに鎧と鞍のあとがついているのがまたいい。

「なんだ、ベトベトじゃないか。ちゃんと拭いてもらったのか?」
「いや....もう、どうして....」

プリセアはテーブルにうっ伏して弱々しい泣き言をいっていた。
体が性の喜びをむさぼるのを心ではどうすることもできなかった。
男はポケットから冷たい鉄の鍵を出すと柔肌のうえをあっちこっちへ擦りつける。

「どうだ、このままにしておこうか?」
「はずして....く、ください。」
「ほんとうにいいのか? こんなに濡れてるぞ。」

貞操帯のうえをぐーっと押さえる。

「うあ、あ....取って、いやいやぁ....」

グロイスは片手で貞操帯を押さえながらカチャンと鍵をはずした。
そして....

パシーンッ!

押さえていた手を離すとプリセアの白いお尻を大きくはった。
彼女が背を弓のようにそらせて悲鳴をあげた瞬間、巨大な海藻のかたまりが紅い肉の奥から飛びだした。

「やあっ、うわあああああーっ!」

グロイスの目の前で姫君の腰は上下にのたうち、あられもない汁をまき散らした。
汗と愛液と海藻の匂いでむせ返るようだった。
しばらくして絶頂が治まったあとも、開きっぱなしになった陰門からは淫らな蜜が泉のようにわいては床へ滴っていた。
その床の上ではカヴァルナの姫君が出産あそばしたばかりの男根型が、ぬらぬら半透明に光りながらいやらしい湯気をたてているのだった。

第7話 プリセアと女達の囚われの生活


 軍事大国ボルゴニアだけのことはある。
カヴァルナの姫君が御前試合でなみいる強者どもを倒した話は、その日のうちに町中に広まった。
とくに最後の相手ジェロー騎士との手会わせで勝ったということがいちだんと噂になった。
美男子で文武両道の優れているジェローは貴婦人の間でもファンが多い。
その彼を、麗しいプリセア姫が負かしたのだから世間は大騒ぎだ。
さすがはカヴァルナの戦う姫君、グロイス王子のお妃として申し分ないと大評判になった。

 アルノス王も初めは小国の女という理由で難色だったが、やっと納得。
近いうちに神聖な日を選んで結婚式があげられることに決まった。

(それでみんなが助かるなら....)

 そう思うのがプリセアにとって唯一の慰め。
祖国を滅ぼしたボルゴニアの王子に嫁ぐなんて屈辱でしかないが、まだたくさんのカヴァルナの兵士が捕虜になったままだ。
それにプリセアと一緒に連れてこられた三十人の女達はどこでどういう目にあっているのかも分からない。

「せめて、エミリナにだけは会わせてください。」

 いくら頼んでもグロイスは知らん顔だ。
そのうえ皮肉っぽくこう言う。

「そのうちだ。わが国の作法をよく覚えてからな。私が留守にする間、姫もせいぜい花嫁修業するといいぞ。」

 将軍でもあるグロイス王子はちょうど隣国で起きたもめごとを治めるため、明日の朝、軍を率いて行くのだという。
どうせ問題解決を口実にしてボルゴニアの国益を押しつけるだけだろう。
ほんとに悪事を働くことにかけては勤勉で知恵がまわる。

「愛する婚約者の出征だぞ。優しい言葉のひとつもないのかな。」

 プリセアはきっと相手をにらんで言い返した。

「これが....あなたの優しさのつもりですの?」

 ぐるりと部屋を見渡すと窓も何もない暗い部屋。
豪華なカーペットや天蓋つきのベッドなど家具はそれなりのが揃っているが、大きな荷物みたいなモノがあちこちにあって倉庫のようだ。
花嫁が住む場所ではない。

「いやいや、そなたのために特別の部屋を準備中なのでな。できるまでの辛抱だ。それに窓があると間男が忍んでくるかも知れん。」
「失礼ですっ!」
「ふふん、昼間はジェロー殿にご執心だったようだが....」

 とくに意識はしていなかったけど、そう言われるとプリセアは胸をかきむしられるような恥ずかしさを感じた。
何でもグロイスに見透かされて、それをネタにもっと酷く虐められるだけなのか。

 でもグロイスが出かけてしまえば、とりあえず数日は何もされないでいられるはず。

「そうそう、よーく女の部分を休めておくといい。戻ってきたらたっぷり可愛がってやれるだろう。」

 そう言い捨てて悪どい王子様が行ってしまうと哀れなお姫様はベッドに倒れこんだ。
もう涙も出ない。
御前試合とその後のパーティの疲れで体が重かった。
召使いたちが着替えをさせに来るのも待てず、いつしかプリセアは眠りに入ってしまった。



 プリセア姫が王宮へ招かれたのとは別に、三十人のカヴァルナの女達は裏手にある館に連れていかれた。
みすぼらしいけど頑丈な建物で、いろんな国からさらわれてきた捕虜が監禁されている。

「おら、この部屋だ。さっさと入れ!」
「いやっ。姫様は? お願い、姫様に会わせて!」
「うるせぇ!」

 乱暴な兵士がすがりつく女を蹴っとばす。
ちょうどその時、別の大きな男がぐったりした女の体を引きずって通りかかる。
兵士が女の髪をつかんで頭を持ちあげると、顔はあざだらけで涙と鼻血と白い粘液でぐしゃぐしゃになって白目をむいていた。

「こいつ死んでるのか?」
「時間の問題だな。」
「おいっ女ども。いいか? この女はうちの大将にナマイキ言ったんだ。その罰に五十人の男に輪姦されたんだ。お前らも言うこと聞かないとこうなるんだぜ。」
「いやああーっ!」

 女たちはいっせいに悲鳴をあげた。

第8話 召使のモナは別の部屋に連れ出される


 プリセア姫様がどんなふうに扱われているかも知らないで、カヴァルナの女達はただ自分の運命ばかり心配するのだった。
監禁されている部屋は狭くないが三十人もいるのだから窮屈でしかたがない。
そのうえ食事といえば家畜の餌かと思うぐらいひどい物。
トイレをするにも部屋の隅で「おまる」を使うという有様だった。

 壁やドアの外からは、ときどき女の泣き声や悲鳴、命ごいする声が聞こえてくる。
こんな地獄の一丁目で皆を支えていたのがプリセア姫の従妹のエミリナだった。
まだ十四歳の少女でしかないが王族の人間としての使命感があった。

「お前達....私たちがしっかりしなくちゃね。プリセア様のためです。きっと結婚式がすめば、きちんとした待遇になると思うの。」
「姫様は今どうなっているんでしょう。」
「大丈夫です。きっと。」

 エミリナだって絶望に負けそうな気持ちは同じ。
しかし表面では凛とした顔を見せなくてはいけない。
エミリナの体を守るためにプリセアが処女を奪われるのを見てから、彼女は自分の義務について考えるようになっていた。

(私がみんなを守らなくちゃいけない。)

 でもこの悪魔の国ではエミリナの決意なんて馬に踏みにじられる花みたいなものだ。

「おい、てめえら! ペルツ殿がおいでだぞ。よく挨拶しろ。」
「へへへ、こりゃどうも。おーおー、美人ぞろいでけっこうですなあ!」

 兵士の後ろからひょこっと背の低い中年男が顔をのぞかせる。
平たい帽子をかぶっているのでなおさら小柄に見える。
王子のご用商人ボン・ペルツだ。
物色するみたいに女の顔を一人ずつ確かめると、とうぜん女達は嫌がって避けようとする。

「悪いことをしようというのではないですぞ。ただ、この中でプリセア様のお世話をしたい人はいますかな?」
「どういうことですか?」
「これはこれはエミリナお嬢様。じつはお姫様はボルゴニアの召使いとうまく気が合わないみたいで、やっぱりこんな場合はお国の習慣にくわしい人が良いのではないかとね。もちろん、誰もプリセア様の世話なんかしたくない....って言うなら無理矢理でもボルゴニア流でやりますがねえ。」

 その時、一人が立ちあがった。

「わ、私がやります。モナです。これまでずっとお世話をしてきました。」

 ウェーブのかかった黒髪の少女で、なんとなく異国っぽい顔だちをしているのが魅力的だ。
ペルツは嬉しそうに小躍りして下品に笑った。

「おーおー、お前さんがやってくれるか。これでプリセア様も安心だわい。」
「私も行きます!」

 エミリナや他の女たちも申し出たがペルツは一人で十分だと言って取りあわなかった。
いやらしい中年に手を引かれてモナが何度も振りかえりながら出ていくのを、女達はただ心配そうに見送るしかなかった。

 パシッ!

 ほっぺたをひっ叩かれてモナは目を覚ました。
霧がかかったみたいに頭がボーッとして、自分が眠っていたことに気づくまでしばらくかかった。
目の前には何か長いものが二本立っている。

「な....なんなの?」

 モナはやっとそれが自分の足だと気づいた。
寝ぼけているようなフワフワした感じがする。

(あれ? 私どうしたの?)

 彼女はいつの間にか薄暗い部屋でベッドに寝かせられていた。
しかも両方の足首をロープで結ばれて天井から吊られていた。
腕はバンザイしたかっこうで枕もとの柵に縛りつけられていた。

「や、あ....嫌....」

 口を動かすのがつらい。
体の何かが変だった。
ひどく酔っぱらった時のように体に力が入らない。
でも体の感覚は逆に鋭くなっているみたいだ。
近づいてくる足音がやけに大きく聞こえる。

「そろそろ起きたかね?」
「だ、誰....?」

 ぬっとハゲ頭を見せたのはあの悪徳商人ボン・ペルツ。

「どう....て、こんな....わたひ、どうして?」
「憶えてませんかな? プリセア様のお世話係になる前にちょっと準備をすると言ったでしょう?」

 そういえば他の女達から離れたのは憶えている。
でもその後がはっきりない。
そういえば何か飲み物をもらったような気がする。

「いやいや、毎度ポルガはよーく効くわい。」
(ポルガ....薬だっけ? 痛み止め?)

 たしか重病人とか大ケガした人に使う薬だったはず。
昔カヴァルナの王様が戦争で負傷した時、看病していたモナ達に医者が教えてくれた。
「強い薬だから、ほんの少ししか使ってはいけない」そう言っていたはずだ。

「い....や....あ....」

 薬を使われた恐ろしさでモナは震えた。
そして自分の体が変なふうに縛られて、これから何をされるのかと怯えた。
なぜなら今、彼女が身につけているのは薄い肌着と腰布だけなのだ。

「うひうひ、こんな若いのは久しぶり。たまらんわい。」

 ペルツは醜悪な笑みをつくるとロウソクやランプに火を点けていく。
部屋が明るくなるにつれてモナの心は逆にまっ暗になった。
部屋中に見たこともない不気味な形の道具がひしめいていた。

「すごいだろ。わしが発明したものばかりだ。とくにこの地獄の木馬など女を五人もイキ殺しておるぐらいでな。」
「いや....ひいぃ....助けてぇ....」

 絶望がたくさんの涙になってモナの両目からあふれた。

第9話 モナは変態商人ベルツの玩具にされる


 ボン・ペルツは金貸しで身を興した男なので力まかせに姦すほど腕力はない。
脅して言いなりにしたり縛ったり薬を使ったりすることが多いのだが、抵抗が無いのもいまいち燃えない。
いきおい道具に走るわけだ。

「最初はこいつを使うかな? あっちのほうが効くかな?」

 ベッドに縛りつけられているモナに聞こえるようにペルツはいろんな器具を品定めする。
そして汚らわしい視線をモナに向けてくる。
お尻のほうから見ると、V字型に吊られている足の谷間で腰布だけになった股間が曝されている。
股を閉じようとしても思うようにならない。

(なぜ? 私どうなるの? まさか....)

 考えたくもない。でも逃げられない運命だ。
このハゲ男はこれからモナの十九歳の体を好き勝手に玩ぼうとしているのだ。

「ほれ、これはどうかね? 気に入らないかな?」

 ペルツが突きつけたのは黒っぽい木でできた棒きれで、先がグロテスクな形をしている。
性体験のないモナにさえ男根の作り物だと分かった。
 顔をそむけて震えるモナ。
それを見て変態商人ペルツはもっと調子にのる。

「こういう品物は、見かけが悪いほうがカラダには気持ちいいのだぞ。ほれ!」

 肌着の上から押しつけられ乳房がへこむ。
おぞましい愛撫にモナはまた泣きじゃくりはじめた。

「いやぁ....気持ち悪いよぉ....ひっ、うあっ。」

 感情が昂ぶるほど薬が回って目がくらんでいく。
それなのに虐められる乳房の感覚はピリピリと鋭い。
右へ左へと何度もこねくられているうちに変な声が出てしまう。

「う、えぐっ....ひっ! はぅ、ん....あぃっ、はああん!」

 まるで悪魔にでも取りつかれたようだ。
ウブな娘を淫乱に変えていく悪魔。
ペルツの操るオモチャが布ごしに乳首を走っていく度に、一段また一段、感じたくない恍惚感が高まる。

(いけない、モナ、いけないよぉ! こんな奴の思い通りになっちゃダメ! でも....もう何もできない。縛られて薬を盛られちゃって....ひどいよ。死んじゃいたい!)

 心が絶望に落ちていくのと反対に体のほうは悦楽の波に揺られて昂ぶっていく。

「ひああ、あふぅ....ふうっ、くうーん!」
(私ってば、なんて声出してるのよ。)

 いくら頭でそう思っても口が勝手にカワイイ喘ぎ声をたててしまう。
飲まされたポルガのせいなのか、自分自身が変わってしまったのか。

「ほっほ! おっぱいだけで堪らないようだのう。だが、わしも楽しませてくれないとな。」

 ペルツの筋ばった手が肌着にかかった。

「きゃああ....あ....」
「うひひひ。」

 男は歯をむきだして笑いながらモナの肌着をめくっていく。
白いシルクの下からカワイイおへそが現れる。
その次には乳房。さっきの愛撫のせいで少し赤くなっている。

「はあい、脱ぎ脱ぎしましょうねえ。」

 最期にぐいっと頭の上まで引っぱりあげると、モナはもう腰布一枚だけの恥ずかしい姿になってしまった。

「うはははは、若いのはイイっ! 若いのはサイコーだわい!」

 すっかりご機嫌なペルツは乙女の柔肌をなめるように凝視した。
エキゾチックな小麦色の肌。
モナは商業の国カヴァルナの召使いだけに、ひょっとしたら南の民族の血が入っているのかもしれない。
ペルツの商人根性をくすぐる珍品だ。

「見ない....で、うう、嫌だよぉ....」

 吊られているモナの足の指がきゅっと窄んだ。
父親にだって見せたことのない裸なのに、今は見知らぬ変態オヤジに穴があくほど見つめられている。
恥ずかしさを通り越して気が狂いそうだ。
また涙が流れて黒髪を濡らす。

 いたいけな少女の悲しむようすは、邪悪な中年には情欲の火をかっかと燃やす薪みたいなものだ。

「よし! 次はこれを使ってやるぞ。ムフフフ。」

 そう言って見せつけたのはただの羽根ボウキ。
しかし普通の家事の道具も使いかた次第で恐ろしい拷問具になることを、ペルツ先生がモナの肉体に教えてやる魂胆だ。

「もうすぐでポルガが一番効いてくる。それまで軽く遊んでやろうわい。」

 顔の前でくるくると回される羽根を見ながら、モナは自分がこれから底無しの地獄に堕とされるのだと痛感した。

 国が負けるというのはこういう事なんだ。



ただ言われた通りにプリセア姫にお仕えしていただけの召使いのモナ。
そんな彼女にもカヴァルナ国の敗北は降りかかってくるのだ。
人間としても女としても想像できないほど最悪の形で。

第10話 ベルツは羽根でモナをくすぐり責め


 ずっと吊されているせいなのか両足の先が冷たくなっていた。
でもひょっとすると騙されて飲まされたポルガの作用かもしれない。
縛られている手足の感覚はしびれているのに、胸がやたらと熱くなっている。
頭がぼんやりして考えることができないのに、気持ちだけは敏感になっている。

(このままだと私、おかしくなっちゃう。恐いよ....)

 ポルガは強い薬なので使い方を間違うとバカになってしまうという話を聞いたことがある。
しかし恐いという感情さえも恥ずかしさや悔しさと一緒くたになって、けっきょく体をよけいに興奮させてしまうだけのようだ。

 ボン・ペルツも若い女のすらりとした肢体にいつも以上に興奮している。
あわれに拘束され腰布だけになっているイケニエの子鹿。
思わず舌なめずりする。
あの小生意気なプリセア姫にはさすがに手を出すわけにいかないので、召使いのモナで代用する気なのだ。
いつもの彼の卑屈な態度が今夜は逆にワガママいっぱいだ。

 持っている羽根ボウキで小さなモナの耳をくすぐる。
きゃっと可愛い声を出すのが何とも言えない。

「さてさて、こいつでお前さんのカラダを掃除してやろう。隅々までな。」
「そんな....や、やめてよぉ....」

 震えている少女のお腹をさーっと撫でる。

「いっ、ひぃああああんっ!」

 たちまちモナの胴体がバネのように跳ねあがった。
ベッドがきしんで音をたてる。
馬にムチをくれるより効果バツグンだ。

「こりゃイイわい。ほれ、もっと、ほれほれ!」
「ちょっと....ひゃあんっ、きゃああっ!」

 モナは恥ずかしさも忘れてあられもない声を出す。
羽根の優しすぎる感触がたまらない。
いっそ乱暴にされるほうがマシだ。

「やめ....っふあああーんっ! くすぐっ....た、ああくうんっ!」

 ペルツはまるで宝物を掃除するみたいに羽根ボウキをおへそから脇腹に這わせていく。
右に左に撫でられる度に少女の細腰はくねくねと淫らな動きで踊りまくる。

「はうっ! やめ....て、ひあああっ。あう、はううんっ、だめえっ!」

 褐色の肌にはあっという間に汗がふきだしてきた。
揺れる乳房がランプの灯りにテラテラと光る。
今度はその色づいている頂上めがけて羽根を使う。

「ひいっ、だめっ、そこ....きゃああうっ! 止めてよおーっ!」
「逃げてもムダじゃ。ほれほれっ、こうしてやる! こうしてやるっ!」

 いやらしく乳首を責めてくる羽根ボウキ。
モナは死にものぐるいで体をねじっていた。
逃げても逃げてもペルツの虐めは終わらないどころかエスカレートしていくのだった。

「オッパイがイイのか? たっぷり掃除してやるわい!」
「いやあー! いやあーっ、くる....うあ、狂っちゃう! ひゃああうっ!」

 激しく体を動かしているせいで例の薬がどんどん回ってきて、自分が何をしているのかも分からなくなってくる。
くすぐったい苦しさと快感がごちゃごちゃに混ざって頭の中で渦をまいている。

「うわあああーっ! ....もうっ、だめなのぉっ! 止めてっ! お、お願い。」
「ホントに止めて欲しいのか?そんなイヤラシい声を出してちゃ説得力ないわい。」
「ひいああっ! ひいっ....う、んくっ....うっ、ふうっ....」

 声を出すまいと歯を食いしばる。

(我慢しなくちゃ、モナ。こんな中年野郎を楽しませてやるもんか。がんばるの。)

 けなげな少女に対して、ケダモノなペルツはもっと意地悪な拷問を続けた。
羽根の動かしかたを早くしたり遅くしたり、ちょっと休んでモナを油断させては急に始めたりするのだ。

「これでも我慢できるか? イイんだろ? えい、えい!」
「うふううーっ、くうんっ....あんっ、ふうんんっ、ふあっ....くううんっ!」

 モナのウエーブした黒髪は汗ではりついて、顔はいつしか凄惨な淫猥さを見せている。

(私、もうだめかも....でも、プリセア様のために....でも....私....)

 トロンと虚ろな目になってモナは荒い息をはずませていた。
頬は酔っているみたいに赤くなって、乳首も固く立っていた。
それは官能の魔物がすっかりモナを虜にしている証拠だった。

「ムフフフ、だいぶ回ってきたな。ではこっちも。」

 男の手がいよいよモナの肌を隠していた最後の一枚にかかる。

「こんな邪魔なものは取って、ウレシイ所をじかにお掃除してやるぞ。うひひひ。」
「だめだめぇ! そこだけは....ああ....見ないでぇ!」
「見るなと言われると見たくなるわい。」

 腰に留めてあるヒモを解いて腰布をお尻の下から強引に抜きとる。

「いやああああっ!」
「おっ....うははっ、これは大変だ!」

 ここだけは日焼けしてない股の谷底でモナの女肉は卑猥な赤い花を咲かせていた。
しっとり濡れているのは、薬と愛撫に苛まれて分泌してしまった発情のあかしだった。

「ふっふ、凄い匂いだわい。淫らなメスの匂いがぷんぷんだ。」

 ペルツが手にしているシルクの腰布のほうにも生温かい粘液がねっとりと絡んでいる。
カラダが悦んでいる証拠を見せつけられてモナはまっ赤になった。

「ううっ....ひどいよぉ。」

 自分のだらしない下半身が恥ずかしかったし、どうしようもない期待感が体の奥から湧いてくるのが情けなかった。
その上、自己嫌悪すればするほど、こういう駄目な自分をめちゃくちゃに壊してほしいという気がわきあがってくる。
モナの心はもう崩れてしまう一歩前だった。

第11話 責められ続けたモナは情欲に狂う


「お嬢ちゃんがそんなに感じてくれると、オジサンもやり甲斐があるわい。」

ペルツは目をぎらぎらさせる。
手にした羽根ボウキが少女の太股にとまって内側をすうっと下りる。

「ひぃっ!」

股を閉じようとしても無理だ。
モナの両足はめいっぱいギリギリの長さで吊されているし、腰を持ちあげられるほど体に力が入らないのだ。

「抵抗してもムダだぞい。ほーれ、楽にしてれば天国に行かせてやるぞ。」

ペルツは焦らしながら羽根ボウキを丸裸の股間に近づけていく。
モナは胸の谷間の向こうで男の手が股間に下りていくのを見て歯をガチガチと鳴らす。
そして、ふんわりした物体が秘所に触れた瞬間、とうとう声を押さえきれなくなった。

「ふわあんっ....あ、ひああああんっ! ....うくっ....」

はしたない喘ぎ声を出してしまった悔しさ。
でも、もうどうでもいいという気持ちになり始めている自分が分かった。

「止めてよお! だめ、きゃあん....ああうっ! うわああああんっ!」

ベッドでのたくる小麦色の肌。
その上を二本の羽根ボウキが走りまわる。
あちこちの敏感な部分を同時にいじられて、召使いのモナは泣きわめいた。

「ダメダメえっ! こんなぁ....あひいぃ、死ぬうっ! ひゃああううっ!」

今にも失神しそうな刺激。
目をつぶると百本の羽根で触られているような錯覚がする。
もう限界だった。
意志の力では性感の暴走を止められそうにない。

「ふあっ、くあああーっ! モナ....い、嫌なのぉ。だめえええ!」

どんなに暴れてみても手足を縛られていては抵抗のしようがない。
ウェーブした黒髪がむなしく揺れるだけ。
それどころか、もどかしさが逆に興奮を助けてしまう。
ボン・ペルツという変態中年のしかけた情欲のワナに、あわれな少女はどこまでも堕ちていく。

「ゆるしてぇ、もう無理ぃ....いや、いやぁーっ! うああん、死ぬってばああぁ!」

股間のひ弱な粘膜がしつこく羽根で擦られる。
同時にもう一つの羽根ボウキが脇の下とか耳をくすぐって快感に抵抗できなくする。
狡賢いテクニックだ。
こういう道具を使って何人もの女を悶死させてきたペルツ。
しかもポルガという薬の力も借りているのだからモナのような小娘ぐらい軽いもんだ。

「そんなに嫌なら、どうして腰振ってるんだね? おかしいじゃないか。」
「だって....ああああっ! ひっ、きゃんっ、いああああん! 変だよぉ、なんで....こんなの....と、止めてええーっ!」
「嘘つきめ。気持ちいいんだろ? おっぱいもこんなに立ってるぞい。」

若く上向きの乳首をつまむとコリコリと固くなっている。

「触っちゃ嫌ああ、きゃああんっ! 触っちゃダメってばあっ!」
「あーこの淫乱ムスメ、プリセアの姫様が見たらなんて言うか。」
「いやぁ、言わないでっ! はっ、恥ずかしいのぉ、恥ずか....ひゃああっ、いいよおぅ!」

情けない声で悶えまくる少女。
でも手加減はしない。
この男は泣き叫ぶ女をとことん虐める趣味なのだ。

(でも、ホントに狂わせてしまっちゃマズイわい。後の計画に差し障りが出るからな。)

ペルツにとってモナは手駒の一つでしかない。
生意気なカヴァルナのプリセア姫にみっともない泣き声をあげさせるために、召使いのモナを手なずけるのが先決だ。
ポルガという薬を使ったのもそのためだ。

「ほうれ、モナ! お前はもうペルツ様のものだ。ほれほれっ! 私のために何でもするようになるんだ。言うとおりにしてれば、こうやって....うりゃ! いつでも天国にイかせてやるわい。」
「ふああーん! ひいっ、あああう....嫌だぁ! モナぁ、ひいあああん! こんな....おかしくなる、なっちゃうっ! 駄目になっちゃうよおおおーっ!」
「こいつめ! このっ、人の話を聞かない悪いコは、こうだ!」

ペルツはいよいよ羽根ボウキを放りすてると、ぷるぷると揺れる乳房をいきなり両手でわし掴みにした。
そして固くなった乳首を搾りあげるようにひねった。

「痛ーい、痛い、痛いっ! やめてぇ、痛ぁいっ! 痛いのぉーっ!」

でもモナは泣きわめきながらも不思議と恍惚の顔をしていた。

「痛いのっ、いいの、ダメに....ダメになっちゃうーっ! してっ、痛いのしてええぇーっ!」

これがポルガの効果だった。
もとは麻酔薬でも使い方しだいでは究極の媚薬になる。
そのせいでモナは乳首を走る激痛さえ、快楽にしか感じられなくなっている。
縛られた両手も引きちぎらんばかりに彼女の狂った肉体は、ベッドの上で激しくのたうちまわるのだった。

第12話 モナは初めてオーガズムを体験する


(もう嫌、こんなの私じゃない! 殺して! 誰かモナを殺して!)

いくら心で叫んでも、淫らに染まった肉体は生きることの快感を貪欲に求めている。
ペルツが少女の股間に手をやると、失禁したみたいに洪水のようになっていた。

「気持ちいいか、そうかそうか。いやらしいジュースが滴っておるわい。どれ味見を。」
「そんなの....しないで、ああああう! いやあっ、汚いよおっ!」

聞きもせず中年男の口が彼女のうぶな秘肉に食らいつく。

「いやぁ、いやああああああん!」

敏感すぎる花びらの間を男の舌がヒルのように蠢く。

「きゃああんっ! あううーっ、ひゃああん! す....すごい、すごいよおおーっ! ひああああう!」

いつの間にかモナは腰をくねらせてペルツの舌を求めていた。
とうてい処女とは思えない貪婪なありさまだった。
薬ポルガのせいで理性は眠ってしまい、性欲だけの動物になり下がっているのだ。

「うわああっ、いいよう! もう駄目なのぉ、モナぁ....ふあああうっ、いいよおおぉ!」

モナはもう自分がどんなハレンチなことを言ってるのか意識できなかった。
ただ吊られた両足を開いたり閉じたりしながら壊れた操り人形のように、もっと気持ちいいほうへ感じるほうへ腰を動かしていた。
お尻を押しつけると、ペルツの伸びはじめたヒゲの剃り痕が後ろの穴にジョリジョリと当たっていっそう刺激的だ。

「ふうぁ....ああ、くううーん! あひっ、いやあああん! もう....うわああん、ペルツ様ぁ、してええぇ! もっと、もっとぉ....」

モナの節操なしの秘肉は白っぽく濁った愛液を止めどもなく滴らせていた。
栓が抜けたように後から後から湧いてくるのだ。
あまりの量にペルツも顔じゅうベトベトだ。

(こいつは溺れそうだわい。いいかげんカタをつけるか。)

「よし、じゃ、モナの小さなお豆を可愛がってやるわい。」
「えっ何?....何するの? ひゃあうっ! そんなぁ....うああ....」

モナの目からは乳房が邪魔になって、ペルツが何をしようとしているのか分からない。

「知らないのかね? ここに女の真珠があるのだ。とっくり教えてやるぞ。」
「いやぁ、モナ分かんない....分かんないよぉ....恐い。ひぃ、いああ....」

股間を好きなように玩ばれてモナは泣きじゃくる。
陰部の上のほうで粘膜が押し広げられるのを感じても、それが何を意味してるのか分からない。
やっとオナニーを憶えたばかりのあどけない少女には、クリトリスという危険な器官は未知のものだったのだ。

(ひ、....何? どうなってるの?)

生まれて初めてクリトリスの包皮をむかれても、モナ自身には男の息が冷たく感じられただけ。
この純真な召使いは自分の肉体にそんな淫らな器官がついていることをまだ知らなかった。
変態商人ボン・ペルツの目の前でランプの光をあびて輝いているクリトリスは、紅い宝石そのものだった。
愛液の海に浮かぶ愛の真珠だ。
男の唇がじゅるっと吸いついた瞬間、とんでもない刺激にモナは目の前で火花が散った。

「ふわああああああーっ!」

びりびりと痙攣する恐ろしい快楽に、たちまち下半身全体がわけの分からない感覚に呑みこまれていく。

「だめ、そこぉ! あふうっ、くああああん! ああ、吸っちゃ....し、死ぬううぅ、うくっ、あああふうぁ....」

息がつまって目がくらむ。
今にも気を失いそうなのに体はムチで打たれたように跳ね続けていた。
そんなモナの甘くかん高い叫び声に興奮したペルツは、チュパチュパと音をたてて幼いクリトリスを吸いたて、口先で揉むように愛撫する。

「あふうううーっ! 無理ぃ、ひゃあっ! ダ....ダメだってばあっ、きゃああーん!」
「おやあ、お前さん、ひょっとしてイきそうなのか?」

モナ自身にはよく分からなかった。
これまでオナニーもろくにしたこと無いのだから、何が絶頂感なのか知らなくて当然だ。
でも強いエクスタシーが稲妻になって体を突き破ろうとしているのは感じていた。

「分かんないっ、モナ、死んじゃうのおっ! だめなの、お願いいいっ、ひあああああ!」

少女の小麦色の両足がぶるぶると激しく震え始めたのを合図に、ペルツはいよいよ口淫にトドメをさした。
吸われ続けてぷっくり充血した肉の芽に、前歯での攻撃をお見舞いしたのだ。

「痛ぁいーっ! いやーっ! いいのぉ、痛いのおおおっ! うあっ、わああああああーっ!」

もう狂わんばかりに昂ぶっていたモナ。
それが限界だった。
首をがくんと反らせると一瞬歯を食いしばってから、激しい痙攣とともに絶叫した。

「やっ、死んじゃうううーっ! きゃあああああああふうううーんっ!」

背筋をオーガズムが走り抜けた刹那、モナの吊られた足は大きく曲がって、ペルツの頭を挟んだまま逆立ちするほど腰を持ちあげた。
可愛いお尻はそのまま空中で、まわりに愛液をまき散らしながら跳ねていたが、しばらくして崩れるようにベッドに落ちた。
あまりにも激しい反応だった。
薬ポルガの効果だけとは思えない。
どうやらモナにはこっちの才能があるらしい。

「いい子、いい子だわい。さて今度はお前さんが舐める番だ。」

そう言われてもモナはまだ恍惚の世界から戻ってきていない。
ボン・ペルツがぎんぎんに隆起した肉棒を近づけてくるのも分からないで、夢のような快楽の余波に揺れながらまだ荒い息をしていた。

第13話 エミリナは放尿するところを見られる


白馬に乗った悪どい王子様グロイスが兵隊を連れて出征するのを、不幸せいっぱいの花嫁プリセアはボルゴニア王といっしょに見送った。
いっそ戦死でもすればいいのにと思うけれど、祖国カヴァルナの行く末を考えれば無事で帰ってもらわないと困る。

自分が犠牲になるしかない。
プリセア姫にはもう諦めはついていた。
でもグロイス王子や悪徳商人ペルツのしうちだけは耐えられなかった。
何度も変態的なことをされているうちに自分の体がおかしくなっていく気がするのだ。

「プリセア姉さま....」

軍隊に混じっていく馬車からプリセアの従妹のエミリナがそっと見上げていた。
粗末なフードをかぶっているので遠くからは女とも男とも分からない。

グロイス王子は出発まぎわになって急に彼女を連れていくことに決めたのだ。
もちろんプリセアには内緒だ。
そうとは知らないでプリセアは戦場へ送られるエミリナを見送り、エミリナも事情の分からないまま連れて行かれるのだった。
こうしてグロイス王子の恐ろしい計画が二人を引き裂いていく。

パレードが終わって部屋に戻ると、召使いのモナが待っていた。

「姫様、お召しかえをどうぞ。」
「モナ! おまえ無事だったの?」
「わたし、大丈夫です。ええ....心配いりません。」

久しぶりに知りあいの笑顔を見て、プリセアはたまらずモナを強く抱きしめた。
気がゆるんだせいか涙が出てしまう。
モナに会えたのはグロイス王子の計らいだろうか、そう思うと少しは感謝の気持ちがわいた。

「皆のようすは?」
「大丈夫です。でもあまり詳しいことは....今は別々になってますから。」

何かを隠しているような素振りにプリセアは気づいた。
きっと心配させないようにと気を使っているのだと思った。
でも、モナが隠していたのはプリセアには想像できないくらい酷い秘密なのだ。

「大丈夫....」

自分を言い聞かせるようにつぶやくモナ。
笑っては見せても、その目はどこか虚ろだった。

町を出た軍は、蛇のような長い行列をつくって草原を進んでいく。

侵略また侵略を繰りかえしてきた大国ボルゴニアだけあって、隣国といっても首都からはかなり遠い。
兵士はカヴァルナ遠征とは別の部隊だけれども、幹部クラスは連戦のために疲れきっていた。

「どうしたかな侯爵どの? 顔色が悪いですぞ。」
「や....少しカゼ気味でして。いやなに平気で....」

大将のグロイス王子は若いから平気だが、取り巻きの年寄りどもにはキツイ任務だ。

グロイスの隣ではエミリナも青くなっていた。乗り物酔いしたらしい。
軍用の馬車はお嬢様育ちのエミリナには辛いようだ。

「ここらで昼食にしよう。」

王子の口から待ちわびた一言が出たので老人も少女もほっとする。

「殿下のお食事であるぞ。支度をせい。」
「メシだ、メシだ!」

急にみんな活気づく。
人間はゲンキンなものだ。

食欲の無いエミリナは飲み物だけをとっていたが、やがて尿意を催した。
でも軍隊では周りは男ばかり。
様子を察してグロイスは近衛兵を呼んだ。

「グラフコ。こちらのエミリナがお花摘みをしたいそうだ。お供してやれ。」
「かしこまりました。さあさあ、あちらの茂みへ。」

周りに聞こえるわざとらしい言い方にエミリナはまっ赤になる。
グラフコという男はやせた色黒で、グロイス王子の身辺を守る近衛の小隊長だという。
ふるまいは一応礼儀正しいけれど言いかたにいちいち嫌みがある。

「ここです。ご存分にお花摘みなさいませ。でも蛇に噛まれたりしないか見張っております。」
「も、もう少し離れて....」
「いやいや、よく見張っているよう言われておりますからな。」
「でも....」

遠慮もせずにイヤらしい横目で見てくる。
腹が立つけれど我慢できない。
エミリナは悔しさに歯をくいしばりながら、しゃがみこんだスカートの中で下着をおろした。
たちまち温かいものが草の上に迸る。
その時、男の手がのびた。

「いや、何するの! きゃああああ!」

あろうことかグラフコ小隊長はエミリナのスカートを無礼にまくり上げた。
白いお尻の下で放たれた液体がキラキラ光る。

「おや、お花に水をやっているのですか? 感心ですな。」
「いやぁ、見ないで! いやあああああー!」



動けないのをいいことに、放尿するところを見られ、音を聞かれる恥ずかしさにエミリナは泣きじゃくった。
しゃくりあげる度に、おしっこが止まったり出たりする。
それを見て男はゲラゲラと笑いつづけた。

第14話 召使いのモナは媚薬のとりこになる


 親しい召使いのモナが身の回りの世話をしてくれるようになったおかげで、プリセア姫も少しストレスから解放された。
思えば祖国のカヴァルナがボルゴニアと戦争を始めてから、若い心はずっと張りつめていた。
つい昨夜、遅れていた生理が来たのも安心したことの一つだ。
何度も体内に精を注がれてきたのだから、もう妊娠していてもおかしくなかった。

(あんな男の子供なんて生みたくない。せめて、もっと諦められるまで....)

 グロイス王子がどこかで戦死でもしてくれたら。
ついそんなことまで願う。
悪魔のような未来の夫が帰ってくれば、プリセア姫の人生は永遠につづく陵辱に沈められてしまうだろう。

「姫様、お食事をどうぞ。」

 モナがほほ笑みかける。
プリセアも笑顔をして返す。
はかない安息の日だと知りながらも。

 プリセアの部屋から出てきたモナを待ちかまえていた男、それはお馴染みの悪徳商人ボン・ペルツだ。
ハゲ頭の下で目をらんらんと光らせて少女に近寄ってくる。

「どうだ? すっかり食べさせたかい?」
「はい、全部お召しあがりです。」
「そーかそーか!」

 声をひっくり返らせて嬉しそうに笑う。
反対にモナは自分を責めるように口を固くむすんでいた。
トレイに乗った食器がカチャカチャと音をたてる。

「むふふふふ。どうした、震えておるのか? 顔色がよくないぞえ。」
「ペルツ....さま、お願いです。あれを....」

 今の彼女はまるっきりペルツの人形だった。
あの夜、恐ろしい媚薬ポルガのとりこにされて以来、薬が生みだす快楽から離れられなくなっていた。
ポルガが切れ始めると体の芯が熱くなって興奮が収まらなくなる。

「お願いっ、わたし....もうっ!」
「おっと。」

 ふらついてモナが落としそうなトレイをペルツが取った。
少女は中年男にすがるようにヘタヘタと座りこんでしまう。

「ペルツさまぁ、お情けを....苦しいの。」
「これっ、放せ! こんなトコで!」

 ペルツがそっぽを向いて歩きだすと、モナはあわてて付いていく。
ふたりは部屋に入ると扉をぴったりと閉ざした。

「お嬢ちゃん、世の中は何ごとも取引きだぞ。いつだって欲しいモノがあれば、代わりに与えるモノが必要なのだ。」
「ペルツ様、モナを....可愛がって。」

 少女がスカートをたくし上げると、小麦色のふとももの間に女の茂みがむき出しになる。
ペルツの命令で下着はつけていないのだ。

「お薬を....」
「はっきり言わんかね。どこに欲しいんだ?」
「ここ。ここですっ!」

 モナは思い切って恥ずかしい部分を指で開いてみせるが、意地悪なペルツはよく見えないという仕草をする。
モナはもう涙声だ。

「お薬....欲しいの! ここにっ....もう、ちょうだい!」

 卑怯な中年男の目の前で、十九の少女は赤く火照った肉のヒダへ指を割りこませると、あられもない叫びをあげながら腰を振りはじめた。

「モナっ、欲しいの! 気持ちよく....ねえ、なりたいのぉ! イキたい....お薬ぃ! ペルツさまああぁ!」

 くちゃくちゃと卑猥な音をさせてモナが媚肉をこね回すと、あふれ出た女の蜜がたらたらと滴って足もとに生温かい水たまりをつくった。

第15話 プリセア姫は自慰をモナに見つかる

 召使いのモナが変態中年と淫らな時間を過ごしているころ、一人きりのプリセア姫も体に異常を感じていた。
みょうに熱っぽくて、何故だか背筋のあたりがウズウズするのだ。
息も自然と荒くなっていた。

(お酒を飲んだわけでもないのに。カゼ気味なのかしら?)

 ベッドに横になって目を閉じる。
眠気があるのに寝付けそうにない変な気分。

「あ....」

 胸に置いていた手で軽く乳房をつかむとピリッとした気持ちよさが走った。

「....はぁ....あぅ。」

 手が別の生き物みたいに乳房を捕まえて搾るように愛撫する。
胸から全身にむかって波紋のように快感が広がる。
たまらず唇を噛む。

「くぅん、ふんっ....うぅ。」
(駄目、こんなコトしちゃ駄目。悪いことなのよ。いけないってばっ!)

 心とはうらはらにプリセアの両手は、自分の体が女であることを確かめようとする。
手のなかで乳頭が固く立ち、服地にこすれてピクリと蠢く。

「あ、はああぁ....」

 身をよじらせるとベッドがきしみだす。
若くみずみずしい娘の体は、一度こうなってしまうと止められない。
手がスカートの中に入る。
薄いシルクの腰布の中で、女の谷間をおし開いていく。
中指がぐぐっと沈む。

「うあっ!」




 気持ちいい。
素直にそう思った。
オナニーの経験はあるけれど今夜は自分でも不思議なくらいリラックスしていた。
それがさっき食べた夕食のせいだとはプリセアは知るよしもない。

 体を横にしてお尻をなでる。
この感覚が好きだと気づいたのは皮肉なことにグロイス王子に後ろから姦されてからだ。
片手でお尻をさすりながら反対の手で前から慰めると、男に触られているような錯覚さえする。

「はあ、はあぅ....あん、ひああっ!」

 手の動きにあわせて大きくなってしまう自分の声を聞きながら、プリセアは情けなさと同時にぞくぞくっと肉欲を刺激された。

 いつのまにか手は下着のなかに滑りこんでいた。
直に触れる秘部は熱く、たっぷり濡れていた。

「もう、こんなの....ふあっ、やだもう....おかして....」

 逃げる腰を手が追いかける。
自分に姦される屈辱感と、自分を姦している罪悪感が興奮をかきたてる。
悦楽の自作自演だ。

「やああっ! んっ....ひゃあぁ! だめ、止めなきゃ....わたし....んああっ!」

 色白ですらっとした足を曲げたり伸ばしたりしては、プリセア姫はベッドの上を転げるのだった。

 夏といっても夜は冷えこむ。
石でできた城の中はひんやりとしているし、窓のない部屋はなおさらだ。
しかしベッドの上で身悶えするプリセア姫は、びっしょりと汗をかいていた。
体の芯からいくらでも熱がわいてきて部屋の涼しさなど感じられない。

「いけない....ふあっ、ああああうっ! やぁ、こんな....悪いこと、しちゃ....はあああぅ!」

 口で自分をしかってみても、両手はどんどん淫らなことを続けてしまう。
乳首をつねったり太股をなでたり、そして女の花びらをまさぐったりする。
股間もしとどに快感の汗をかいて、指に答えるようにひくひくと蠢いている。

「ダメえええっ! 誰か止めてえ! わたしを。」
「姫....さま....」

 不意に声をかけられてプリセアの顔から血の気が引いた。
ベッドの横にはいつの間に来たのか、召使いの少女が立っていた。

「モ、モナっ! いやああぁ、見ないでえっ!」

 青ざめたお姫様の顔はみるみる真っ赤になる。
プリセアはあわてて毛布をかぶる。
なんて恥ずかしいところを見られたのだろう。
きっと軽蔑しているに違いない。
そう思うとプリセアはおおい隠した顔をあげることができなかった。

 でもモナのほうは落ち着いたようすで言った。

「姫様、モナをお許しください。お慰めにまいりましたのです。」
「....どういうこと?」

 モナはそっとベッドに座ると毛布のなかに手を入れてきた。
この時やっとプリセア姫は、モナが薄く肌の透けた色っぽいレース着一枚であることに気づいた。
下着さえ付けていない。

「おまえ。」
「何も....言わないでください。モナにお任せいただきとうございます。」

 うっとりとした目をして身を寄せてくる。
モナのほうが三つも年下なのに、まるで逆のように積極的だ。
褐色の頬がそっとプリセアの首筋に触れる。
ウェーブのかかった黒髪はぷんと香水の匂いがする。
毛布のつくる影のなかで、二人の手足が絡みあう。

「姫様ぁ。」
「そんな、駄目よ。女どうしでなんて....あぅ!」

 モナは大胆にも主人を押し倒すと、一番敏感に部分に指を当ててきた。
さっきの自慰ですっかり濡れていた秘所はたちまち貪欲な反応をする。

「すごいです。....こんなに熱く。姫様ぁ、ほらあ。」
「くうううんっ!」

 子犬のように鼻をならすプリセア。
逃げようとしても毛布に捕らえられた体は自由がきかない。

「ちょっとダメっ! そ、そこは、はあああぅ。そんなあぁ....や、やめなさいっ!」
「姫様、お許しください。でもきっと良くしてさしあげますわ。女ですもの。分かります。」
「いけないわ。変よ、こんなの....」

 召使いの目には妖しい光がともっている。
得体の知れない衝動がモナを動かしている。
それを肌で感じて、プリセアは恐ろしかった。
でも彼女自身の体はかえって何かを期待するように高ぶっていくのだった。

第16話 プリセア姫とモナは女同士で愛しあう


 ランプの明かりの向こう、豪華なベッドの上で浅黄色の毛布が二人を包んで盛りあがっている。
まるで秋の丘のような織物の下では、春の女神のような若い裸体がふしだらに絡みあっている。
プリセア姫と召使いのモナ。
囚われの姫の不幸を忘れさせようとするように女家来はやさしく慰める。

「姫様....お綺麗。うらやましいです。」
「恥ずかしいわ....」
「気になさらないで。二人だけですから。姫様も自分でするより、このほうがいいでしょ?」

 三つ下の召使いはうっとりしたようすで、主人の愛らしいおへその周りや引きしまったお尻などを撫でていく。
肌を走るモナの指の妖しい動きにプリセアは息を詰まらせる。
声を出すまいと歯を食いしばる。
いっそ止めさせようかと思ってもみるけれど、自慰を見られておきながら今さら上品ぶるのも変だ。

(せめて声は....我慢しなくちゃ。品が悪いから。)

 そんなささやかな抵抗もすぐに崩されてしまう。
プリセアが余計なことを考えている隙にモナの手はふとももの間におじゃましていた。

「ひゃあっ! だめ、駄目よ! ちょっと、それは....」
「お許しを....モナは悪い子です....ぜんぶ私が悪いんです。」

 プリセアの耳もとでそう囁きながら、年下の娘はなおいっそうイタズラを進める。

「姫様、ここ、気持ちいいんですね。しっとりして。」
「モ....モナぁ、駄目だったら....」

 自分より優しく自分より大胆に。
同じ女性から弄ばれるうちに、毛布という繭の中で未熟だった官能がサナギから蝶へ変わっていく。

「....あぅ、そこは....やああっ、待って。うああっ、モナぁ、そんなの....す....」
(すごい! おかしくなっちゃう。どうして? 変だわ。こんなに。)

 プリセアは知るよしもない。
モナはずる賢い悪徳商人ペルツの人形になってしまっていることも、そして今日の夕食に心身を淫らにする薬が盛られていたことも。

「中がすごく....熱いですわ。奥からこんなに....いっぱい濡れてます。」
「やああぁ、言わないで。」

 シーツを引っかくようにして四つん這いで逃れるプリセア。
しかしモナは交尾をする犬のように後ろから抱きとめた。
毛布がはねのけられ、猥褻な二人の体位が明るみにでる。
小麦色の肌と白い肌の色っぽいコントラスト。

「はなしてぇ....」

 モナの乳房の下でプリセアのお尻が震えている。

「いーえ、これからです。姫さま!」

 モナは召使いの遠慮も捨てて、主人のひくついている裂け目に指を滑りこませた。

「ひゃうっ....うああああああーっ!」

 身もだえするプリセアにもかまわず、左右の手を代わる代わるに挿し入れる。
片手の指先で深くぬめったトンネルのヒダをまさぐり、反対の指では茂みに芽を出している赤い真珠を擦りまわす。
背筋に光る汗の滴を小さな舌がちろちろと舐めとる。

「あ....ひっ! やぁ....くううぅ....ん、やゃああぅ、そんなああっ!」

 プリセアの喉から抑えきれない悲鳴が飛びだした。

「ステキ....姫さま、そんなに感じてくださって。嬉しいです!」

 召使いのモナは姫君の高貴なお尻に唇をおいた。
白い肌を吸ったり甘噛みしたりすると、相手はたまらなそうに首を振る。
それとともに股の間では、熟したブドウが搾られるように瑞々しい肉体から愛液が噴き出す。

「姫様っ! すごおい!」

 白っぽく濁った淫欲の美酒がももを伝う。

「やあああん、許してっ、モナ! ゆるしてえっ!」
(はしたないっ! わたし、女なんだ。いやらしい女なんだ!)

 次から次から体液となって溢れてくる快楽を、プリセアは自分の性格のせいなのだと責めていた。

「姫には淫乱のケがある。血を好むのもその裏返しだ。」

そうグロイス王子が言っていたことを思い出した。
悔しかった。
でも情けなくて泣きたい気持ちなのに不思議と涙が出ない。
心がいくら悲しもうとしても体の喜びをうち負かせないのだ。

「だめええっ! だめっ、モナっ。うわああっ、止めて....お願い、ああああぅ!」

 いったんタガが外れてしまえば、肉欲は飢えた獣のように心をたちまち飲みこんでしまう。
プリセアは自分の手が乳房を揉んでいることにも気付かなかった。

「ああぅ! と、止めてええ....もうっ! ....いっちゃう! わたし、うああああ....」

 カヴァルナのプリセア姫は身分も忘れてシーツに汗まみれの顔をうっ伏せ、女の部分を相手にゆだねたまま今はひたすらかん高い喘ぎ声をあげ続けた。

 モナもまた片手を自分の媚肉へと挿し当てる。
手についた姫様の愛液と自分のものが混じりあう。
胸が高鳴る。
それでなおさら反対の手に力が入る。
五本の指をいっぱいに使って掻きむしるように虐める。

「姫さまぁ! ほらぁ、感じて。モナをもっと感じてくださいっ!」
「許してえええっ! モナっ、許してっ....きゃあああぅ、くああああん!」

 ついにプリセアの腰がぴくんぴくんとオーガズムの痙攣を始めたのをさとると、モナは相手と自分の秘肉に沈めた両手の指をぐいっと突き上げ、二人の感覚を無理矢理、絶頂へと追いこんだ。
プリセアの秘所は生温いしぶきを噴き、モナの手を潮の香りに染めた。

「やあああああああああーっ!」
「ひゃあああぅ、姫さまああああっ!」

 叫びとともに若い二つの体が弾けるように打ち震えた。
頑丈なベッドがぐらりと天蓋を揺らし、四隅の柱に止めてあった幕がばらっと落ちて閉ざされると、たちまちベッドは夜の装いに変わった。

薄暗いベッドで荒い息がだんだんと静まっていく。
そのうちにランプの明かりさえ消えた。
きっと油が切れたのだろう。

「ひめさま....お体を....お拭きします。」

 モナはそう言うとプリセアの足をおし開き、べっとりと濡れている一帯に顔を埋めた。
暗闇の中、けなげに奉仕する召使いの舌が内股に当たるのを感じながら、カヴァルナの姫君は寄せ返す官能のうねりにいつまでも浸っていた。
まるでエクスタシーの余韻を夢の中にまで持っていこうとするかのように。

 早朝、ボン・ペルツは禿頭をさすりながら城壁の上を散歩していた。
グロイス王子から届いた手紙では、ボルゴニア王国の立派な軍人たちが戦地でどんな風にエミリナ嬢を可愛がってやったか自慢されていた。

「こりゃあ、こっちも負けておられんわい。王子様を感心させるようなスゴイ余興を計画しなくてはなあ。」

 くるりと振り返ると召使いのモナに言伝する。

「プリセア様に良いお知らせだ。あと数日でグロイス殿下がお帰りになる。そうしたらいよいよ結婚式だわい。いやぁ、めでたい、めでたい!」

 気味の悪いペルツの笑顔。
モナは姫様の身にいっそうの不幸が降りかかってくる事を知った。
なにより自分がその片棒を担がされることが辛かった。

「お嬢ちゃん、そろそろお薬の時間だのう。ほれ、おねだりしてみないか。」

 十九の娘はスカートを持ちあげて娼婦のように卑猥な言葉を口にする。

「ペルツ様、いやらしいモナのお、おまん....こに....お情けをください。」

 ウェーブのかかった髪といっしょに、一すじの涙が風に流れた。



第二部おわり